2020年9月18日金曜日

 

   捜査関係者などによると、10日午後4時ごろ、2人組の男が防火設備の点検と称して女性宅を訪問。家に上がり込むと「金を出せ」と女性を脅し、現金約2万円や通帳、キャッシュカードなどを奪った上、女性の手足を粘着テープで縛って逃走した。

 男らは女性から暗証番号を聞き出しており、口座からは数百万円が引き出されていた。女性は長男(51)と2人暮らしだが、事件当時は長男は不在。女性は自力でテープをほどき、大きなけがなどはなかった。府警が2人組の行方を追っていたところ、堺市の男が逃走先の沖縄の警察に出頭し、逮捕された。男は府警の調べに「SNSの闇バイトに応募した。指示された民家を狙った」との趣旨の話をしているという。女性宅には以前、振り込め詐欺の電話がかかってきたことがあり、府警は特殊詐欺に関与するような犯罪集団が背後にいる可能性があるとみて捜査するとともに、逃げたもう1人の男の行方を追っている。

■「ガスの元栓見せて」上がり込む

 「ガスの元栓を見せてください。防火設備の点検です」。大阪府藤井寺市の女性(85)が被害に遭った強盗事件で、男らはこう言って強引に家に上がり込んだ。最近、同様の手口の事件が各地で発生。犯罪集団がマニュアルを用意し、SNSで募った若者らに実行させている疑いがあり、警察当局は警戒を強めている。

 女性宅のインターホンが鳴ったのは10日夕。近所の人か友人だと思い外に出ると、顔写真入りのネームプレートを首からさげた若い男2人が立っており、「ガスの元栓を見せてほしい」と言ってきた。

 女性宅では最近、ガスの工事をしていたため「終わっている」と伝えると、男らは「ガスではなく、防火設備の点検なんです」「ガスの元栓を見せてください」と言い、気づけば家に上がり込んでいたという。

 自ら玄関の扉を閉めた男らは、態度を急変させた。「殺すぞ」「金出せ」「通帳とカードは」と脅迫。現金やキャッシュカードなどを奪い、暗証番号を聞き出すと、粘着テープで女性を縛って逃走した。

 女性宅には以前、振り込め詐欺の電話が何度かかかってきたことがあった。そのとき被害はなかったが、同居する長男(51)の在宅状況などを把握されていた可能性もある。

 同様の手口の強盗事件は関東を中心に相次いでいる。東京都新宿区では今年8月、男が消防の点検を装って男性(90)宅に押し入り、男性を縛って現金を強奪。この男は警視庁に逮捕され、SNSで闇バイトに応募し、指示を受けていたことが判明した。神奈川や千葉でも同月以降、複数の事件が起きている。

 事前に資産状況を尋ねる「アポ電」がかかっていたケースも。特殊詐欺を繰り返すような犯罪集団が高齢者の名簿などを基に対象を物色し、SNSなどで募った若者らに実行させているとの見方もある。

 こうした手法が広がっているためか、強盗事件で逮捕される若者は増加。警察庁によると、今年1~8月に強盗事件で検挙された19歳以下は218人で、前年同期から5割以上増え、全体の約20%を占めている。

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