2020年7月3日金曜日

(写真:読売新聞)© 読売新聞 (写真:読売新
 宮城県内の上空で6月、白い球状の物体の目撃情報が相次いだ問題について、県は一連の経緯を内部文書にまとめた。高度3000メートル以上を浮遊し、白色の気球状の物体に十字形の部品、2基のプロペラがあったと分析。太平洋上に向かった推定の飛行経路も記されたが、「所有者・目的などは不明」と結論づけた。
 内部文書によると、県は6月17日午前8時20分、仙台市危機管理室からの照会で物体の存在を把握。陸上自衛隊、第2管区海上保安本部、県警、国土交通省仙台空港事務所、仙台管区気象台、国土地理院、東北大に問い合わせたが、有力な情報が得られなかっ
飛行物体は、蔵王町役場周辺から村田町役場の上空を飛行し、沿岸方面へ。同午後3時4
0分、曇り空になったことで県石巻合同庁舎(石巻市)から見えなくなり、仙台湾の海上
で見失った。同午後5時、県の領域から離れたと判断し、落下物も確認されなかったこと
から、対応を打ち切った。
 県には高い高度を飛行する物体を追跡する機材がなく、県幹部は「県の対応には限界がある」と話す。航空法違反の可能性もあり、村井知事は「何もしなくていいという問題ではない」と指摘。同様の物体が出現した場合は政府に対応を求める考えを示している。た。飛行物体は、蔵王町役場周辺から村田町役場の上空を飛行し、沿岸方面へ。同午後3時40分、曇り空になったことで県石巻合同庁舎(石巻市)から見えなくなり、仙台湾の海上で見失った。同午後5時、県の領域から離れたと判断し、落下物も確認されなかったことから、対応を打ち切った。
 県には高い高度を飛行する物体を追跡する機材がなく、県幹部は「県の対応には限界がある」と話す。航空法違反の可能性もあり、村井知事は「何もしなくていいという問題ではない」と指摘。同様の物体が出現した場合は政府に対応を求める考えを示している。た
 飛行物体は、蔵王町役場周辺から村田町役場の上空を飛行し、沿岸方面へ。同午後3時40分、曇り空になったことで県石巻合同庁舎(石巻市)から見えなくなり、仙台湾の海上で見失った。同午後5時、県の領域から離れたと判断し、落下物も確認されなかったことから、対応を打ち切った。
 県には高い高度を飛行する物体を追跡する機材がなく、県幹部は「県の対応には限界がある」と話す。航空法違反の可能性もあり、村井知事は「何もしなくていいという問題ではない」と指摘。同様の物体が出現した場合は政府に対応を求める考えを示している。
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参院議員の河井案里容疑者(C)朝日新聞社© AERA dot. 提供 参院議員の河井案里容疑者(C)朝日新聞社  辞職ドミノで激震が走っている広島県政界―-。


