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2020年9月18日金曜日
コロナショックによる経済への影響が読めない中、やはり心配になるのは「自分のお金をどう守るか」だろう。「今こそ投資」とばかりに、証券口座を開く人が増えているという話も聞く。
経済評論家の藤巻健史氏は、「巨大な危機が確実に進行している」と主張し、「今は『守り』の資産運用に徹するべき」とアドバイスする。そのことを説いた著書『コロナショック&Xデーを生き抜くお金の守り方』(PHPビジネス新書)を発刊した藤巻氏に、「自分の資産を守るため、今すぐすべきこと」についてうかがった。
*本稿は、『コロナショック&Xデーを生き抜くお金の守り方』(PHPビジネス新書)の内容を抜粋・編集したものです。
投資の基本は「安い時に買って高い時に売る」。ただ、それができれば苦労はないわけで、プロですらそう簡単にはいきません。
ただし、これはあくまで「短期の値動き」の話です。どんなプロも短期の動きを正確に読み解くことは不可能です。ただし、「大きなトレンド」ならば、ある程度読むことができます。
その大きなトレンドを考えるならば、今は「守りのスタンス」に徹する時期だと思います。
今の日本はあまりにも巨額な財政赤字を抱えているうえ、「異次元の量的緩和」を繰り返したことで、「いつ水があふれてもおかしくないコップ」のような状態です。そこにコロナショックが襲いかかり、さらにリスクが高まっているのが現状。水があふれるとはつまり、ハイパーインフレが起きて円の価値が暴落し、資産の価値も暴落するということです。
コロナショック後の経済の先行きがあまりにも不透明な今、リスクを取るべきではないのです。こんな時に、お金を儲けようとするのは、ギャンブルというより、ただの無謀です。
インフレ時のセオリーは、他国に自分のお金を逃がすことです。第一次世界大戦後のドイツでハイパーインフレが起きた時も、助かったのは周辺諸国に財産を逃がしていた人たちだと聞きます。
有事の際に、自分の資産を守るために買う通貨のことを「避難通貨」といいます。手持ちの円を一部だけでも避難通貨に替えておけば、ハイパーインフレで円が紙くずになった時の保険になります。
そもそも、資産をすべて円で持っているということは、自分にはその意識がなくても、「円に100%賭けている」のと同義なのです。リスクヘッジの基本は分散投資です。ハイパーインフレが起ころうと起こるまいと、資産の一部を別の通貨に変えておくことは必須と言えるでしょう。
避難通貨の条件は、何よりも信頼性です。そうなるとやはり、先進国の通貨および金融商品ということになるでしょう。
中進国や新興国などは、経済的には伸びていても金融市場が発達していないので、金融商品の流動性リスクがあります。流動性リスクとは「売りたい時に適切な値段で売れない」というリスクのこと。私は30年近くマーケットの世界で生きてきましたが、売りたい時に売れないマーケットほど、怖いものはありません。
例えば、不穏な動きを察知して、1000万円の金融商品を売りに出したとします。しかし、誰も買い手がつかず、実際に売り注文が実行された時には200万円に下がっていた、などということもあり得るのです。刻々と損が膨らんでいくのをなすすべもなく見守るのは、まさに地獄です。
コロナショック後は、中国経済のさらなる拡大を予測する人もいますが、中国もまた、流動性リスクの高い国です。2015年7月、中国の上海株式市場で、多数の株が売買停止になったのは記憶に新しいところ。中国だけでなく、ブラジルやロシア、インドといったBRICs諸国も注意が必要だと私は思っています。
■余裕資金がない人も、今すぐドルを買うべき
そう考えると、お金を逃がす先の候補は絞られてきます。具体的には米ドル、イギリスポンド、スイスフラン、豪ドル、カナダドルといったところでしょうか。ここでは詳しくは触れませんが、ユーロはある「構造的欠陥」を抱えているため、あまりお勧めできません。
どれを買ってもいいのですが、中心に据えるべきはやはり、米ドルでしょう。
日本円の金融資産をどのくらい持っているかにもよりますが、当面の生活には使わないであろう余裕資金は、ドルおよびドル資産に替えておくことをお勧めします。ちなみに私は資産のかなりの部分をドルに移しており、日々の生活に使う円が足りなくなって困るほどです。さすがにこれはやり過ぎにしても、ある程度まとまった金額をドルに移してしまってもいいのではないかと思います。
「自分にはそもそもドル資産に替えてまで守るべき資産なんてない」「住宅ローンの返済や教育費などで家計は火の車」という人もいるかもしれません。しかし、そういう人たちこそ、今から準備を始めるべきです。今、貯金がまったくないというなら、毎月の積立でドル資産への投資を始めていくという方法もあります。
■「最強」のアメリカに死角はないのか?
