2020年8月9日日曜日


病院の収入減 コロナによる経営悪化を防げ


 感染症の治療にあたる医療機関が経営危機に陥っている状況は放置できない。政府は効果的な支援を急ぐべきだ。

 新型コロナウイルスの流行が長引き、病院の経営悪化が続いている。日本病院会などが今年4~6月の収支を調査したところ、コロナ感染患者を受け入れた全国の約450病院は、各月とも8割以上が赤字だった。

 院内感染の心配から、患者が受診を控えたことが影響した。また、病院は感染者の入院に備えて病床を空けておく必要があり、その分の診療報酬が入らなかった。消毒や防護具の経費も膨らんだ。

 コロナ治療に積極的に取り組む病院ほど、運営が厳しくなる悪循環が生じている。こうした現状を改善しなければ、今後の感染拡大には対応できまい。

 調査によれば、コロナ対応病院の23%が夏のボーナスを減額せざるを得なかったと回答した。最前線の医師や看護師らにしわ寄せが及んでいるのは見過ごせない。

 医療現場では、感染防止対策や入退院の準備などで通常以上の労力がかかっている。病院経営者は、医療従事者の離職につながらないよう配慮することが大事だ。

 政府や自治体は病院に対し、コロナ対応の病床を確保するよう求めている。病院が経営悪化を恐れて、協力をためらうような事態は避けなければならない。

 問題なのは、国が創設した緊急包括支援交付金1・6兆円の支給手続きが進んでいないことだ。都道府県が指定する重点医療機関に対して、空き病床の確保料として、1床につき1日最大約30万円を補助するのが支援の柱である。

 政府は8月下旬の支給開始を予定しているが、指定の遅れなどにより、25都道府県でめどが立っていないという。医療機関との調整や手続きを急いでほしい。

 病院の負担を減らすには、都道府県が軽症者用の宿泊施設を確保することも重要となる。

 経営悪化は小規模な医療機関にも及んでいる。日本医師会によると、診療所の5月の収入は前年同月比で2割のマイナスだった。

 受診抑制が行き過ぎれば、慢性疾患が悪化したり、重い病気を見逃したりする懸念がある。コロナ以外の病気に対しても滞りなく医療が提供できるよう、自治体によるきめ細かい目配りが大切だ。

 コロナ禍の中で、感染症対応と通常の診療を両立させる医療体制の構築が不可欠である。政府は、自治体や医療機関との連携をさらに強化してもらいたい。


米で感染1日5万人増ペース、再拡大鮮明に…累計500万人に迫る


 米国の新型コロナウイルスの累計感染者数が500万人に迫っている。8月は1日当たり5万人前後のペースで増え続けており、感染再拡大が一層鮮明になってきた。

 米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、8日午前(日本時間8日夜)時点で全米の感染者数は約494万人で、7月23日に400万人に達して以降、感染拡大の勢いに歯止めがかかっていない。累計死者数は16万人を超え、感染者数とともに国別で世界最多となっている。

 州別では、最多のカリフォルニアが約54万人、フロリダが51万人、テキサスが49万人となっている。

 

松山、首位と5打差の18位に…全米プロ第3ラウンド


 男子ゴルフの今季メジャー初戦、全米プロ選手権は8日、カリフォルニア州サンフランシスコのTPCハーディング・パーク(パー70)で第3ラウンドが行われ、16位から出た松山英樹は3バーディー、2ボギーでスコアを一つ伸ばし、通算4アンダーで首位と5打差の18位に付けた。ダスティン・ジョンソン(米)が9アンダーで首位に浮上した。


野球部員は感染していないが…高校でクラスター発生か、大会出場辞退


 埼玉県立岩槻高校(さいたま市岩槻区)は7日、教職員や生徒の新型コロナウイルス感染が相次いで確認されたことから、8日に開幕する高校野球の県独自大会への出場を辞退すると同校ホームページで発表した。県高校野球連盟によると、野球部員の感染は確認されていないという。一方、県教育局は7日、同校で新たに教職員と生徒の計2人の感染が確認されたと明らかにした。同校では1日以降、感染者が相次いでおり、関係者の感染は計10人となった。さいたま市保健所は、クラスター(感染集団)が発生したとみている。

 同校が県独自大会への出場辞退を決めたことに、大野知事は7日夜、記者団に対し、「大変残念だが、勇気を持った決断だと思う。その勇気をたたえたい」と述べた。

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黒焦げの塊は母、触れるとポロポロ崩れ落ちた…今も喪失感残る被爆者

