2017年10月25日水曜日

                                                        分譲ふれあい広場
             第27回「分譲シネマ館」

    
      第13回日本アカデミー賞受賞(1990年)
      
  『あ♡うん』   1989年製作 東宝映画配給  114分

      日 時  11月9日(第二木曜日) 午後1時半より
      
      会 費  分譲100円 労住200円  サークル300円




  解 説


向田邦子の同名小説を高倉健主演、降旗康男監督で映画化。昭和初期の東京・山の手を舞台に2人の男と1人の女が織り成す人間模様を美しい映像で描き出す人間ドラマ。中小企業社長の門倉と安月給のサラリーマンの水田は性格も境遇も対照的ながら友情で結ばれていた。しかし門倉は水田の妻たみのことを密かに思い続けていて……。17年ぶりに銀幕復帰した富司純子(旧芸名・藤純子)、の清楚な魅力が光る。





あらすじ

新聞に「神風の覇業遂に成る」という見出しが躍る1937年(昭和12年)春。中小企業の社長・門倉修造が水田一家を迎えるための準備に忙しい。水田仙吉の娘・さと子は「だって、門倉さんはお母さんのこと好きだから」という。妻・たみは心の中を覗かれたようで否定する。水田が3年半ぶりに東京に帰り、一家ぐるみの付き合いが始まる。水田はつましいサラリーマンで性格も地味。門倉は軍需景気で羽振りがよく、妻・君子を女で泣かせてきた。二人は20数年来の「戦友」だった。
さと子は君子の紹介で帝大生・石川義彦と見合いをして石川に二人は
狛犬の「阿吽」みたいだといわれる。夜学しか出ていない仙吉は身分不相応と断わる。しかし、さと子が肺炎になると堀口大学訳の『ヴエルレエヌ詩集』を渡す。
出世のためと倒産寸前の門倉に上司の使い込みの5000圓の借金をする。隠れて石川とデートを重ねていたさと子が「
修善寺」と書いていなくなり、捜しに行った温泉では水田夫婦が駆落ちに間違えられる。生真面目な仙吉が門倉に紹介された神楽坂の芸者・まり奴に入れあげる。門倉はまり奴を匿ったが、誤解から君子や仙吉を傷つける。義彦が特高に捕まり、説得してくれと頼まれ、門倉は「みすみす実らないと分かっていても人は惚れるんだよ」という。門倉はたみに惹かれていく自分に歯止めをかけようと料亭で仙吉に喧嘩を売り、「顔つきが卑しくなったな」と水田家と絶縁する。さと子は「みんな本当のことを言わないで生きている」「巷に雨の降るごとく」というと門倉は「わが心にも涙ふる」[2]と答える。
仙吉が
ジャワ支店長として転勤することが決まり、門倉は最後の別れを言いに水田家を訪れ、仙吉の「入れるな」を制止してたみが中に入れる。義彦も召集令状を受け取り、別れを告げに来る。門倉はさと子に雪の中を去る義彦を追わせ、水田家で久しぶりに三人で酒をくみ交わす。「さと子ちゃんは今夜一晩が一生だな」とつぶやき、たみは「門倉さんの行く場所がなくなっちゃう」。

  (10月25日 記)