ではなぜ、米ドルなのか。アメリカに留学し、アメリカのモルガン銀行に長年勤めていたため、「フジマキはアメリカがよほど好きなのだろう」と思われるかもしれませんが、まったくの誤解です。私はむしろアメリカ出張が大嫌いで、なんだかんだと理由をつけてほとんど行かなかったくらいです。
そんな私が「ドルを買え」と言い続けているのは、「アメリカが好きか嫌いかは別にして、その勢いが衰える材料は見当たらない」というのがその答えになります。
アメリカは政治・経済・軍事すべてにおいて世界最強です。かつてほどの国際政治力はないとしても、経済では依然としてGDP世界第1位。ここ15年のGDPの推移を見ると、リーマンショックの影響で2009年のみ後退したものの、それ以外は軒並み成長し続けています。GDPが巨大になれば成長率は下がっていくものですが、あのドデカい図体でもかなりの成長を続けているのには感心します。
2017年にトランプ政権が誕生してからは株価も絶好調で、2020年2月12日には、2万9551ドルまで上昇しました。コロナショックによって一時は2万円台を切るまで大暴落しましたが、その後立て直し、2020年6月12日時点で、2万5605ドルまで回復しています。
■アメリカ経済の強さは「多様性」と「金融のプロ」の存在にあり
新型コロナウイルスでは世界最大の感染者を出し、経済的にも大打撃を受けたにもかかわらず、なぜ株価が下がらないのか。
これは、政府の財政出動の効果が一番大きいとは思いますが、レンタカー大手のハーツやアパレルのJクルーなどコロナ倒産に追い込まれた企業がある一方、コロナショックがむしろ追い風となったIT企業や医療メーカーが好調を維持していることも大きいでしょう。このように、多様な産業を持つこともアメリカの強みです。
今でこそ原油価格が低迷していますが、石油は世界経済の最重要資源の一つであることには違いありません。アメリカはシェール革命のおかげで世界最大の石油生産国になりました。またGAFAと呼ばれる情報産業の会社はすべて米国籍です。要は石油と情報という、これからの世界の二大資源を押さえているのがアメリカなのです。
また、自国の経済を切り盛りするアメリカの財務長官が、常に金融のエキスパートであることも、信頼に足ります。現職のスティーブン・ムニューシンは、ゴールドマン・サックスの幹部として活躍した人物です。その前任のジェイコブ・ルーはシティグループの投資選択部門でCOO(最高執行責任者)を務めていました。歴代財務長官には他にもゴールドマン・サックス出身のヘンリー・ポールソンやロバート・ルービン、ハーバード大学で史上最年少の教授になった経済学者であるローレンス・サマーズなど、錚々たる面々が並んでいます。日本の歴代の財務大臣が、経済・金融のプロでないのに比べると、雲泥の差です。
以上のことを考えると、コロナの感染拡大が終息すれば、世界で最初に経済が回復するのはアメリカだと考えざるを得ないのです。好き嫌いは別にして、一番安全性の高い通貨に避難すべきということです。
コロナショック&Xデーを生き抜くお金の守り方
藤巻健史(経済評論家) 発売日: 2020年07月17日
コロナショックの影響はいつまで続くのか……。正直、先は読めないが、著者によれば「どう転んでも日本の危機は逃れられない」という。では、不可避の危機に対して、我々個人はどうすればいいのか。本書では、通貨、株、国債、金、不動産などについて、「今買うべきもの」と「買ってはいけないもの」を一つひとつ分析。国内外を知り尽くす金融のプロであり、政治家として日本の問題点にも鋭く切り込んで来た著者だからこそ書ける一冊。コロナショックを受け緊急発刊!
藤巻健史(経済評論家)
主婦のパート年収はいくらまでに抑えるといい?
子育てが一段落すると働くママが増えてきました。教育費などがかかるようになり、家計の収支を考えると専業主婦より有利になるからでしょうか。主婦が仕事を再開するのは、ライフイベントの中でも大きなポイント。その後のライフプランニングも大きく変わってきます。この主婦が働く時によくいわれるのが「扶養の範囲」で働くということ。本当にこの範囲で働くのが一番いいのでしょうか?
主な収入を得ている夫とパートタイマーとして働く妻の夫婦で、2018年から適用されている新しい配偶者控除の場合の試算をしてみたいと思います。
妻の所得税がかからないのは、103万円以内
まずは、妻自身が税金を払うところを見ておきましょう。住民税は自治体によって変わりますが、給与年収93万円から100万円を超えると住民税を支払うことになります。また、所得税は、給与年収103万円超で支払うことに。ただし、これらの税金は収入増以上にかかることはありませんので、あまり深く考えなくてもいいでしょう。ただし、夫の会社で配偶者手当のような支給がある場合、その要件として妻の年収が103万円以内とある場合もありますので、ご注意を。
社会保険(年金・健康保険)は130万円(一部106万円)がライン
次に、「扶養の範囲内」で働くということを考えましょう。最初に社会保険でいう「扶養」です。社会保険とは、年金や健康保険などのこと。サラリーマンの妻は、“ある収入”以下であれば、健康保険の被扶養者になっています。その額は「年収130万円」。年収130万円を超えると、夫の扶養からはずれ、自分で健康保険に入る必要が出てきます。
年金も同じように、年収130万円以下だと第3号被保険者となり、国民年金の保険料を納めなくていいのです。年収130万円を超えると、健康保険や年金の保険料を自分自身で払わなくてはいけないということになります。
保険料の自己負担はかなり大きなものになります。社会保険料は、収入の約15%近く。かなりの負担といえます。勤め先で健康保険や厚生年金に加入できればまだいいですが、そうでないと国民健康保険や国民年金に加入することになり、その負担額は更に増えるでしょう。
ただし2016年10月より、「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大」として、以下の条件にあえば扶養に入るかどうかという以前に、妻自身で社会保険に加入することになります。
1)週20時間以上
2)月額賃金8万8000円以上(年収106万円以上)
3)勤務期間1年以上見込み(2022年10月からは撤廃)
4)学生は適用除外
5)従業員501人以上の企業(2017年4月より 労使の合意があれば501人未満でも加入可能)
(2022年10月より)101人以上の企業
(2024年10月より)51人以上の企業
この時は、「130万円の壁」を「106万円の壁」と読み替えてください
配偶者控除等が受けられるのは、150万円以内
次に、税金でいう「扶養」を考えてみます。この場合は、夫の税金を計算する時に配偶者控除・配偶者特別控除を受けられるかどうかということ。つまり、夫の税額(所得税・住民税)を専業主婦の時と同じ額に抑えながら働くということです。2017年度の税制改正で配偶者控除・配偶者特別控除が大きく変わり、2018年より適用される制度が変わりました。この配偶者控除・配偶者特別控除を最大限(控除額38万円)受けられるのは、配偶者の給料が年間150万円以下の時です。ただし、本人の給与収入が1220万円以下でないと控除を受けることはできません。
つまり、主婦のパートを年間150万円以下の給料に抑えておけば、夫の給与年収が1220万円以下であれば、配偶者控除等を受けることができ、控除額によっては税額が増えないということです。
厳密にいうと、配偶者の所得が95万円以下(令和2年以降。令和元年までは85万円)で配偶者控除・配偶者特別控除で最大の控除が受けられます。所得というのは、収入から経費を引いたもの。パートなどの給与所得者は、経費として給与所得控除が最低55万円(令和2年以降。令和元年までは65万円)認められています。なので、妻の年収150万円以下であれば、夫が配偶者控除等を受けられます。
ここで注意したいのが、配偶者の仕事がパートなどでなく自営などの事業の場合。給与所得控除55万円(令和2年以降)はありません。つまり、配偶者(主婦)が自営業など給与所得者でない場合は、所得が95万円以下(令和2年以降)であれば、夫が配偶者控除等を受けられます。
配偶者控除等の本人(夫)の所得制限は、給与年収1120万円を超えると控除額が減り、1220万円を超えると控除がなくなります。夫の給与年収が1220万円を超えている場合は、妻の年収はいくらでも夫の税金は変わりません。
このように、103万円、150万円や130万円、106万円の壁が出てきました。では主婦が働く時、年収をどれくらいにすると一番お得なのでしょうか?