昨年7月の参院選をめぐり、前法相で衆院議員の河井克行容疑者と妻で参院議員の案里容疑者が公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕された事件をめぐり、県内の首長2人の辞職と地元の県議、市議ら37人がすでに辞職表明している。本誌が入手した「買収リスト」には約40人の地元議員の名前、住所、買収金額などが記されていた。リストによると最高金額は奥原信也県議の200万円。次に三原市長を辞職に追い込まれた、天満祥典氏の150万円。2回、3回とカネを河井夫妻容疑者から受領している議員もいる。自民党幹部がこう話す。
「河井夫妻容疑者からカネをもらった市議、県議が辞職して税金で、選挙となれば、自民党惨敗は必至。格好がつかない。広島は安倍首相の後を狙う、岸田文雄政調会長のお膝元でもある。今は、自民党本部で調整して市議、県議らへの穏便な対応とすることができないか検討している」
 一方、6月30日にはウグイス嬢に法定額に2倍にあたる3万円の日当を支払っていた容疑で逮捕されている克行容疑者の元政策秘書・高谷信介被告の公判が広島地裁で行われた。
 この日、証言に立ったのは、案里容疑者にウグイス嬢を紹介した渡辺哲司氏。法廷でウグイス嬢の日当が「河井ルール」で3万円と決まったことを証言した。渡辺氏は、1度、克行容疑者の衆院選で選対として陣営に入った経験もあり、以下のように克行容疑者の関与を証言した。
「日当3万円はその時から知っていた。案里容疑者も同じかなと思って、高谷被告に聞きました」
「高谷被告は克行容疑者に確認して『(法定金額の)1万5千円では誰も応じないですよね、3万円でいいです』と言っていた。そう伝えてきたと思う」
「(日当3万円の最終決定権は)克行容疑者にあったと思います。高谷被告は伝書鳩のようなものという感じはありました」
 克行容疑者が主導して、高額で違法な日当が決まったという見方を示した。渡辺氏の妻は渡辺典子広島県議。選挙区の広島市安佐北区は克行容疑者の地盤で、衆院広島3区と同じだ。その地元のつながりから克行容疑者と関わるようになったという。選挙を手伝ったり、克行容疑者の広報誌「月刊河井克行」の制作も手掛けていた。本誌の直撃に対し、渡辺氏はこう話す。
「2014年の選挙では、遊説担当として選対に入りました。深夜にメールが入って『朝4時に自宅に説明に来い』などと無理難題を言う克行容疑者。怒鳴られることもあって、嫌になり、近づくのをやめました。17年の選挙は挨拶に行ったくらいで手伝いませんでした。ああいうパワハラな人とはとても一緒にやれません」
 そして案里容疑者の参院選でも選対に入って欲しいと頼まれたという。
「最初30万円で入ってくれと言ってきた。嫌なので『1億円ならやりますよ』と冗談を言って断った。すると次に50万円でどうかと再度、打診があったが、断りました。選対に入って50万円をもらっていたら、私も公職選挙法違反になっていたかもしれません」
 こう続ける。
「克行容疑者は公職選挙法なんて関係がない。自分が決めたことに他が従う、独自の河井ルールという世界にいましたね。戸別訪問、ポスターの掲示など違法なことでもバレなきゃいいという考えです」
 妻の典子氏の名前も買収リストにあり、検察から克行容疑者から現金をもらったのではと何度も問われたという。
「克行容疑者とは選挙区が同じで17年から毎年、妻の政党支部に寄付をもらっていたが、政治資金収支報告書に記載しています。河井容疑者夫妻が広島県政界にカネをばらまいた結果、大勢が巻き込まれ、検察に虐められて苦しんでいる。そして県民に多大な迷惑がかかっている。2人には大きな罪があるのです」
 自民党から河井夫妻容疑者に渡っていた1億5千万円。うち1億2千万円が、政党交付金、税金であったことがわかった。それが買収資金となった可能性がある。
「河井夫妻容疑者がばらまいたカネの原資は徹底的に調べている。すで自民党本部の職員らから話は聞いている。さらなる捜査も視野にある」(捜査関係者)
 前出の自民党幹部はこう言う。
「今の時代に選挙で議員本人が、カネをばらまくなんて信じられない。自民党本部の者まで事情を聞かれ、万が一にも捜索となれば、安倍政権は広島から崩壊しかねません」
(本誌取材班)
※週刊朝日オンライン限定記事

都内の新規感染者は124人…2か月ぶりに2日連続で3桁




 東京都内で3日、新型コロナウイルスの感染者が新たに124人確認されたことがわかった。2日の新規感染者107人をさらに上回ることになった。
 都内で2日連続で新規感染者が100人を超えるのは、政府の緊急事態宣言が発令中だった5月1日(165人)と翌2日(154人)以来、2か月ぶり。小池百合子知事は3日、報道陣に、「『夜の街』のほか、家族や職場などでも感染が確認されている。適切な距離を取ることなどを心がけてほしい」と述べた。