爆心地一帯(1945年秋、H・J・ピーターソン氏撮影、長崎原爆資料館所蔵)爆心地一帯(1945年秋、H・J・ピーターソン氏撮影、長崎原爆資料館所蔵)

 75年前の8月9日午前11時2分、長崎市松山町171番地の上空約500メートルで原子爆弾はさく裂した。直下の街は跡形もなく消え去り、人々は一瞬で命を奪われた。生き延びた家族は、大切な人の亡骸なきがらを抱くこともできず、今も喪失感を埋められずにいる。(遠藤信葉)

長崎 一瞬で街消え

「母の姿を思い出すと涙が止まらない」と話す犬塚静子さん(7月23日、名古屋市で)「母の姿を思い出すと涙が止まらない」と話す犬塚静子さん(7月23日、名古屋市で)

 名古屋市の犬塚静子さん(92)は、爆心地から200メートルほどの自宅で母と姉、妹、2人の弟と6人暮らしだった。「空襲があったらこれを真っ先に防空ごうに入れてね」。あの日、知人から上海みやげにもらったお気に入りの革靴を指して軽口をたたくと、母は笑って送り出してくれた。

 勤め先は約3キロ南の県庁。閃光せんこうを受け、机の下に伏せた。夕方、陸軍病院に勤務する姉と病院の防空壕に身を寄せた。2日後に自宅に向かうと、辺り一面何もなかった。

 勝手口があった場所には、黒焦げの塊があった。母だった。触れるとぽろぽろと崩れ落ちた。そばに転がっていたカボチャをたたくと、鮮やかな黄色が現れた。「カボチャですらそれと分かるのに、母のかけらは何もない」。涙も出なかった。城山国民学校に通っていた弟2人の行方は分からず、学徒動員先の工場にいた妹も戻ってこなかった。

 夏になると、変わり果てた母の姿を思い出し、胸が苦しくなる。でも、夢に見るのは小柄でふくよかな笑顔の母ばかり。「一瞬で命が消え、苦しまずに逝けたのかもしれない」。最近そう思うようになった。

 結婚後、移り住んだ名古屋の菓子店で、母がよく作ってくれたのにそっくりな草餅を見つけ、街に出るたびに買い求めてしまう。「原爆がなければ、もっと母の草餅を食べられたのに」。75年たっても母が恋しい。

500メートル圏 居住の9割即死

 長崎原爆戦災誌によると、爆心直下の松山町には食品、衣料、雑貨などの店舗が連なり、戦時下でにぎわいはさらに増していた。

 原爆で爆心地付近は3000~4000度の熱線と秒速440メートルの爆風にさらされ、500メートル圏内の民家は粉砕された。長崎市が1970~79年度に実施した原爆被災復元調査事業の報告書によると、被爆当時、500メートル圏内に3828人が居住。92・55%に当たる3543人が即死し、75年9月時点の生存者は0・26%の10人とされた。

佐々木光三さん佐々木光三さん 名古屋市の佐々木光三さん(89)は、松山町で新婚生活を送っていた10歳ほど年上の姉を亡くした。

 普段は動員学徒として爆心地から800メートルの工場で働いていたが、その日は寝坊し、4・5キロ離れた自宅にいた。翌日、灰色になった長崎の街を歩いた。爆心地に近づくにつれ、20メートルおきだった遺体の山が、10メートル、5メートルおきに現れた。路面電車の松山町の停留所近くで、赤ん坊を背負ったままの女性が黒焦げになっていた。

 姉を捜しに行った義兄は、自宅があった場所に転がっていた遺体の薬指に光る指輪で、かろうじて姉だと判断できた。

 戦後、軍事産業に従事したこともあり、周囲の目を気にしてあの日のことは封印してきた。被爆者であることも公言してこなかったが、「来年は90歳。生き証人として語り残すのも私の役目かもしれない」と思い始めた。

 今も原爆への怒りは消えない。「戦争は善人を悪魔に変え、人を死滅させる原爆を落とすこともいとわなくなる」。家族を奪われた被爆者として伝えたい


きょうの新幹線下りはガラガラ、乗車率は軒並み5~25%


 お盆休みの日曜となった9日、JR東日本新幹線統括本部などによると午前10時現在で、東北新幹線などの下りの乗車率は、新型コロナウイルスの影響で大幅に減った。

 自由席で最も高かった「はくたか555号」(北陸新幹線、午前8時44分東京発金沢行き)でも30%、指定席でも「はやぶさ11号」(東北新幹線、午前9時8分東京発新青森行き)が40%。他の列車では軒並み5~25%と、それぞれ例年を下回り、混雑は見られなかった。

