健康ウォッチを1年間使ってみた
編集委員 東一真
「チャージ3」という健康ウォッチ(ウェアラブル活動量計)を購入したのは昨年の3月でした。フィットビット(Fitbit)という米国メーカーの製品です。
早速、使い始めました。この健康ウォッチは、歩数、心拍数、消費カロリーなどが記録されます。また、1日の目標歩数を8000歩と設定しておくと、8000歩に達した瞬間に、ウォッチがブルッと震え、小さな画面ではミラーボールがきらきら光ったり、テープが飛んだりして、祝福してくれるのです。心拍数から、脂肪燃焼した時間、有酸素運動の時間、睡眠の深さなども測定して表示されます。
使い始めて1年以上がたちますが、こうした健康ウォッチが健康のために役に立つかどうか、気がついたことがいくつかあります。
<気づき1> 記録すると運動する
使い始めた当初は、「今日は何歩歩いたかな?」「消費カロリーは?」「有酸素運動の時間は?」と気になって気になって、駅から自転車で自宅まで帰るのにわざわざ遠回りをしたり、2駅前で電車を降りて5キロ近くを歩いて帰ったりと、数字を伸ばすために色々な努力をするようになりました。
食べたものを記録する「レコーディング・ダイエット」と同じ原理ですね。人は記録をし始めると、良い記録を残そうと努力するものなのでしょう。チャージ3で計測したデータは、近距離無線通信ブルートゥースでスマホに伝えられ、蓄積されます。スマホのアプリを見ると、「今日はこれまでで一番運動したな」「昨日より歩かなかったな」と、すぐにわかるわけです。
今、アプリを見返すと、昨年3月4日から記録が始まります。例えば歩数を調べてみると、その週の合計歩数は5万1631歩でした。その翌週からの週合計歩数は6万5894歩→8万6743歩→8万479歩→9万481歩と急激に伸びます。
<気づき2> でもだんだん飽きてくる
その後は週9万歩に到達することはなく、それでも昨年の秋口くらいまでは週6万~8万歩のペースを維持している感じですが、徐々に歩数は減っていき、そして記録ナシの日が出てきます。休みの日などはウォッチをつけない日が増えたのです。はい、そうです。飽きてきたのです。
記録による運動の増加は、半年程度の持続力しかありませんでした(私の場合です。粘り強い性格の人はもっと続くでしょう)。その後、チャージ3をつけていたとしても、普通の時計として使うばかりで、歩数とか心拍とか活動時間とか、全く気にしなくなってしまったのでした。
<気づき3> 出社して仕事をするだけで運動になる
さて、健康ウォッチをつけていても、記録を残すためにことさら運動をしなくなりました。そうすると逆に、日常のなかの運動量が「素の状態」で記録されていくわけです。そこで小さな発見がありました。「出社して仕事をするだけで相当運動している」という事実です。
例えば普通のウィークデー。駅まで自転車や徒歩で行き、階段を上ってホームを目指します。乗り換えの度に、階段の上り下りで運動します。会社のなかでも階段でフロアを移動したりするので結構歩きます。さらに、記者会見や取材のアポ、シンポジウムやイベントなどで外出する(コロナ以前の話です)と、当たり前ですが、ますます歩くし、階段も上ります。
朝出社して、いろいろ仕事して、夜家に帰る――。これだけで8000歩以上歩く日が多いのです。逆に休みの日に家でダラダラしていて、夕方の散歩で一気に歩数を稼ごうとしても8000歩を歩くのは、結構難しいものです。
最近は「コロナ太り」が話題になっていますが、「さもありなん」と思います。会社に行かなければ必然的に運動量は落ちます。テレワークには必ず運動の時間を意識的に組み込まないことには、維持可能な「新しい生活様式」にはならないでしょう。この1年の健康ウォッチ体験から、そう感じている次第です。