夫の給与年収が500万円のA夫婦の例を考えてみます(子どもは中学生以下が2人。ただし、子どもがいない場合も税金は同額です)。妻の収入で世帯収入はどのように変わるのでしょうか?
(税金の計算は一例です。諸条件により税額は変わりますのでご注意ください)
妻の年収100万円まで:全額、世帯収入アップ
まずは、妻が得た給与が全額、収入アップとなる年収を見ておきましょう。これはずばり「年収100万円」です。年収100万円を超えると妻自身が妻の年収に対して住民税(自治体によっては100万円以下でも住民税がかかる場合があり)を、103万円を超えたら所得税を支払う必要があります。ですので、年収100万円までに抑えると、世帯収入が全額アップとなります。ただし、103万円までだと住民税を多少払っても、あまり影響は出ません。課税される住民税は数千円程度。そんなに気にすることはありませんね。
■試算結果1: 妻の年収が100万円の場合
⇒世帯収入が100万円増
妻の年収103万円~130万円(一部106万円):税金が増えても負担は軽い
次に、年収103万円を超えた時を考えてみます。103万円を超えると、妻が所得税と住民税を払うことになりますが、年収に応じて税額が決まりますので、いきなりウン十万円もかかるわけではありません。A夫婦で、妻の年収が120万円だとすると、妻自身の税金は2万8000円(所得税8500円、住民税1万9500円)。2万8000円の負担増なので、収入が増えた割には、負担はまだそんなに高くはありませんね。妻の収入が120万円でしたから、世帯収入は117万2000円アップと なります。
2017年までは、妻の給与年収103万円を超えれば、配偶者控除が受けられなくなるなどで103万円の壁といわれていました。2018年からは、夫の年収が1220万円以下であれば、妻の年収150万円までは配偶者控除等が受けられます。ですから、妻の給与年収は150万円までは夫の税金は増えることはありません。
ただし、夫の給与年収が1120万円を超えると配偶者控除が減り、1220万円を超えると配偶者控除がなくなります。該当する世帯で2017年に配偶者控除等が適用されていた場合、2018年からは増税となります。
また、一部のパート従業員(※)は、年収106万円を超えると、自ら社会保険に加入することになりますので、保険料の負担が重くなります。
※週20時間以上、 勤務期間1年以上見込み(2022年10月からは撤廃)、学生は適用除外、従業員501人以上の企業(2017年4月より、労使の合意があれば501人未満でも加入可能。なお、2022年10月より101人以上の企業、2024年10月より51人以上の企業に変わる)
この試算では、妻が社会保険に加入することなく、社会保険は夫の扶養配偶者である場合を想定しています。
■試算結果2: 妻の年収が120万円の場合 (夫の年収1120万円以下、妻の社会保険は夫の扶養)
⇒世帯収入が117万2000円増(税負担2万8000円増)
妻の年収130万円(一部106万円)~:税金+社会保険料負担が重い
年収130万円(一部106万円)を超えた場合を考えてみましょう。この時は、妻が夫の社会保険の扶養から外れることになりますから、妻自身で社会保険に加入しないといけません。妻の健康保険と年金の保険料を払うことになります。勤務先の健康保険に加入できるといいのですが、無理な場合は自分自身で、国民健康保険に加入することになります。これは、自治体によって保険料が変わってきます。
年金のほうも厚生年金に加入できれば、年金負担も軽くなりますし(保険料の半分は会社負担)、老後の年金受給も増えるので安心ですね。厚生年金に加入できない場合は、国民年金に加入する必要があります。
ここでは健康保険、厚生年金に加入できると仮定し、年収140万円になった場合を考えてみます。妻自身の保険料負担が発生し、これを20万円とします(社会保険料負担は約14%強のため)。また、妻自身の税金は2万8000円(所得税8500円、住民税1万9500円。年収120万円の時と同額ですが、これは社会保険料負担があり控除が増えたためです)。
あわせて22万8000円の負担増です。世帯収入の増額は、妻の収入140万円から負担増となった22万8000円をひいた117万2000円となります。
■試算結果3: 妻の年収が140万円の場合 (夫の年収1120万円以下)
⇒世帯収入が117万2000円増(税+社会保険負担22万8000円増)
妻の年収130万円(一部106万円)超えはレッドゾーン
このように見てみると、妻の年収120万円(世帯年収が117万2000円増)と140万円(世帯年収が117万2000円増)では、実質の世帯収入が同じということがわかります。この年収130万円前後は、妻の年収がアップしても、世帯収入があがらないということですね。妻の年収150万円~:税金が増えても負担は軽い
最後に税金の配偶者控除の壁、150万円を超えた場合です。2018年から所得税の配偶者控除を受ける要件が、配偶者の給与年収103万円から150万円に引き上げられました。配偶者控除を受けるためには夫の年収が1220万円以下と条件がつきますが、多くの世帯では配偶者控除をより多く受けられるようになりました。とはいっても、先ほどの社会保険の130万円(一部106万円)の壁は超えているわけですから、負担は大きくかかった後にこの150万円の壁があるということです。
妻の給与年収160万円になった場合を見てみましょう。夫の配偶者控除はなくなるものの配偶者特別控除を受けることができます。
夫の税負担アップは9000円(所得税7000円、住民税2000円)。妻自身の社会保険料負担が23万円とすると、税額は5万3500円。負担アップは29万2500円。
■試算結果4: 妻の年収が160万円の場合(夫の年収1120万円以下)
⇒世帯収入が130万7500円増(税+社会保険負担29万2500円増)
年収160万円ほどになると、世帯収入の割合もよくなってきました。となると、年収130万円を超えるなら160万円以上を目指したほうがいいということですね。また、国民健康保険や国民年金に加入する場合はさらに負担が大きくなるので、更に上を目指したいところですね。
自営業の場合、社会保険料負担は変わらず
但し、夫が自営業などで、国民健康保険や国民年金に加入している場合は、最初から妻の方も国民健康保険や国民年金に加入しています。ですので、130万円(106万円)の壁は最初からありません。この場合は106万円、130万円、150万円の壁など何も気にせずに働くのが正解です。いかがでしたか? 今回は年収500万円、子ども2人の4人家族をモデルにしましたが、他の世帯でも同じような結果になると考えていいでしょう。
主婦のパートは扶養範囲内でと思われている方が多いですが、扶養をはずれてもそんなに世帯年収がダウンすることもありません。年収130万円(一部106万円)前後のゾーンには注意しましょう。頑張って年収160万円以上を目指すと、世帯収入もぐっとアップしますよ。
また、妻自身が会社で社会保険に加入する場合は、将来受給できる老齢年金が増額されますし、妻が病気などで就労できない場合は傷病手当が支給されたりしますので、出ていくお金だけでなくメリットもあります。主婦のパートは扶養以内でなどと制限せずに、どんどん働いたほうがいいと思いませんか?