ニュース

知事「ゆかりのない方は対応しようがない」…感染者の3%は県外

  埼玉県内では8日、新たに84人の新型コロナウイルスの感染が確認され、1日当たりの感染者数が最多だった74人(1、2日)を上回った。内訳は県発表が59人、さいたま市が10人、川口市が9人、川越市と越谷市が各3人で累計2822人となった。県は「7月の4連休から2週間が経過した。人の移動でさらに増えたと考えられる」と分析した。

 県の発表では、クラスター(感染集団)が発生している「所沢第一病院」(所沢市)で新たに患者5人の感染が判明し、感染者は計39人になった。白岡市の社員寮では、外国人実習生5人が感染し、会社関係の感染者は計11人に上った。

 川口市では、市選挙管理委員会事務局の男性職員(20歳代)の感染が判明した。同居する兄が感染していた。事務局職員4人が濃厚接触者にあたるという。さいたま市では、新たに小学生女児2人が陽性となった。感染したパート女性(60歳代)の同居家族だった。

 県によると、8日夕現在、入院者は指定医療機関が98人、一般医療機関が234人。ホテル療養は65人、自宅療養は143人。医療機関の退院やホテル・自宅療養の終了者は2119人。死者は79人。

     ◇

 大野知事は8日、全国知事会のウェブ会議に臨んだ。県内の感染者のうち約3%が県外であるとし、「埼玉とゆかりのない方の場合には、その後の対応をしようがない」と指摘。「必要な情報を相互に提供できるような制度を構築すべきだ」と主張した。

 

終息の希望、境内から…奈良・興福寺

興福寺の境内にろうそくの炎で浮かび上がった「祈」の文字(左は東金堂、右は五重塔、8日夜、奈良市で)=吉野拓也撮影
興福寺の境内にろうそくの炎で浮かび上がった「祈」の文字(左は東金堂、右は五重塔、8日夜、奈良市で)=吉野拓也撮影

 奈良市の世界遺産・興福寺で8日、夏の夜をろうそくで彩る「なら燈花会とうかえ」が開かれた。新型コロナウイルス終息を願い、「祈」の文字を浮かび上がらせ、境内は温かな光に包まれた。 例年は奈良公園一帯を約2万本のろうそくで照らし出すが、今年は感染防止のため、規模を縮小し、場所を予告せずに実施。約1200本のろうそくがともされ、幻想的な光景が動画投稿サイト「ユーチューブ」などで生配信された。

 「なら燈花会の会」の尾形裕明会長(47)は「不安や孤独を感じる人の希望の火になれば」と話した。


「来て申し訳ない」帰省客は硬い表情、実家泊まらずホテル滞在も

2020/08/09 09:44
お盆休みを新潟県内で過ごす人たちの帰省が8日、本格的に始まった。例年は帰省客であふれるJR新潟駅の新幹線改札口も、人影はまばら。県は改札口で検温を実施するなど厳戒態勢を敷き、帰省客らも「感染を広げないか心配」と不安げだった。JR東日本によると、8日の上越、北陸新幹線の下りの自由席乗車率はいずれも5~15%で、前年同期比の約1割にとどまる。埼玉県から妻の実家に帰省するために来県した30歳代の男性会社員は、「関東で感染者が多く出ているのに、来て申し訳ない」と硬い表情で語った。帰省中、妻の実家には泊まらず、近くのホテルに滞在するという。

 首都圏からの帰省客に注意を呼びかけようと、駅の、県職員ら4人がサーモグラフィーで乗客の体温を確認。検温への協力を求めたり、家庭内感染が増えていることから、「家の中でもマスクをしてください」などと書いたチラシを配布したりした。

 


© 京都新聞社 滋賀県庁

 滋賀県は8日、新たに10人の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。全員が無症状か軽症という。県内での感染確認は計283人となった。

 県によると、10人は20~70代の男女で、うち3人はクラスター(感染者集団)が発生した草津市の病院に勤務または出入りする医療職や看護職。同病院関連の感染者は計27人になった。他の7人のうち3人は県内の感染者の家族や同僚で、残る4人の感染経路を調べている。

