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気象庁の観測史上、台風による瞬間風速の最大値は、1966年9月5日に沖縄・宮古島で記録された85・3メートルだという。島の半数以上の家屋が損壊したとされる◆ほぼ日付を同じくして、最大瞬間風速80メートル以上といわれる台風10号が沖縄諸島を北上する。沖縄の方々が無事に乗り越えていただくことを祈るばかりだ◆風速80メートルとはどんな風か。たとえを聞いて背筋が寒くなった。人体が受ける風圧は、高速で走る新幹線の屋根にしがみついた場合と同等だという。気象庁の言う「これまでに経験したことのない台風」とは、普段の生活の景色を新幹線の屋根に変えかねないということだろう◆6日から7日にかけて、九州の西岸を台風の中心が進むとされる。この位置については、専門家が最悪ではないかと指摘している。おととし大阪に甚大な被害を招いた台風に同じく、「危険半円」と呼ばれる右半分が九州にかかるためだ。風速60メートルを超せば、木造家屋は変形・倒壊の危険がある。懸念のあるご家庭はどうか、堅固な建物への避難を急がれたい◆決断するなら、きょうである。新幹線の屋根からどう逃げるか。