※税金、社会保険料の計算は概算で算出しています。扶養や控除の関係、加入している健康保険などによって金額は変わります
コロナ禍の社会では「三密」を避ける行動が求められています。
「新しい生活様式」が尊重される中で、さまざまな葬儀社が「ステイホーム葬」を打ち出しています。
ステイホーム葬とは一体どのような葬儀スタイルなのでしょうか。
その実態と費用についてお伝えしてまいります。
ステイホーム葬は、コロナ対策の自宅葬
ステイホーム葬とは、自宅で行う葬儀のことです。
自宅葬そのものはコロナウイルスが発生する以前から注目されていました。
家族葬が主流になり、外部からの参列者がいないお葬式では、わざわざ会館を借りなくても葬儀ができるからです。
自宅であれば会館使用料も不要なうえに祭壇も簡素なもので済ませられるので、費用負担を軽減できます。
さらに、住み慣れた自宅での葬儀ですから、ゆっくりと故人を送り出せることでしょう。
病床ではなく畳の上で亡くなりたいと願う人が多いこともあり、自宅葬では一定の満足が得られるようです。
実際に自宅葬に特化した葬儀社も立ち上がるほどで、自宅葬は小規模葬儀の選択肢のうちの1つとして徐々に広がりを見せています。
ステイホーム葬の実態
自宅での葬儀は良いことばかりのようですが、実際にはいくつかのリスクもあります。
まずは「自宅にご遺体を運び入れられるか」が問題です。
祭壇と棺を運び入れて僧侶に読経してもらうとなると、6畳の和室が一部屋は必要です。
また、「玄関から仏間まで棺を通せるか」導線の確保も求められます。
自宅の中だけではなく、隣近所への配慮も考えなければなりません。
寝台車や霊柩車、さらには葬儀社による備品の搬入や搬出、家族や親族の車など、どれだけ小規模の葬儀とはいっても自宅への出入りは頻繁になります。
また、家族葬が多い昨今、隣近所に知られたくないと思う人もいます。
しかし、自宅で葬儀をすることで、僧侶の読経の声やお線香の匂いが外に漏れることも考えられます。
場合によっては、多少費用がかかるとしても会館を利用した方が精神的な負担や物理的な手間が軽減されるのです。
ステイホーム葬儀の費用相場
ステイホーム葬の費用相場は20万円から40万円です。
葬儀の細かい内容は喪主が自由に選べます。
ご遺体を安置して火葬だけをするので安く済みますし、自宅の中に祭壇を飾って僧侶を招いて通夜と葬儀を執りおこなうのであれば、それなりの費用がかかります。
「ステイホーム葬」を謳う葬儀社アーバンフューネスの場合、
・ 儀式を行わない「シンプルプラン」:21.6万円(税別)
・ お通夜や葬儀・告別式を行う「スタンダードプラン」:44.4万円
としています。
≪画像元:アーバンフューネス[https://www.urban-funes.com/plan/jitakuso/]≫参列辞退や事後報告を受けた時の対応
参列辞退や事後報告を受けた時にはどのようにすればよいのでしょうか。
基本的には遺族の意向を尊重するべきですし、コロナ禍においては自宅で行う葬儀に押しかけるのはマナー違反に当たることでしょう。
自宅まで足を運んで故人に手を合わせ、遺族にお悔やみを直接伝えるのが最も理想ではありますが、ステイホーム葬を選んでいるということはそれだけ遺族がコロナウイルスに過敏になっているということを意味します。
参列できないにしても弔意は別の形で示せます。
よく選ばれる方法としては、お香典を送るというものです。
お香典の郵送は扱いに十分に気をつけましょう。普通郵便では現金は送れないので、現金書留にして送ります。
手紙を添えるとなおのこと丁寧です。また、進物線香などのお供え物などをお贈りしてもよいことでしょう。
三密のリスクを避ける総合的な判断が大切
自宅で葬儀を行うことで、外部の参列者を断って費用を抑えられますが、限られた空間の中で家族や親戚が集まれば結局は三密のリスクにさらされます。
広さを確保できる葬儀会館のほうがソーシャルディスタンスをとりやすいという面もあるのです。
自宅か、会館か、「ステイホーム葬」ということばに踊らされることなく総合的な判断が大切です。(執筆者:葬儀業界15年、1級葬祭ディレクター 五十嵐 信博)
私が家計のパーソナルトレーナーとして家計の無駄な支出をなくす手伝いをするなかで、よくある相談が
「高価なものは買っていないのに、なぜかお金が貯まらない」という悩みです。
今回は、そのような家計の共通点、原因、解決策について実例から見ていきます。
お金が貯まらない家計の共通点
「高価なものは買っていないのに、お金が貯まらない」その多くの家計に1つの共通点があります。
買い物の回数が多いことです。
実際に、相談された家計の支出額と買い物回数を集計した結果、
支出が多い家計は買い物回数も多いという相関関係が見られました。
なぜ、そうなるのかを解説します。
買い物回数が多くなる要因「ラテマネー」
ラテとはカフェラテのことです。
カフェラテを買うように無意識のうちに頻繁に少額の買い物をして、支払うお金のことをラテマネーと言います。
「塵も積もれば山となる」というように、1回の買い物額はそう大きくなくても回数を重ねると大きな出費になります。
たとえば、カフェラテを1杯飲んだら400円ですが、毎日2杯ずつ飲んだら1か月で2万4,000円、1年で29万2,000円です。
ラテマネーの定番はついで買いです。
次のような経験がある方はラテマネーが多い傾向にあります。
・ 買うものを決めずにお店に行く・ かごをもって買い物する
・ 特売品をつい買ってしまう
「ついで買い」で目的外の買い物を多くしてしまっているのかもしれません。
お店ではディスプレイや販売価格などを工夫してお客さまの消費意欲を掻き立てるような運営がなされています。
