2020年7月23日木曜日

藤井棋聖 大棋士の長所兼備…飯島七段「3妙手」解説


飯島栄治七段
飯島栄治七段
 史上最年少で将棋のタイトル保持者になった藤井聡太棋聖(18)。その強さの秘密はどこにあるのか。プロ入り後の棋譜の中から、ファンや関係者を驚かせた「三つの妙手」をピックアップ。竜王戦の観戦記を担当している中堅棋士・飯島栄治七段にその神髄を解説してもらった。(編集委員 田中聡、文化部 吉田祐也)

羽生の勝負術・升田の構想力

 藤井棋聖の最大の武器は、「どの棋士よりも深く正確な『読みの力』」と飯島七段はいう。
 その証明が、多くの棋士が参加する「詰将棋解答選手権」の「チャンピオン戦」5連覇だ。初優勝はプロ入り前の2015年。藤井棋聖は12歳だった。終盤、「詰む、詰まない」の局面になるとだれにも負けない。それが強さのベースだ。
 そのうえで飯島七段は、「藤井棋聖の指した妙手の数々からは、天賦の創造性が感じられる」と話す。「それも『一色』ではなく、過去の大棋士たちのいいところを集めたような『多様性』がある」。藤井棋聖は若手棋士には珍しい長考派だが、状況に応じてタイプの違う妙手を見つけ出す頭の柔らかさも備えている。
 「3妙手」の中で、広くファンに知られているのが、18年6月の竜王戦5組決勝・石田直裕五段戦の△7七同飛成だ。その年度の最も優れた新手・妙手に与えられる「升田幸三賞」を受賞した。「『光速流』と呼ばれる谷川浩司九段を思わせる鋭いひらめきの手。抜群の読みの正確さと王将に迫る終盤のセンスを表しています」と飯島七段。
 翌年の竜王戦での4組準々決勝・中田宏樹八段戦で見せた△6二銀は、「若手時代の羽生善治九段がしばしば見せていた『羽生マジック』のような勝負手」だ。中田八段の勝利目前、両者秒読みの中での「思わず飛びついてしまう毒まんじゅうのようなワナだった」と飯島七段は説明する。
 初タイトルを取った今期棋聖戦で話題になったのが、第2局の△3一銀だ。「升田幸三・実力制第4代名人を思わせる構想力。控室でこの手を指摘した棋士はだれもいませんでした」と飯島七段はいう。「この手を境に形勢が藤井棋聖に傾いた。史上最年少タイトル獲得につながる歴史的一手といえるでしょう」
 藤井棋聖自身が「(プロ入り前から比べると)角一枚分強くなった」というその実力。飯島七段は「ギアチェンジが2回あったように見える」と分析する。
 1回目は、デビューから史上最多の公式戦29連勝を記録した直後。「対戦相手が格段に強くなり、珍しく負けが込んだ。その後、少し甘さがあった序盤戦略が改善された」という。2回目は、トップ棋士との対戦が多くなった昨年夏から冬にかけて。「王将リーグの最終戦で広瀬章人八段に負けた後、彼らに競り勝つことが多くなりました。経験を積んでたくましくなった感じがしますね」とも。
 藤井棋聖は18歳になったばかり。「自分の経験だと、その年から20歳までが一番棋力が伸びた。まだまだ強くなるのではないか」と飯島七段はいう。「本当の意味で第一人者になった時、藤井棋聖はどんな『顔』を見せるのか。谷川先生のひらめき、羽生先生の勝負術、升田先生の構想力。これまで見せてきた『姿』に何が加わるのか。楽しみでもあるし、同じ棋士として恐ろしい気もします」と結んだ。