あおり運転罪 取り締まり強化で安全を守れ



 あおり運転は、重大な事故を引き起こしかねない危険な行為である。厳罰化を機に、悪質な運転を一掃させたい。
 あおり運転罪を創設した改正道路交通法が施行された。他の車の通行を妨げることを目的にした幅寄せや急ブレーキなど、10類型が対象だ。事故を起こさなくても適用される。
 5年以下の懲役または100万円以下の罰金など、飲酒運転と同程度の厳しい罰則が設けられた。違反した場合には、ただちに免許取り消しとなり、最長で3年間は再取得することができない。
 これまで道交法の車間距離保持義務違反や刑法の暴行罪で摘発してきたが、行為の危険性に比べて罰則が軽すぎると指摘されていた。あおり運転を直接、処罰できるようになった意義は大きい。
 かつて飲酒運転が厳罰化された際は、警察による取り締まりの徹底もあって、社会の意識改革が進み、事故が激減した。今回もドライバーの意識を高め、事故の抑止に結びつけねばならない。
 あおり運転で相手を死傷させた場合に、法定刑が重い「危険運転致死傷罪」を幅広く適用できるようにする法改正も行われた。神奈川県の東名高速で2017年、無理やり停止させられた車の夫婦が死亡した事故がきっかけだ。
 あおり行為自体に加え、その結果も厳しく問える法が整備されたことになる。痛ましい事故を防ぐ効果が期待できよう。
 課題は、故意にあおり運転をしたことをどう立証するかである。刑罰や重い処分を伴うだけに、一般的に許容される運転との線引きには厳格さが求められる。
 当事者らの証言に加え、スマートフォンの映像など客観的な証拠に基づく立証が必要になる。警察は適正な運用に努めてほしい。
 カギを握るのはドライブレコーダーの普及だ。岡山県警は、あおり運転を記録した動画の提供を受け付けるサイトを設け、摘発につなげている。政府や自治体には購入費補助を進めてもらいたい。
 警察庁が18、19年の悪質なあおり運転133件を分析したところ、加害者は10歳代など若年層の割合が高かった。「進行を邪魔された」など、被害者側に問題があると主張したケースが目立つ。
 運転中に生じる怒りの感情をどうコントロールするのか。免許の取得時や更新時の講習を通じた指導の充実が欠かせない。急な車線変更をしないなど、あおり運転の被害に遭わないような運転方法を教えることも大切だろう。






[論点スペシャル]コロナ死 投げかける課題





 新型コロナウイルスの感染による国内の死者数は、2日時点で1000人に迫っている。欧米などと比べれば数は大幅に少ないものの、有名人の相次ぐ突然の死や、患者の最期に十分な看取みとりのできない残酷な現実が国民に衝撃を与えた。コロナ禍による死が私たちに投げかける課題は何か。2人の識者に聞いた。(編集委員 山口博弥)
 





◆有名人の相次ぐ突然の死=コメディアンの志村けんさんは3月25日、新型コロナウイルスに感染して入院している事実が報道され、4日後の29日に死去した。70歳だった。4月23日には女優の岡江久美子さんが63歳で亡くなり、翌24日には外交評論家の岡本行夫さんが74歳で、5月13日には大相撲力士の勝武士しょうぶしさんが28歳で死去した。


やなぎだ・くにお 災害・事故、がん死、戦争死などを60年余取材。著書に「新・がん50人の勇気」「僕は9歳のときから死と向きあってきた」など。84歳。
やなぎだ・くにお 災害・事故、がん死、戦争死などを60年余取材。著書に「新・がん50人の勇気」「僕は9歳のときから死と向きあってきた」など。84歳。

 