「お弁当と一緒に購入するとお茶が30円引き!」、「2つ目からは半額!」といったついで買いを促すような広告を見たことがあると思います。
店に行くのは悪いことではありませんが、その度の「ついで買い」が出費を増やす原因です。
ラテマネーの解決策
ついで買いをなくすには、お店に行く頻度を下げることが最も効果的です。
食料品や生活用品のまとめ買いを心がけることで買い物に行く頻度を下げられます。
可能であれば、食料品の買い物は週1回、多くても2回をおすすめします。
カフェやコンビニでコーヒーを買う頻度が高い人は、コーヒーメーカーを買って自宅で淹れたコーヒーを外出時に持参すればお店に行く回数を減らせます。
「家で淹れるコーヒーはおいしくない」という方には毎日淹れたくなるような高級なコーヒーメーカーの購入をおすすめします。
単発の出費はかかりますが、長い目で見れば小さな金額が積み上がるよりも実は安価に収まります。
ラテマネー実例エピソード
「ここ数年で収入は200万円以上増えているのになぜか貯金が増えない」とお悩みの方のエピソードです。
その方は毎日、出勤前、出勤後、昼、夕方とコンビニで1杯100円のコーヒーを4杯購入されていました。
それと併せてスナックなどのついで買いがありました。
ここで問題なのはコーヒーに1日400円使うことではなく、ついでの買いのほうです。
本人に聞くと「買う予定ではなかったけど、値段も確認せずについ買ってしまっている」と、気付かずに不要なものにお金を払っていることが分かりました。
そこで、コーヒーメーカーの購入をおすすめ、出勤前にコーヒーをポットに入れ、持ち歩くようになりました。
その結果、コンビニに行く習慣がなくなりました。
これだけで月5万円ほどの支出減につながり、お金を使うことへの意識が変わり、買い物の際に「これは本当に必要なのか」と吟味するようになりました。
家計も随分と引き締められ、貯金ができる家計へと変わりました。
家計の無駄に気づくことが改善の第一歩
お店に行く回数や買い物の頻度を減らす努力をすることにより、支出を意識するようになると。次第に支出のコントロールができるようになっていきます。
徐々にそれまでの家計の無駄に気付きはじめ、家計が整いはじめます。
買い物回数を減らすことは貯金ができる家計へと変われる第一歩です。
まずは、その一歩踏み出してみましょう。(執筆者:五十嵐 悠太)
あなたの家には、ものがあふれていませんか? 買ったときには「これがあれば便利だな」「節約になりそうだな」と思っていたものでも、ろくに使わず放置していれば、無駄遣いにしかなりません。ここでは、持つべきものと、そうでないものを見極めて、無駄遣いを減らすための考え方を、「節約グッズ」を例にとってお話しします。
出費や手間を差し引いても節約効果があるかどうか?
スーパーやホームセンター、100円ショップに行ってみると、節水シャワーヘッドや冷蔵庫の保冷カーテンなど、節約に役立つとされるさまざまなグッズが売られています。つい財布のひもが緩んでしまう方もいるでしょう。この手のグッズを買う際には、そのグッズへの出費を差し引いても節約効果があるか、つまり「費用対効果」を考える必要があります。
節約のために日々使うものですから、すぐ壊れてしまうのでは問題外です。元を取れるとすれば、どれくらいの期間が必要か、元を取る前に使えなくなってしまわないかも考慮してください。また、今持っているもので対処できないか、もしくはもっと安価なもので代用できないか、検討してみることも大事です。
節約が目的で家計簿をつけるなら、1200円する立派な家計簿を買う必要があるでしょうか。100円のノートで十分な場合もあります。途中でつけるのをやめた家計簿が自宅に何冊もあるという方、みなさんの中にもきっといらっしゃいますよね。
他にも、洗濯機の残り湯を使う場合、ホースを出し入れする作業のうえ、こぼれた水滴を拭く作業など手間がかかります。しかし、ドラム式の洗濯機の場合、手間をかけてホースを出し入れするのが無駄に思えるくらい節水効果が高くなります。洗濯機を買い替えるときはできるだけ水道光熱費がかからないものを選択すれば、節約に手間取られることなく、日々の家事は楽になります。
あれば便利なものは無駄になる可能性が高い
整理整頓のされていない家には、節約グッズのような「あれば便利なもの」があふれています。いつか使うだろうと思い、捨てられずにいるものばかりです。「いつか使うだろう」と思っているのなら、それらが使われることはきっとないでしょう。結局そのものと、そのものを買ったお金は無駄になります。私は常々「あれば便利なものは無くても困らない」と考えています。「あれば便利なもの」はむしろ無駄になる可能性が高く、だからこそ、この手のグッズをあえて買うときは理由をしっかりつけ、無駄にしないよう心がけます。使い捨ての商品があふれる世の中ですが、捨てる以前に不要なものは持たないという姿勢も大切です。
菅義偉首相は18日午前、各府省の事務次官らが政策課題を協議する「次官連絡会議」に出席し、「事務方の責任者である皆さんが率先して行政の縦割りを打破し、既得権、あしき前例主義を打ち払って大胆な規制改革を進めてほしい」と訓示した。最優先課題として新型コロナウイルス対策と経済再生の両立を挙げ、内閣の方針や閣僚の指示に従って積極的に政策立案するよう求めた。
首相は「世の中には国民の感覚から大きく懸け離れ、当たり前でないことが残っている」と改めて指摘。「現場の声に耳を傾け、何が当たり前なのか、しっかりもう一度見極めてほしい」と各次官に指示した。