AI超え

 「AI(人工知能)超え」としても知られる升田賞受賞の妙手。一直線の攻め合いとなった終盤。▲7二銀=図1=と飛車金両取りをかけられた局面は、後手の藤井棋聖がまずそうに見える。「普通はこんな手を食らったら敗勢」と飯島七段。だが、ここから△8六飛▲8七歩△7六飛▲7七歩と進んだ後、△7七同飛成=図2=が飛び出す。▲同金に△8五桂が詰めろで後手が勝ちなのだ。
 将棋ソフトは直前までこの手がまったく読めていなかった。「それを十数手前から想定して戦略を立てていた。その読みと構想力がすばらしい」と飯島七段。
18年6月 竜王戦5組決勝 石田直裕五段戦 【図1】
18年6月 竜王戦5組決勝 石田直裕五段戦 【図1】
18年6月 竜王戦5組決勝 石田直裕五段戦 【図2】
18年6月 竜王戦5組決勝 石田直裕五段戦 【図2】

秒読みの芸術

 △6二銀と「タダ」で取られる位置に動かした意表の一手=図3=。中田八段は▲同竜としたが、竜が7筋から6筋に動いたため、先手玉に詰みが生じた。ちょっと長いが手順を示すと、△6八竜▲同玉△6七香▲5七玉△5六歩▲同玉△4五金▲5七玉△3九角▲4八歩△同角成▲同銀△5六歩▲4七玉△3五桂▲3七玉△2七馬まで。
19年3月 竜王戦4組準々決勝 中田宏樹八段戦【図3】
19年3月 竜王戦4組準々決勝 中田宏樹八段戦【図3】
 △4五金で中田八段は投了。△6二銀への正着は▲3四桂だった。「駒台には歩一枚残らない、持ち駒を使い切る詰将棋のような寄せです。これを秒読みで読み切ったのが芸術的ですね」と飯島七段。

銀投入 まさか

 中盤の難所。自陣の守りを固めたいが、持ち駒はなるべく使いたくない。「普通は△3二金や△3一玉という受けを考えるところ」(飯島七段)で藤井棋聖は△3一銀と打った=図4=。
20年6月 棋聖戦五番勝負第2局 渡辺明三冠(当時)戦【図4】
20年6月 棋聖戦五番勝負第2局 渡辺明三冠(当時)戦【図4】
 控室で検討していた棋士たちからは、思わず驚きの声が漏れたという。その後、▲7九玉と先手も守りを固めたところで、△4六歩と飛車の上部を押さえた手が「落ち着いた継続手」だったと飯島七段はいう。「持ち駒の銀を手放しても攻めが続くという判断には驚きました。並の棋士は頭に浮かぶことすらない構想力の一手です」
医療・健康・介護のコラム

一日中PC作業の女性 顔の片側に痛み…「顎関節症」就寝中、無意識の「噛みしめ」か?

 20歳代後半のDさんは、「右耳の下が1か月前から痛い」と来院された。ちょうどその頃、のどの右側に痛みがあり、耳鼻科で咽頭炎と診断され、治療を受けた。のどの痛みは良くなり、耳鼻科医には「もう治った」と言われたが、その後も右耳の下の痛みは続き、原因がわからず、心配になってきたという。
 のどを見せてもらおうとすると、口が大きく開かない。「以前はもっと大きく口を開けられたのに、最近開けにくくて……。耳のところが痛いのと関係しているのでしょうか? 親には、おたふくかぜではないかと心配され、今日は診てもらいに来ました」

押すと筋肉痛のような痛み

一日中PC作業の女性 顔の片側に痛み…「顎関節症」無意識、就寝中の「噛みしめ」が
 のどの炎症はすでに治っており、耳下腺(いわゆる“おたふく”で腫れる唾液腺のこと)も腫れていなかった。熱もないし、嗅覚・味覚の異常や食べるときの激しい痛みもなかった。ただ、耳の前の (がく) 関節のあたりを触ると痛みがある。押すと筋肉痛のような痛みが頭に響くという。少しマッサージするように触ってみると、むしろ心地良さそうだった。
 「顎関節症」が疑われた。顎関節症という病気について説明すると、Dさんは以前、歯科治療の際に () みしめが強いことを指摘され、「 (あご) の痛みがないか」と聞かれたことを思い出した。かかりつけの歯科で診てもらうよう話したところ、「内科の病気ではなくて安心した」と言って帰宅された。