「さよなら」言えぬ葛藤…ノンフィクション作家 柳田邦男氏

コロナ禍による死で最も大きな特徴の一つは、「さよならを言えない死」ということだろう。
 ウイルスに感染して入院した人に、家族は見舞いに行けず、亡くなる時に十分な別れも言えない。葬儀ではひつぎの故人の顔をなでたり花を入れたりすることもできず、火葬場では限られた人しか立ち会えない。
 そもそも死とは、呼吸や心臓が止まるという医学的な現象だけを指すのではない。そのしばらく前からの別れの時間を含めて、人の死なのだ。
 死んだら終わり、ではない。亡くなった人の豊かな精神性は、死後も家族や友人ら次の時代を生きる人たちの心の中で生き続け、支えてくれるエネルギー源にもなる。こうした精神的ないのちのことを、私は「死後生」と名付けた。
 このように、死とは幅の広いものであり、その過程できちんとした看取りができなければ、喪失による遺族の悲嘆は深くなり、心の傷が残ってしまう。
 コロナ禍の死は今回、現代社会が抱える多様な死の意味づけを浮かび上がらせたとも言える。
 太平洋戦争の戦地では、砲撃や爆撃、病気や飢えで大量の死者が出て、放置された遺体も多かった。遺族のもとには空っぽの遺骨箱が届く。遺族は、戦死の状況も知らされず、国家によって規定された「お国のための死」を受け入れることを強制された。
 2001年の米国の同時テロ、11年の東日本大震災での津波被害では、遺体が見つからない事例も多かった。遺族は、大切な人の死を確認できない「あいまいな喪失」に葛藤を抱えた。
 コロナ死は、きちんとお別れができないという意味で「あいまいな喪失」に近い。しかも、差別や偏見という別の問題が加わり、遺族のつらさは複雑になる。
 同じ病気でも、がん死はゆるやかな死と言える。家族との別れの時間もあり、人間らしい最期を迎えられる緩和ケアがここ30~40年の間に構築されてきた。しかし新型コロナのような「疫病死」では、病院死にもかかわらず、こうした体制が全く整備されていない。
 この問題を解決するためには、医療機関や行政が、オンラインの画像や音声を活用して家族の言葉かけや別れができる方法を開発、普及すべきだ。1000人近い過酷な死から学ぶことは多い。苦痛の緩和のあり方はもちろんだが、より良い別れの創造も重要だ。
 配偶者や子ども、恋人、友人の死は「二人称の死」と呼ばれる。医療従事者や行政は、「三人称の死」から一歩踏み込んだ「二・五人称の死」の視点を持ち、患者や家族に寄り添った対策を検討する研究班を発足させてほしい。

    差別・偏見 分断の危機…宗教学者 島薗進氏


しまぞの・すすむ 上智大実践宗教学研究科教授、同グリーフケア研究所長。東京大卒。専門は宗教学と死生学。著書に「ともに悲嘆を生きる」など。71歳。
しまぞの・すすむ 上智大実践宗教学研究科教授、同グリーフケア研究所長。東京大卒。専門は宗教学と死生学。著書に「ともに悲嘆を生きる」など。71歳。

 コロナ禍では、感染者や家族、治療に関わった医療従事者らへの差別や偏見が社会問題になっている。
 そもそも、感染症の人を忌避することは人類史とともに存在してきた。死体をけがれや不衛生と見る心性の背景には、感染症への恐怖もあり、遺体処理に関わる差別の要因にもなった。一方で、インドや中国には釈迦の遺骨「仏舎利」を奉納する文化があり、死者を手厚く葬る文化もあった。日本も次第に手厚く葬る方向に進んできた。
 近代になると、人類は次第に多くの感染症を制御できると感じるようになった。衛生状態も大きく改善した結果、人生の最期を丁寧に看取り、遺体も安全に処理できるようになった。
 しかし現代は、共同体が崩れ、1人で死んでいく人が増えた。近年、葬儀は簡素化し、通夜や葬儀を行わずに火葬のみを行う「直葬ちょくそう」も増えてきた。コロナ禍では、遺族が不本意ながら、この直葬を行わざるを得なくなってしまった。海外では、各地で医療崩壊に伴う死者の増加で、遺体の置き場所に困る例さえ見られた。今後、死者の尊厳が守られない傾向が増すかもしれない。
 コロナ禍で表面化した日本での差別や偏見は深刻だ。感染者の自己責任が問われ、まるで感染したことが悪いかのように受け取られている。こうなると、遺族は大切な人の死を隠さざるを得なくなり、その悲しみや苦しみが人々の目に見えてこない。
 遺族の悲嘆に多くの人々が寄り添った大震災と異なり、ともに死の悲しみを分かち合うことができず、むしろ分断と孤立へと向かっているかのようだ。
 問題を克服するには、まずは感染者の苦しみや遺族の悲しみ、感染リスクを背負いつつケアを続けた医療・介護関係者らの苦労を国民が知り、理解する必要がある。表面化しにくい事実を発掘するメディアの力に期待したい。
 日本より感染者も死者も圧倒的に多い米国では、黒人男性が白人警察官の暴行で死亡した事件を機に、人種差別への抗議活動が広がり、苦難を被る人々の悲しみを多くの人々が分かち持つ場になった。コロナ禍による死者も、差別される側の層で多く、格差社会への怒りが重なっている。分断ではなく、むしろ悲しみによる連帯の側面があるのではないか。
 ただ、欧米では人工呼吸器が不足し、救命の可能性が低い人には使わない「トリアージ」も一部で行われた。こうした「いのちの値踏み」が将来、日本でも起きると、死の悲しみの分かち合いはさらに難しくなる。新たな悲劇を生まないためにも、医療体制のさらなる強化が欠かせない。