 

Photo:PIXTA© ダイヤモンド・オンライン 提供 Photo:PIXTA

多くの男性は、夏が近づいて汗のにおいや肌のテカりは気になっても、紫外線のことはあまり意識していないようだ。しかし、紫外線のダメージは日焼けだけにとどまらず、肌老化や皮膚がんの原因にもなるという。また、今年は新型コロナウイルス対策で「マスク焼け」をしてしまう恐れも。日焼け止めの正しい選び方と使い方を、皮膚科医に聞いた。(清談社 ますだポム子)

紫外線は日焼け以外に

肌老化や皮膚がんの原因に

 梅雨が明けると、年間で最も紫外線(UV)量が多くなる夏が訪れる。今年の夏は新型コロナウイルス感染予防のために、マスクの着用が欠かせない日が続くだろう。

 こうした状況で懸念されるのが、「マスク焼け」だ。マスク焼けとは、マスクで覆われていない目の周りや額、耳に近い頬の一部だけが日焼けし、マスクで覆われている部分と肌の色の差が出てしまう日焼けのこと。マスクを外してもマスクを着けているような跡のつき方は避けたいものだ。

 しかし、レジャーで長時間屋外にいるなどの特別な日でない限り、日常的にUV対策をすることが習慣化している男性は少ないだろう。株式会社ドクターシーラボが昨年行った「日焼け止め使用に関する男女別調査」では、「日常的に日焼け止めを使うか」という質問に対し、女性は69.0%が「はい」と回答したが、男性で「はい」と回答したのは22.5%だった。女性と比べると、男性の紫外線対策への意識が低いことが分かる。

 池袋駅前のだ皮膚科の院長を務める野田真史氏は、「マスク焼けを含む日焼け以外にも、紫外線を受けることで起こり得る肌トラブルは侮れない」と話す。

「紫外線を浴びた直後、湿疹や肌荒れ、なかにはじんましんなどの症状が出ることがあります。UVダメージが蓄積すると、シミやシワ、たるみ、くすみなど肌老化の原因にもなりますね。UVダメージの蓄積で何よりも恐ろしいのが、皮膚がんのリスクが高まることです。これからの季節は、男性も紫外線対策の意識を高く持つことが重要だと思います」(野田氏、以下同)

 紫外線対策を行うことは、こうした肌トラブルやがんのリスクを抑えることでもあるのだ。

「日焼け止め以外にも、日傘やアームウオーマー、サングラスなどの対策アイテムがありますが、男性が使用するには少しハードルが高いですよね。長袖も暑いですし、サングラスも通勤時は使いづらい。男性が毎日の生活に取り入れやすい紫外線対策アイテムは、やはり日焼け止めだと思います」

SPF30、PA++もあれば

十分にブロックできる

 では、男性が日焼け止めを選ぶ際、どんな点に注意したらいいのだろう。

「男女どちらにもいえることですが、塗り心地は気持ちいいか、香りは嫌いじゃないかなど、毎日使い続けられるアイテムであることが重要です。気になるポイントは、店頭のテスターなどで確認しましょう」

 日焼け止めの効果は、毎日塗り続けなければ発揮されない。使用感は効果以上に重要視すべき点だ。

「成分でまず注目してほしいのが、『SPF』と『PA』です。最初にSPFですが、これはUV-Bという種類の紫外線の影響が肌の表面に出る時間を、どのくらい遅くできるかという指標で、肌が赤くなるのを遅くさせる役割を持ちます。紫外線を浴びると20分程度で肌が赤くなるといわれているので、たとえばSPF30の日焼け止めの場合、20分×SPF30で600分、つまり、何もしていない状態に比べ、肌が赤くなるのを約10時間遅くさせる効果があるというわけです。SPFの最大値は50で、その上に50+という、より効果の高いランクがあります」

 SPFが肌の表面への影響を抑制するのに対し、PAは肌の真皮層への影響を防ぐ働きがある。

「UV-Aという種類の紫外線が肌の真皮層にまで達すると、コラーゲンを生成する組織などが破壊され、肌のハリなどが失われます。PAは『+』マークの数で表され、『++++』が最大です。UV-Aは窓ガラスも通過するため、屋内や運転中でも油断できません」「もしも量が少ないと思ったら、上から塗り足してください。また、耳や首の後ろは、塗り残しが多い部分です。顔だけでなく、当然、耳や首も紫外線のダメージを受けますから、塗り忘れがないよう注意してください」