肩はガッチガチに凝って

 50歳代のNさんは、左の顔半分に痛みがあるとして来院された。痛みは、1か月ほど続いているという。今年の初めに受けた健康診断では、生活習慣病に関わる異常は指摘されておらず、運動機能の問題や皮膚の変化も見られなかった。脳や血管系の病気、帯状 疱疹(ほうしん) などの可能性はないと考えられた。症状と経過から、片頭痛や感染症とも違うようだった。
 彼女の痛みについて、「筋肉や関節に原因があるのではないか」と伝え、肩と肩甲骨のまわりを触らせてもらうと、ガッチガチに凝っていた。仕事では、ほぼ一日中パソコン業務をしているとのこと。筋肉の凝りは痛みと関連する。
 さらに口を開けてもらうと、あまり大きく開かない。左顔面痛の原因として、顎関節症の疑いがあることを告げると、専門医の受診を希望されたので、 口腔(こうくう) 外科顎関節症外来への紹介状をお渡しした。

    7月23日 編集手帳

 随筆家の内田百●(ひゃっけん)は食いしん坊だったらしい。食べ物の名前だけを並べる珍奇な一文がある。さわら刺身にしょうじょう、くさや、いいだこ、牛肉網焼き、油揚げの焼きたて…(「餓鬼道肴蔬こうそ目録」)◆延々と続いていくので当欄ではとても収容しきれない。執筆は終戦の前年にあたる。戦争の終わりが見えてきた頃、料理をたらふく召し上がる夢想をしたらしい◆戦争時とは比べものにならないにしても、コロナ禍に奪われたものは多い。一つが旅だろう。海、山、川、温泉、古刹こさつ巡り、遊園地…都市部では胸の内のノートに書き連ねて、旅を我慢する方が増えるかもしれない◆東京では感染が拡大し、小池百合子知事が不要不急の外出自粛を呼びかける水準にまできた。医療が逼迫ひっぱくしつつあるという。大阪では121人と過去最多を更新した。名古屋、福岡も思わしくない。「東京外し」がますますツギハギ布に見えてきた「GoToトラベル」である◆政府はきょうの4連休の初日に合わせ、国民の旅への夢を刺激したかったのだろうが、状況が変わってきた。対コロナの終戦が見えないうちには見づらい夢でもある。(●は「間」の「日」が「月」)