あおり運転罪 取り締まり強化で安全を守れ





 あおり運転罪を創設した改正道路交通法が施行された。他の車の通行を妨げることを目的にした幅寄せや急ブレーキなど、10類型が対象だ。事故を起こさなくても適用される。
 5年以下の懲役または100万円以下の罰金など、飲酒運転と同程度の厳しい罰則が設けられた。違反した場合には、ただちに免許取り消しとなり、最長で3年間は再取得することができない。
 これまで道交法の車間距離保持義務違反や刑法の暴行罪で摘発してきたが、行為の危険性に比べて罰則が軽すぎると指摘されていた。あおり運転を直接、処罰できるようになった意義は大きい。
 かつて飲酒運転が厳罰化された際は、警察による取り締まりの徹底もあって、社会の意識改革が進み、事故が激減した。今回もドライバーの意識を高め、事故の抑止に結びつけねばならない。
 あおり運転で相手を死傷させた場合に、法定刑が重い「危険運転致死傷罪」を幅広く適用できるようにする法改正も行われた。神奈川県の東名高速で2017年、無理やり停止させられた車の夫婦が死亡した事故がきっかけだ。
 あおり行為自体に加え、その結果も厳しく問える法が整備されたことになる。痛ましい事故を防ぐ効果が期待できよう。
 課題は、故意にあおり運転をしたことをどう立証するかである。刑罰や重い処分を伴うだけに、一般的に許容される運転との線引きには厳格さが求められる。
 当事者らの証言に加え、スマートフォンの映像など客観的な証拠に基づく立証が必要になる。警察は適正な運用に努めてほしい。
 カギを握るのはドライブレコーダーの普及だ。岡山県警は、あおり運転を記録した動画の提供を受け付けるサイトを設け、摘発につなげている。政府や自治体には購入費補助を進めてもらいたい。
 警察庁が18、19年の悪質なあおり運転133件を分析したところ、加害者は10歳代など若年層の割合が高かった。「進行を邪魔された」など、被害者側に問題があると主張したケースが目立つ。
 運転中に生じる怒りの感情をどうコントロールするのか。免許の取得時や更新時の講習を通じた指導の充実が欠かせない。急な車線変更をしないなど、あおり運転の被害に遭わないような運転方法を教えることも大切だろう。