 これで塗り方はマスターしたが、重要なのが塗る「タイミング」だという。野田氏は「外出の30分前までに塗り終えているのがベスト」と答える。

「日焼け止めは肌になじむまでに時間がかかるので、外出の30分前までには塗り終えているのがベストです。外出前はそんなに余裕がないという人は、15分前でもいいでしょう。どうしても時間がない場合は直前でもいいですが、しっかりと効果を引き出したいのであれば、30分前が最適ですね」

 さらに、SPFの効果が最大値まであったとしても、一定の効力が延々保たれるわけではない。汗をかいたり、衣服とこすれたりすれば、当然日焼け止めは落ちてしまう。そのため、まめな塗り直しも欠かせないのだ。

「理想は2時間に1度の塗り直しですが、現実的ではないですよね。少なくとも、朝、家を出る前に塗ったら、お昼頃に1度は塗り直すといいと思います」

 1日2回、日焼け止めを塗ることを習慣にするだけで、ダサい「マスク焼け」や、なかなか元には戻りづらい肌老化、そして皮膚がんのリスク回避率が上がるのだ。日焼け止めを手に出して、顔に点置きして、塗り広げて…という作業を面倒に感じる人には、スプレータイプの日焼け止めもある。この夏は自分の肌質、ライフスタイル、性格に合った日焼け止めで紫外線を予防したい。

 

吉村知事「大阪モデルに変更なし」© 産経新聞社 吉村知事「大阪モデルに変更なし」 大阪府の吉村洋文知事は8日、全国知事会後の記者会見で、政府の新型コロナウイルス分科会が7日に公表した感染状況の基準について、「一つの目安にするが、大阪は『大阪モデル』で進めていくことに変わりはない」と述べた。

 分科会は重症者用の病床使用率50%をステージ4(感染爆発段階)の指標の一つとしているが、大阪モデルは70%を非常事態の基準としている。

 吉村氏は「国はあくまでも参考と言っている。大阪モデルの基準を変えることは考えていない」と強調した。

 


8月9日、長崎に原爆が投下されてから75年を迎えた。人類史上2発目の原子爆弾が投下され、7万人以上が犠牲になった1945年8月9日は、どんな日だったのか。

写真や記録で振り返る。

© ハフポスト日本版

世界初の原子爆弾(ウラニウム爆弾)「リトルボーイ」が広島に投下されてから3日後の8月9日。

午前2時47分、太平洋に浮かぶ北マリアナ諸島のテニアン島からプルトニウム型の原子爆弾「ファットマン」を積んだ爆撃機B29「ボックスカー(Bockscar)」が離陸した。

その前日の8日には、ソ連が日本に対して宣戦を布告し、翌9日未明にソ連軍が満州に一斉に侵攻していた。

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米軍の記録によると、ボックスカー号は8時15分に屋久島に到着。

午前9時44分には投下の第1目標であった福岡県の小倉市(現北九州市)に到達した。

しかし、小倉付近はもやと煙で覆われており、視界不良のため投下を断念したという。前日に八幡大空襲による火炎の煙が視界不良の一因となったとも言われている。

原爆の投下は、レーダーではなく目視で行うことを厳命されていた。

ボックスカー号は、第2目標だった長崎に移動。10時50分に長崎に到着した。

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機長チャールズ・スィニー少佐の手記によると、長崎も同じく雲に覆われていたという。「レーダーによる爆弾投下もやむなし」と決断していたというが、燃料切れが近づく中、爆撃手が雲の切れ間から市街をわずかに確認した。

午前11時2分、高度9600メートルの上空から、原子爆弾(プルトニウム爆弾)が投下された。

爆弾は松山町171番地の上空約500メートルでさく裂。爆発によって発生したすさまじい爆風と熱線、放射線は街に甚大な被害をもたらし、多くの尊い命が奪われた。

© ハフポスト日本版 © ハフポスト日本版

爆心地から1キロ以内の区域では、強力な爆発圧力や熱気によって、住民のほとんどが即死したという。

原爆の投下によって、当時の人口24万人のうち、約7万人がその年の年末までに死亡した。1950年に発表された長崎市原爆資料保存委員会の報告によると、死者は7万3884人、重軽傷者7万4909人と推計されている。