東京五輪 感染防ぎ安全な大会を目指せ


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 新型コロナウイルスの感染を抑止し、安全な開催にこぎ着けられるか。水際対策の抜本的な強化がカギを握ろう。下へ
 来年夏に延期された東京五輪の開幕まで、あと1年となった。大会組織委員会は、オンライン方式で開かれた国際オリンピック委員会(IOC)の総会で、会場や競技日程を報告した。
 今夏に想定していた計画を踏襲して、史上最多の33競技339種目を42会場で行う。マラソンと競歩は、暑さ対策のため札幌市で開催することになっている。
 日程や会場の維持は、輸送や警備など大会運営への影響を最小限にとどめる狙いがある。選手も練習に取り組みやすいだろう。
 世界的なスポーツの祭典を安心して開催できるよう、パラリンピックも含めて、関係者には入念に準備してもらいたい。
 国内では、東京都を中心に感染が再拡大した。米国や新興国でもなお猛威を振るっている。
 五輪開催の可否は最終的にIOCが判断する。政府と組織委、都は今秋に感染対策の協議を始め、年内に方向性を示す考えだ。
 完全な収束が見通せないにしても、一定程度に感染を抑止して五輪開催が可能になるよう、対策を講じることが重要である。
 組織委は、大会を簡素化する方針だ。聖火リレーなど関連のイベントは縮小せざるを得まい。
 具体的なスリム化の内容を早急に詰めるとともに、国内外の選手や、キャンプ地の住民らの安全に配慮した計画を策定することが肝要だ。政府は、防疫や医療の態勢を整えなければならない。
 海外からの選手団は、役員らを含め1万5000人に上る。コロナが引き続き蔓延まんえんしている国の選手らをどのように受け入れるかなど、難しい問題がある。
 海外の選手については、入国時はもちろん、定期的なPCR検査の実施が欠かせない。大会期間中には、医療従事者を競技会場などに配置することが大切だ。
 IOCのトーマス・バッハ会長は、観客数の制限を検討課題に挙げた。観客を絞り込む場合、販売済みチケットの返金が問題となる可能性がある。政府や組織委には収入減を懸念する声が多い。
 観客の安全を最優先に考え、判断する必要がある。流行の状況や検査体制を見極めたい。
 延期に伴う追加費用は、数千億円にのぼる見通しだという。政府、組織委、都が協力して分担することが求められる。IOCにも一定の負担を要請すべきだ。
© FNNプライムオンライン 延期となった東京オリンピックの開幕まで、23日であと1年。
新型コロナウイルスの世界全体の感染者が1,500万人を超える中、本当に2021年に開催できるのか。
そのカギの1つが、選手を受け入れる日本各地の「ホストタウン」。
選手が東京の選手村に入る前に、事前キャンプなどを行うのが、全国に500近くある「ホストタウン」。
ここに選手を一定期間隔離する案が浮上している。
案では、入国した選手たちを、まず全国のホストタウンに2週間滞在させ、再びPCR検査をして、陰性の選手だけが東京の選手村に入れる。
多くのホストタウンは、宿泊施設や練習場が整っていて、有力な隔離先となりえる。
しかし、受け入れ先の市民からは、不安の声があがっている。
市民は、「(受け入れは)ちょっと怖いです」、「新座市でまん延しちゃったら、やだなって」などと話した。
また、自治体の担当者も...。
新座市オリ・パラ推進室の増田順子室長は「実際に感染が発覚した時も想定しながら、医療機関、危機管理の体制機関と協議をしていかなくてはいけない」と話した。
大会関係者からは、「リスクを負わされ、拒む自治体も出てくるだろう」との懸念も聞かれるが、政府は、検査の複数回実施や、選手の行動範囲を制限することで、不安を払しょくしたい考え。
1万人を超える大選手団を安心・安全に受け入れる環境を整えることが、大会開催への大きな一歩となる。
高齢者は「自転車問題」にどう向き合うべきか© マネーポストWEB 提供 高齢者は「自転車問題」にどう向き合うべきか  高齢ドライバーによる事故の危険性は、自動車に限らず、自転車にも言えることだ。自動車の運転を控えたり、運転免許を返納したりした高齢者が、新たな移動手段の一つとして、自転車を選択する例も少なくない。だが、自転車に関しても、高齢ドライバーによる危険運転や意識の低さを指摘する声が上がっている。当の高齢者たちは何を思うのか。自身や他人の自転車の運転で危険な目に遭ったことがあるという60代以上の人たちの声を集めた。
 神奈川県在住のAさん(75歳女性)は、自動車の運転を控えていた7歳年上の夫が、電動アシスト付き自転車を買ってきた時のことを、こう話す。
「タイヤが小さい、コンパクトなものです。いわゆるママチャリ、普通の自転車よりも『楽』だと思ったようなんですが、それで出かけるのを見ていると、すごく危なっかしい。平衡感覚というのでしょうか、フラフラして見えるんです。曲がるときもノロノロだし、いつか車に当たるなど、事故を起こしてしまいそうで……。私の印象ですが、大きい自転車よりも、そもそも乗ったことのない小さい自転車のほうがかえって運転が難しいのかもしれません」(Aさん)
 そんなAさんの不安をよそに、夫は「まだまだ自転車くらい」と甘く見ていたようだが、本人も運転の難しさを自覚し始めたようだ。
「『乗るのをやめたほうがいい』と言うと、『電動自転車くらい乗れるわ!』とキレられました。自分にできないことが増えるのを、認めたくないのでしょうか。喧嘩するのも面倒なので、その時私はそれ以上何も言わなかったのですが、いつの間にか乗らなくなっていますね。自分でも乗りこなせないことがわかったのではないでしょうか。事故があってからじゃなくて良かった、と心から思います。あの電動自転車は、娘にあげようかと思っています」(Aさん)
 高齢者の走行マナーや危険運転について、「思うところが多い」というのは、東京都に住むBさん(63歳女性/パート勤務)だ。
「同世代より、若い人のマナーの方がいいと思いますよ。高齢者、とくに男性のマナーにはイライラすることが多いですから。この前なんて、歩いている私の後方から追い抜いて、肩をかすめていきました。それほどスピードはなかったからまだよかったものの……怖かったです」(Bさん)