新型コロナと持病<3>過度に恐れず感染対策



全国腎臓病協議会の事務所でパソコンに向かう小平さん(東京都文京区で)
全国腎臓病協議会の事務所でパソコンに向かう小平さん(東京都文京区で)
 腎臓病の人が新型コロナウイルスに感染すると、重症化する可能性がある。だが、健康な人と同じように予防策を講じれば、感染のリスクは減らせる。
全国腎臓病協議会理事の小平敬明さん(61)は30年近く人工透析を続けている。10歳代で腎臓の機能が悪いと言われた。それが原因で歩くとすぐに体がだるくなった。尿を作る働きをする腎臓の糸球体が炎症を起こす慢性糸球体腎炎の疑いがあると診断された。今は同会で働きながら週3日、透析施設に通っている。
 仕事などの合間を縫って映画館に出かけたり、ライブハウスでフォークソングを聴いたりするのが楽しみだ。「自分が行くライブハウスの会場は20~30人も入ればいっぱいになります。手が届くような距離で奏でられる音に耳を傾けることは、とても幸せ」と言う。
 新型ウイルスに対しては「漠然とした怖さ」を感じている。こまめに手を洗い、外出時は密閉・密集・密接の「3密」を避けることを心がけている。
 5月25日に緊急事態宣言が全面解除され、社会経済活動は平時に戻りつつある。「そろそろ映画館には行きたいな」と小平さん。ただ、ライブについては「会場からインターネットで配信される演奏をパソコンで見て楽しんでいます」。「新しい生活様式」を早速取り入れている。
 腎臓病が悪化し、人工透析をしていたり免疫抑制剤を使っていたりする人は、免疫力が低下している。このため、こうした人が感染症にかかると、重症化しやすいとされている。
 しかし、東京大学病院腎臓・内分泌内科教授の南学正臣さんは、「感染対策をしっかりしていれば、必要以上に恐れることはありません」と話す。
 腎臓病の人は、高血圧や糖尿病なども患っていることが多い。自宅に籠もりきりの生活が続くと、運動不足になって肥満を招く要因となる。新型ウイルスに感染するのを恐れて医療機関の受診を控えると、治療が中断してしまう。血圧や血糖値の管理が難しくなり、結果的に腎臓病を進行させることにもなる。
 これからの季節は、脱水にならないように水分補給をすることも大切だ。これを怠ると腎臓への血流が減り、腎臓病を悪化させてしまう恐れがあるからだ。
 また、気温が上がると低血圧を起こしやすくなり、血流低下の一因となる。南学さんは「血圧の薬を冬や春などと同じように飲み続けていると、夏は血圧が下がりすぎてしまうことがあります。かかりつけ医の指示に従い、薬の量や種類を調節する必要があります」と話している
  2020/7/3/  編集手帳


閑古鳥はカッコウの古名で、鳴き声がさびしく聞こえるためその名がついた。<うき我をさびしがらせよかんこ鳥>と芭蕉も詠んでいる◆憂鬱ゆううつな私をもっとさびしがらせよ、とはどんな心境だろう。教科書的な解釈とは異なる感想を、詩人の谷川俊太郎さんが随筆に書いている。芭蕉はカッコウの声に救いを求めたのかもしれないと。古語「さびし」が<もとの活気ある、望ましい状態を求める気持ちでいる意>を含むためという(「聞きなれた歌」)◆もとの活気に戻ろうと踏み出したところに、ショックなニュースだろう。東京の日ごとの感染者数が100人を超えた◆感染が拡大しつつある。小池百合子知事が記者会見で語気を強めた言葉を拾うと、20代、30代、夜の街、パーティー、接待を伴う…若い世代を中心に行動を慎めば、まだ局面を変えられるということだろう。飲んで騒いで飛沫ひまつを交換する前に、人通りの絶えたさびしい街の景色を思い出してもらいたい◆きまじめに自粛要請に従った人は隅々に及び、小さな居酒屋のご主人などが泣く泣く閑古鳥の声を聞いたのはつい最近のことである。もう忘れた?
       2020.07.03 14:11



東京都で新たに124人の感染確認
  東京の感染者数が連日の100人台…「夜の街を重点的に調べた結果。慌てず冷静な受け止めを」京大・宮沢准教授

 東京ディズニーリゾートが4カ月ぶりに営業を再開するなど、経済活動の再開が進んできた東京。しかし、6日連続で50人を超えてきた東京都の新規感染者は2日、一気に107人に達した。同日夜に会見を開いた小池都知事は「感染拡大要警戒」として、「20代・30代の若者が今日も多くなっている。改めて“夜の街”は要注意だ」と呼びかけた。
     
 2ヶ月ぶりの100人超に国内が騒然とする中、「107人という数字には全く驚かない。ホストクラブなど、夜の街の人を重点的に検査した結果であって、自粛の解除によって流行っているというわけではないとみるべきだ。そういう事情を知らないと慌ててしまう」と話すのが、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授(ウイルス学)だ。

 「今は3月、4月の段階よりも5~10倍くらい検査をしているので、その分だけ陽性者数が多く出てしまうことは仕方がない。3月、4月にもっと調べればもっと出ていただろうし、渋谷の夜の街の人を対象に検査をすれば同じように陽性者が出ることも考えられる。そういうところを冷静に見てほしい」。