連絡会議は旧民主党政権が廃止した事務次官会議に代わるもので、第2次安倍内閣が発足した2012年12月から首相官邸で定期開催されている。通常、首相は出席しないが、今回は就任直後の自身の方針を事務方に徹底させる狙いとみられる。
ドラマのセカンドシーズンも、いよいよ大詰めの『半沢直樹』。
シリーズ最新作『半沢直樹 アルルカンと道化師』が9月17日に刊行された。
躍動感のあるエンタテインメントの筋立ての中で、人物の心情に迫った物語は、どのように造形されたのか。刊行開始から12年を経た現在、池井戸潤氏に、新作とシリーズへの思いを尋ねた。
(撮影/小林 司、文/大谷道子)
銀行員としての肌感覚を取り戻す
半沢直樹・原点回帰の物語
――コロナ禍により7月スタートとなったドラマ『半沢直樹』第2シーズン。視聴率も反響も予想を上回り、毎週、世を席巻しています。原作者として、どのようにご覧になっていますか。
池井戸潤氏(以下、池井戸) 毎週観ていますが、シナリオがほとんど役に立っていないドラマですよね(笑)。一応僕のところにも送られてくるので台本には目を通しているんですが、放送を見ると「あれ? こんな場面あったかな」と。で、調べてみると、やっぱりない。香川照之さんが演じる大和田の《施されたら施し返す。恩返しです》も《おしまいdeath!》も、伊佐山(市川猿之助・演)の《詫びろ詫びろ詫びろ……》もありません。誰がどう決めてああなっているのかまったくわかりませんが、あまりにも変わるから僕にも先が読めなくて、それはそれで面白いなと思って。毎週、楽しんで見ています。
――原作第3作の『ロスジェネの逆襲』編が終わり、現在は航空会社の再建をモチーフにした『銀翼のイカロス』編を放送中。しかし、9月6日にはドラマ本編の収録が間に合わず放送が延期され、代わりにキャストやスタッフによる生放送トークを急遽代替放送されました。それでも、22パーセントを超える高視聴率です。
池井戸 本当に全10回オンエアできるかどうかというところもまた、見どころになっているようですね(笑)。とはいえ、ドラマも終盤に向けてきっちりとストーリーが示される展開になっていくはずなので、さらに楽しめるのではないかと思います。
――その最中、「半沢直樹」シリーズ6年ぶりの新作である『半沢直樹 アルルカンと道化師』が刊行されます。今年1月に行った当媒体のインタビューで予告されていたとおり、舞台はシリーズ第1作『オレたちバブル入行組』の前の時代。いわば“エピソードゼロ”に当たりますが、この時代を舞台にしようと思った理由は?
池井戸 『銀翼のイカロス』まで書いてきて、ちょっと物語が大きくなりすぎたという感覚があったんです。銀行員としてもう少し現場に近い、卑近な戦いを書いてみたい。巨大航空会社と、何千億という資金を巡って切った張ったを繰り広げるのもいいですが、もう少し肌感覚のある話も書いてみたいと。そうすると、半沢が大阪西支店にいた融資課長時代がいちばんいいなと思って。読者目線に比較的近く、規模も大きすぎないから、『半沢直樹シリーズ』の本筋である人間ドラマを際立たせることができるんじゃないかと考えました。いわば、原点回帰というわけです。
ミステリの手法で謎を解き、
人生模様を浮かび上がらせる
――大阪にある老舗美術出版社のM&Aを扱うことになった半沢。その裏には銀行上役のさまざまな思惑が蠢いており、彼は否応なくその渦に飲み込まれます。しかし、真剣な丁々発止が繰り広げられる場が、会社の屋上での地元企業との“とある”行事だったりと、確かに第4作(銀翼のイカロス)までとムードが違っていますね。
池井戸 ああいう行事は、実際にあるんですよ。僕が銀行員だった頃、半沢と同じく大阪西支店に勤めていたんですが、そこには地元の顔役のような企業経営者が集まり、預金の協力を取り付けたりする機会でもあったので、けっこう大事な行事だったんです。
――作中、探偵のような役回りで美術出版社のお家騒動に関わり、そこに秘められた人々の思いを知る半沢。銀行員の仕事を通し、人の表情や街の仕組みが見えてきます。
池井戸 中小企業に貸すお金は、その経営者の人生と密接にリンクしているので、そこが航空会社のような大企業に貸すときとは、ずいぶん違いますね。人の生き方を、お金の動きと結びつけて語りやすい。そういう意味では、今作は小説のサイズ感にあった物語世界になっているんじゃないかと思います。
――タイトルの『アルルカンと道化師』は、作中に登場する絵画《アルルカンとピエロ》に由来。半沢は絵に隠された秘密を追って、いわば探偵のように謎に迫っていきますが、その中で芸術家の人生や、その周囲にいる人々のドラマが織り込まれていきます。
池井戸 半沢直樹シリーズの次の物語を考えていたとき、ある画集でアンドレ・ドランの絵画『アルルカンとピエロ』を見て、絵画と結びついたミステリ風味の物語が浮かびました。僕はもともと江戸川乱歩賞でデビューした作家ですから、これまで大企業や町の中小企業を舞台にした作品でも、実は一貫してミステリやサスペンスの手法を使って書いてきたんです。
アルルカンもピエロも、日本語ではどちらも道化師と訳されますが、悪賢いのがアルルカン、純真でちょっと抜けているのがピエロ。悪巧みの巣窟みたいな銀行内部は、まさにアルルカンの集団です。
登場人物の中には、芸術家を目指しながら挫折した人々が何人も登場しますが、理想と食い違ったまま人生が転がっていく、そういう悲哀が滲む場面はなかなか書けなかったですね。書けないというか、書きたくなくて、飛ばして飛ばして、最後の最後に書きました。
――しかし、理想と現実のギャップに苦しむ人たちの思いが切実に描かれた、いい場面です。彼らのような人たちのためにお金を貸したいという、半沢直樹の職業人としての思いが伝わってきます。