ノロノロ運転が逆に危ない

特に高齢者の場合、ゆっくり走行する“ノロノロ運転”を前提としたマナーの悪さが厄介なのだという。
「お店や反対側の通りなど、あちこち見ながら自転車を乗っている人も多く、非常に危ない。先日も70代半ばくらいの男性がよそ見をしながら歩道を走っていました。みんな避けてくれるから、事故が起こらないだけ。横断歩道でも斜め横断してくるので、歩行者が気を遣っている感じです。子ども連れの母親とぶつかりかけている場面に出くわしたことがありますが、悪びれる様子もなく、むしろ男性側が舌打ちしていました。もう、自転車も免許制にしたほうがいいんじゃないでしょうか」(Bさん)
 一方で、自ら車の運転だけでなく、自転車の運転も控えるつもりだというのが東京都在住のCさん(72歳女性/無職)だ。「歳には勝てない」とショックを受けた出来事からだった。
「車の運転はすでにほとんどしていなかったので、やめるのは当然の成り行きでしたが、自転車をやめようと思うのは、自分でも意外でした。買い物や子育てで30、40代には日常的に乗ってきたものでしたから。頻度は少なくなっても50代、60代前半くらいまでは普通に乗っていました。
 でも、一時期腰を少し痛めてしまって乗らない時期が5年ほどあり、久しぶりに乗ってみたら、判断能力が鈍っていることに気づきました。強く急ブレーキをかけて、反動でお尻が上がり、前のめりに転びそうになることが何度もあったんです。それで、『ああ、もうこれはダメだな』って。
 足の筋力的にはまだ大丈夫だと思いましたが、乗った後、すごく頭が疲れている感じがありました。それで、こんなに緊張するくらいなら、自転車も控えようとかと思ったんです。どうせ時間はたっぷりありますし、買い物は少量ずつ歩いて行くか、息子に教えてもらったネットスーパーも活用していこうと思っています」(Cさん)
 自動車と違って、免許がなくとも誰でも手軽に乗れる自転車だが、だからこそ逆に“引退”の判断が難しい面もあるだろう。超高齢化時代、高齢である当事者たちも悩んでいる。
広島打線を相手に力投する先発のガルシア© デイリースポーツ 広島打線を相手に力投する先発のガルシア  「阪神3-3広島」(22日、甲子園球場)
 阪神先発のガルシアは、結果としては7回1失点。好投という評価はできるが、初回を見ると、低めに1球も投げることができなかった。これを修正しない限り危ないと見ていたが、その後も梅野が構えたところにはほとんど投げきれなかった。
 それでも1失点というのは、荒れ球で絞りづらいという面があった。広島のチーム力もある。阪神から見ると、巨人以外には負けられないというくらい、巨人とそれ以外には差がある。つまり広島打線にガルシアが打たれなかったのは幸運と見たほうがいい。
 だからこそ、ガルシアは1失点で安心してもらいたくない。同時にマルテ、ボーア、糸原ら主力がグラウンドから外れていく状況は、その幸運を手放しかねない。コンディショニングを見つめ直す必要がある。
NPB旗© 日刊スポーツ新聞社 NPB旗 日本野球機構(NPB)は23日、オンラインでの臨時実行委員会を開催した。8月1日から上限5000人の観客数を収容50%に拡大予定だったが、8月末まで5000人を上限とすることを決めた。
オンライン会見に出席したNPBの井原敦事務局長は「12球団で政府の指針を確認し、8月末まで5000人で行っていく。(8月末というのは)試合がある8月中はということだと思います」。9月以降については、政府の指針に従っていく方針だ。