ソ連の宣戦布告を受け、8月9日午前10時半すぎから鈴木貫太郎首相や東郷茂徳外相ら6人が出席した最高戦争指導会議が開かれ、ポツダム宣言の受諾条件について話し合われた。

朝日新聞(2007年8月30日朝刊)によると、会議は紛糾し、同日午後11時50分から昭和天皇が臨席した「御前会議」が始まる。日をまたいだ8月10日午前2時30分、「国体護持」を条件にポツダム宣言の受諾を決定。

14日に再び御前会議が開かれ、昭和天皇がポツダム宣言受諾の意思を表明し、「終戦の詔書」が発布された。そして、15日正午、詔書を朗読した音声がラジオで全国放送(いわゆる「玉音放送」)され、日本は終戦を迎えた。

 

 田上富久市長は「長崎平和宣言」で、「(原爆投下から)4分の3世紀がたった今も、私たちは『核兵器のある世界』に暮らしている」と危機感を表明し、核兵器廃絶の必要性を訴えた。

 また、長年にわたり核兵器の恐ろしさを訴え続けてきた被爆者に感謝と敬意を表すよう呼びかけ、参列者が約10秒間拍手を送った。

 安倍首相はあいさつで「唯一の戦争被爆国として『核兵器のない世界』の実現に向けた国際社会の努力を一歩一歩、着実に前に進めていくことは、我が国の変わらぬ使命だ」と述べた。

 新型コロナウイルスの影響で、式典会場では参列者を例年の10分の1の500人に制限するなどの対策が取られた。

 

 立憲民主党の福山哲郎幹事長は、安倍晋三首相出席の下で、新型コロナウイルス対策などを早急に審議する必要があると強調。「日本の統治に責任を持たず、国民に説明しないならば、内閣は一刻も早く総辞職するべきだ」と批判した。

 

8日、米東部ニュージャージー州ベドミンスターで、新型コロナウイルス経済対策を命じる文書に署名するトランプ大統領(AFP時事)© 時事通信 提供 8日、米東部ニュージャージー州ベドミンスターで、新型コロナウイルス経済対策を命じる文書に署名するトランプ大統領(AFP時事)

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は8日、週400ドル(約4万2000円)の失業給付上乗せなど、大統領権限で新型コロナウイルス経済対策を命じる文書に署名した。野党民主党との協議が難航する中、異例の対応に踏み切った。議会手続きを経ない強硬策に民主党の反発は必至だ。

 7月末に失効した失業給付の特別加算は、従来の週600ドル(約6万4000円)から減額する。財源は国土安全保障省の災害救援基金などを流用。州も一部負担する。家賃滞納者に対する強制立ち退き禁止措置の延長、学生ローン利払いの猶予も命じた。

 労使が折半で負担する給与税の一部について、9月以降に発生する納税分を年内は猶予。税負担の軽減によりコロナで経済的な打撃を受けた労働者を支援する。

 追加経済策をめぐる政権と与野党の協議は7日、物別れに終わった。トランプ氏は8日、東部ニュージャージー州で記者会見し、民主党が「必要不可欠な支援策を人質にすることを選択した」と非難した。

 ただ、予算措置は議会が権限を持つ。民主党は大統領権限による財源流用の法的根拠を問題視している。訴訟になれば経済対策の執行が遅れる可能性がある。 

 

原爆落下中心地碑を高校生が「人間の鎖」で囲った。今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、手袋を着けてひもを使った=2020年8月9日午前7時1分、長崎市の爆心地公園、長沢幹城撮影© 朝日新聞社 原爆落下中心地碑を高校生が「人間の鎖」で囲った。今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、手袋を着けてひもを使った=2020年8月9日午前7時1分、長崎市の爆心地公園、長沢幹城撮影

 長崎市の爆心地公園では9日早朝、高校生らが平和への願いを込め、原爆落下中心地碑を囲む「人間の鎖」をつくった。

 参加したのは、核廃絶を訴える署名活動などをする「高校生平和大使」たち。例年は国内外の高校生らが手を取り合うが、今年は新型コロナウイルスの感染防止のため、参加者を県内中心にした。集まった高校生ら約40人は直接手をつながず、ビニール手袋をした上でテープをにぎり、落下中心碑を丸く囲んだ。

 大使の1人で活水高3年の西村優香さん(18)は、75年前の被爆者の壮絶な体験を国内外の人に向けオンライン上で伝えたいと考えている。「高齢化する被爆者の思いを後世に受け継いでいきたい」と話した。(米田悠一郎)