池井戸 けっこう腹黒いけど、なかなかいいヤツですよね(笑)。人を中心に描く物語の書き方は、第1作の『オレたちバブル入行組』(2008年刊)を書いた頃にはしていなかったかもしれません。もっと無邪気に、面白さしか考えていなかったというか。でも、10年以上が経って、登場人物たちの心情や生きざま、彼らが抱える矛盾に踏み込む、そういう人間寄りの視点で書くようになった。『アルルカンと道化師』は、そんな今だから書けただろうし、書かなければならないと思った物語だったのかもしれません。
シリーズものと新作と、
さらに旺盛に、意欲的に書き続けたい
――人間力をつけた半沢が、次にどんな活躍を見せるか。新作を上梓したばかりですが、シリーズは今後どう展開をするのでしょうか。
池井戸 さすがにまだ次の構想はありません(笑)。が、いろいろ考えられるとは思います。
実はこの『アルルカンと道化師』は、コロナ禍でゴルフなどのイベントが全部飛んだ中、ものすごく仕事がはかどって超特急で書き上げたんです。だから作家としては、前の日常に戻さないように、すぐ次を書きたい。すでに『民王』の続編に取り掛かっていますが、誰もが知っているシリーズものを一編書いたら次はまったくの新作をというふうに、交互に書いていけたらと思っています。
――そのためには、何が必要ですか?
池井戸 圧倒的に、執筆にかける時間ですね。そのために何を削るかといったら、まずはゴルフ。たとえば週1回、年間50日行っていたとしたら、それをまるまる削るか、週1を月1にするだけで、プラス1冊書けると思います。これをまず、確保します。
――お好きなゴルフですが、よろしいんですか?
池井戸 最近、ふがいないゴルフ続きで、行くたびにストレスが溜まってしょうがないので、いいんです(笑)。それに引き換え、小説を書いているぶんには、楽しいばっかりで何のストレスもない。「次、どうしようかな」って、常に本を読んでいるような感覚で楽しめるわけですから、精神衛生上はずっといいですよ。
――続編も楽しみですが、まったくの新作にも興味が湧きます。
池井戸 皆さんが待ってくださっているものは、すでに知っている世界。でも、僕の頭の中に入っていて、皆さんがまだ知らない、「こういうの、面白いと思うんだけどな」というアイデアが、まだまだたくさんあるんです。新しい挑戦ができるものなのか、オリジナリティーが出せるのか、小説にするまでにはいろいろとハードルをクリアしなければなりませんが、少なくとも作家としてはコロナを機に、さらに意欲的に取り組んでいきたいと思っています。
政府の観光支援事業「Go Toトラベル」で、10月から対象に追加される東京を発着とする旅行の販売が、18日正午から始まる。
都内の旅行会社からは、「待ちに待っていた」と効果を期待する声が上がっている。
飛鳥旅行・村山吉三郎代表取締役「東京が加わることは、とにかく待ちに待ちに待ち望んだGo Toトラベル参加で非常にうれしい。やっとこれでお客さんが来るかなという感じ」
この旅行会社の7月と8月の売り上げは、2019年と比べ9割以上落ち込み、8月はゼロに近い状態だったという。
旅行会社が期待をにじませる一方、旅行先でトラブルが起きないか、心配する都民もいる。
飛鳥旅行・村山代表取締役「旅行に行きたいけど大丈夫なのかと。観光地に行って、東京から何しに来たのって言われないかという部分」
今後、都内の感染状況の警戒のレベルが引き上げられたりした場合、政府は東京を対象に加える時期の延期も検討する方針。
その場合、赤羽国交相は、旅行者がキャンセル料を支払わずにすむよう、対策をとるとしている。
[ロンドン 17日 ロイター] - テニスの女子ツアーを統括するWTAの創設者で往年の名選手であるビリー・ジーン・キング氏(76)が、ことしの全米オープン女王の大坂なおみ(22)について、「本当に特別。素晴らしいリーダーになると思う」などと称賛の言葉を述べている。
大坂は先週末の全米オープン決勝でビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)を下し、自身3回目となる四大大会優勝を果たした。ただ、優勝したことだけではなく、全米オープンという大舞台で大会を通し、人種間の平等を訴えたことでも大きな注目を集めた。
全米テニス協会の賞金額の多大な男女格差に抗議し、最終的に1973年のWTAツアー創設につながることになる独自のツアーを始めた選手9人「オリジナル・ナイン」を先導したキング氏は、大坂について「彼女はすでにコートの中でも外でも非常に大きな存在。さまざまな意味でナオミはオリジナル・ナインの賜物である」とコメント。
さらに「彼女こそが、私たちが戦った理由。出身がどこであろうとも、実力が十分にあれば競争の場を得られるということ。ナオミは私たちの夢と希望から生まれた選手だ」と続けた。
また、人種平等を訴えたことで大坂はより大きな注目を浴びたが、キング氏は同選手がテニス界の声としての責任を背負うことができると確信しており、ロイターに対し、「セリーナやビーナス(・ウィリアムズ)も有色人種の女性のために声を上げ続け、ビーナスは平等な優勝賞金のために戦ったことを忘れてはならない」としつつも、「ナオミは本当に特別。長年にわたり素晴らしいリーダーになると思う。テニス界に彼女がいることは、私たちにとって非常に幸運なこと」とも語った。
言葉は悪いが「やりたい放題」である。
巨人は元木大介ヘッドコーチが虫垂炎で入院したことを受け、9月16日の阪神戦から急遽、阿部慎之助二軍監督を一軍のヘッドコーチ代行に引き上げ、村田修一・二軍野手総合コーチを二軍監督代行とする臨時の配置転換を行った。
元木ヘッドの病欠による異例の人事だった。
ことの経緯はこうだった。