  一方、検査数が不足しているのではないかとの疑問については「もちろん、どこで流行っているのかを把握するために検査をすることは重要だが、全員を対象にするというのはどうだろうか。若い人の場合はほとんどが無症状なわけで、それを見つけて騒ぎ立てるというのもどうかと思う。ただ、介護施設や病院など、重症化しやすい人たちがいる場所については業務を続ける意味でも定期的に調べるべきだ。簡単な検査や抗原検査も出てきているので、政治的にも可能だと思う」とした。
 
「飲み会で大声を出すことや、カラオケには注意を
   
 都内の会社員からは「やっぱり不安だ。飲みに行く回数とかをセーブしなければならない」また、“夜の街”で働くガールズバー店員からも「やばい。結構密室なので、それがちょっと怖い。かかる方ではなくうつす方が怖い」といった声が聞かれた。やはり大勢が集まるパーティや飲み会の開催・参加はしないほうが良いのだろうか。
  宮沢准教授は実際に集団感染が発生したホストクラブで聞き取りをしており、名指しされている新宿のホストクラブの状況について「新宿では陽性者が出たホストクラブが営業を一定期間、自粛しているので、ピークは過ぎつつある状況だと思う。ただ、ホストの間では感染している一方、接客した女性にはほとんど感染していない。つまり、事は簡単ではなく、いわゆる“アフター”でどんちゃん騒ぎをしている中で感染している可能あるまた、隔離された人にも聞き取りをしたが、1日だけ38.6℃くらいの発熱があったというのが最も症状が酷かったケースで、多くは無症状、あっても微熱や味覚障害で収まっていた。本人たちも“この程度なのか”“こんなに流行っているのか”と驚いていたくらいだ」と説明。

  その上で、「やはり免疫ができていない人もいるわけで、再び市中で流行する可能性がないとは言えない。現時点では普通の飲み会で集団発生しているというケースはあまりない。また、データは2週間前、1週間前の情報だということにも注意が必要だ。それでも、まだ心配する状況ではないと思う」との見方を示す。「自粛に反対していると捉えられがちだが、飲み会で大声を出すことや、カラオケには注意をするよう言い続けてきた。外や暑いところで喋らない限りマスクをする必要はないが、職場においても大きな声は出さない、喋る時はマスクをするということを継続してほしい」。
 
「怖がり過ぎることも、怖がらないことも間違いだ」
     
  今週、東京都は新たなモニタリング項目を公表している。これらは大きく「感染状況」と「医療体制」に分けられており、前者は新規感染者数や消防の電話窓口への発熱などの相談件数、感染経路不明者の数と増加比率が、後者はPCR検査・抗体検査の陽性率、救急医療の「東京ルール」適用件数、入院患者数、重症患者数となっている。

  都ではこれに基づき、新規感染者数が100人を超えた現状を「感染拡大要警戒」の段階にあるとしているが、小池都知事も“夜の街”への外出を控えるよう呼びかけたにとどまり、再度の休業自粛要請といった具体策については触れていない。こうしたことから、すでに撤廃された、都民に警戒を呼びかける「東京アラート」との違いが分からないと困惑する声もある。

  宮沢准教授はこれらの基準づくりや対策について「よく分からない。選挙のこともあるのかもしれない。ただ、数字で線を引くということは非常に困難だ。同じ数値でも、おじいちゃんおばあちゃんに広がっているのと若い人に広がっているのとでは全く意味が違う。強いていえば重症患者数、あるいは入院者数を見て対応すればいいと思うが、東京都の統計を見ると非常に低いまま推移しているので、現時点では“今まで通り警戒しましょう”くらいで問題ないと思う」とした。
 また、今後については「怖がり過ぎることも、怖がらないことも間違いだ」と指摘。「猫の病原性コロナウイルスの場合、約1万個の感染性ウイルスが体内に入ることが必要なので、感染者から自分に入ってくるウイルスの数を100分の1に減らせれば、感染はほぼ防げる」として、「常日頃から“100分の1”を意識して、目・鼻・口を触らない、大声を出さない、マスクをするといった、それほど不自由はしないことを実践すればいい。冬場になってくるとまた増えてくる可能性があるので、大騒ぎしないで飲むといった遊び方を今のうちから身に付ければいいと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)