16日の朝に元木ヘッドが腹痛を訴え、病院で検査の結果、虫垂炎であることが判明。医師の判断により入院して手術をすることになった。この経緯が原辰徳監督に報告されたのが、午後1時半過ぎ。そこで原監督が阿部二軍監督のヘッド代行を即決した。
通常なら代行を置くとすれば一軍スタッフの中から
「今日(東京ドームに)来てから、トレーナーと(元木)ヘッドが来て『ちょっとこういう訳で手術する』ということで、よし分かった、と。一つ体の方を大事に、ということでそこからですね。13時半くらいじゃないでしょうか。それで二軍の監督代行に関しては村田に任せるということで」
これで急遽、この日神奈川・平塚球場でナイターのDeNA戦を予定していた阿部二軍監督が東京ドームに呼ばれることになったのだという。
ヘッドコーチが病気で、ある期間ベンチに入れなくなった訳だが、通常なら代行を置くとすれば一軍スタッフの中からそれ相応な人物が選ばれるのが対処法だ。
今の一軍スタッフを見回せば吉村禎章作戦コーチという打ってつけの人物もいる。それで十分のはずだろう。またあえてヘッドコーチの代行は置かずに、元木コーチが欠けたままで何試合かを消化するという考えもあるだろう。
しかしわざわざ二軍監督を呼び寄せ、一軍のヘッドコーチ代行に据える。そこにはそれなりの意図があり、何らかの思惑がなければありえない配転であることは間違いない。
「その風景を見る心境はその時々で随分と変わっていく」
「最善策だって。最善策ということですよ」
試合後にその点を問われた原監督はこう話すのみで、多くを語ろうとはしなかった。
それでももちろん自分の後継候補の筆頭にいるのが阿部二軍監督であることは周知の事実である。これを機会に指導者として経験を積ませるチャンスとして、呼び寄せたことは明白だった。
阿部二軍監督にしてみれば、つい昨年までは現役選手として見てきた東京ドームの一塁ベンチからのグラウンド風景のはずだ。
「人が人生や仕事で見る風景は変わることはないけれど、その風景を見る心境はその時々で随分と変わっていくものなんだよね」
“内野5人シフト”を敢行した采配を振り返った
原監督がこんな風に、立場、経験による世界観の変化を語ったことがある。
阿部二軍監督本人は昨年は「半分はコーチの気持ちでベンチから試合を見ていた」(阿部)と語っていた。二軍監督となった今季もファームの試合で東京ドームの一塁ベンチから指揮を執った経験もある。それでも一軍の指導者として、ベンチから見る東京ドームのグラウンドの風景はこれが初めてのはずだった。
そういう経験をすることの意味。
同じ「景色」という言葉を使って、原監督がその意味を説明したことがある。
2度目の監督時代の2014年7月11日の阪神戦でレフトの亀井善行外野手を内野に移動させて“内野5人シフト”を敢行した采配を振り返った時だった。
「実際にそういうシチュエーションで守ってみることで、選手が次に違ってくる。例えば(阿部)慎之助(捕手)はどういうリードが必要なのかとか、経験できて考える材料が増えるはずです。守っている選手たちも、一度、やってみることで本番で見えてくる『景色』が変わるはずなんだ。そういう経験を積ませるチャンスだと思った」
必ず本当に勝負のときに役に立つ
阿部二軍監督にとってみれば、これまでも散々、見てきた景色が一軍の首脳陣として、ヘッドコーチ代行として見たときに、どう映るのか。一度、それを経験することの大事さ。そこで見た景色は、必ず本当に勝負のときに役に立つ。
そんな思いで即決した配転だったのである。
もちろん阿部二軍監督にしても監督に就任して、実戦を通して“阿部流”の動きは身につけてきたはずだ。
ただ、二軍は育成ありきの勝負の世界。一軍のベンチでは、勝負にかかる比重が比較にならないほど高くなる。それだけにこれまで二軍では経験したことのないような、1球毎に変わる目まぐるしい作戦の組み立て直しや選手起用の変更など、指導者としての視野を広げる機会にも繋がったはずだ。
その機を伺っていたからこそ、即断即決できた
ヘッドコーチ代行初日の阪神戦では一塁を守っていた亀井の守備交代のタイミングが遅れるなど、不慣れが見える場面もあった。
「僕もあの目線で一軍の試合を指導者として見るのは初めて。凄く色々なことを考えないといけないなと思いながら、ずっと試合を見ていましたけど。あの目線からだと難しい部分は感じますし、元木ヘッドが戻るまで、足を引っ張ることがないようにやれればいいし、できることはやっていきたい」
そういうことを指導者の立場でできるだけ早く経験することで、二軍に戻ったときにも、またベンチワークの幅を広げるきっかけにもなる。だからこそできるだけ早く一度は一軍のベンチからの景色を見せたい。変わらぬ景色を見たとしても、見えてくる景色は確実に変わってくるはずなのである。
原監督はその機を伺っていたからこそ、即断即決で配転を決意できたことだった。
“阿部チルドレン”がグラウンドを駆け回った
坂本勇人内野手と岡本和真内野手を2人の主力選手を欠いた阿部ヘッドデビューの阪神戦。それでも右下手投げの青柳晃洋投手の先発に対して、若手主体で球団史上初となるオール左打者で組んだ打線が爆発。開幕から二軍で鍛えられてきた田中俊太内野手や立岡宗一郎外野手らの“阿部チルドレン”がグラウンドを駆け回ってヘッド代行の初陣を白星で飾った。
「勝つことが最大の目的であり、それが私が監督になった最大の役割。でももう1つ、今度はやならければならないと思っていることがある。それは後継者の育成です」
一昨年のオフに3度目の監督就任が決まった直後の原監督の誓いだった。
その2つの目標を一軍の舞台で両立させてしまう。
ペナントレース独走の原巨人は、まさに「やりたい放題」である