新型コロナウイルスの感染が再び拡大傾向。前日22日には専門家による新型コロナウイルス感染症対策分科会の提言を受け、西村康稔経済再生相が大規模イベントの人数制限緩和を8月末まで見送ると発表していた。
 発表によると、22日に感染が確認されたのは大阪市57人、吹田市16人、八尾市9人など。摂津市では、夜間に営業する飲食店でクラスター(感染集団)の発生が判明。これまで店に滞在していた人と濃厚接触者計7人の感染が確認されたという。
 記者会見の要旨は次のとおり。
 ――感染者数が拡大した。感染第2波の入り口なのか。
 「客観的に感染者の数だけを見れば、もう感染第2波に入っている。ただ、若者を中心に感染が広がっており、第1波とは傾向が異なる。医療体制についても、第1波のように切迫している状況ではない」
 ――外出自粛や休業要請は。
 「感染者数が増えてきて、医療崩壊につながる可能性が出てくるような状況になった時には、そういう対策も含めて考えていきたい。『家から出るな』となると、強烈な犠牲も伴うことになる。社会経済が動くことによって守られている命もある。難しいかじ取りになるが、最善の道を選ばないといけない」
 ――今後の方針は。
 「感染者の絶対数が増えてくれば、重症者の絶対数も増えてくる。感染症をできるだけ抑えながら、医療崩壊を防ぎ、社会経済活動に与えるダメージを最小化する方策について議論していきたい」
過去最多の大阪府、中高年への感染拡大を警戒© 産経新聞社 過去最多の大阪府、中高年への感染拡大を警戒  大阪府内で22日の新型コロナウイルスの新規感染者数が121人に上り、これまで最多だった4月9日の92人を上回った。年代別では依然として20代などの若年層が中心だが、40代や50代といった重症化リスクが比較的高い年代も増えている。府は重症患者の病床を含む医療態勢への影響を注視する方針だ。
 「92人を超えることは予想していた。まだ増える可能性がある」。吉村洋文知事は22日の記者会見で、同様の感染傾向を示す東京で新規感染者数が高止まりしている状況を踏まえ、こう危機感を示した。
 府は感染者の早期把握のため今春以降、検査態勢を拡充。感染の疑いがある人に対する検査数は、92人の新規感染者を確認した4月上旬で1日最大約400件だったが、今月21日には1500件を超えた。
 22日の検査数も約1500件だったが、新規感染者数は前日の72人から急増。会見でこの理由を問われた吉村氏は「1日で全体の傾向はつかめない。7日単位で増加傾向と速度をみるのが重要だ」と語った。
 自粛要請の基準「大阪モデル」の指標となっている新規感染者数の7日間合計値をみると、22日は536人で、15日(211人)の2・5倍だ。
 新規感染者数の7日間合計値の年代別割合は、30代以下が今月8日の88%から22日には73%まで減少。一方、40代以上は8日の12%から、22日に27%まで増えた。
 現時点では軽症や無症状が多いが、高齢者や中年でも基礎疾患がある人は重症化や死亡のリスクが高く、予断を許さない。
 吉村氏は「高齢者や基礎疾患がある人にじわじわ広がっている。いかにリスクを抑えていくかが重要だ」と強調し、23~26日の4連休に感染症対策を徹底するよう呼びかけた。
川勝平太知事=2020年7月19日午前11時35分、静岡県庁、宮川純一撮影© 朝日新聞社 川勝平太知事=2020年7月19日午前11時35分、静岡県庁、宮川純一撮影  静岡県の新型コロナウイルス感染症対策本部会議が22日、県庁で開かれ、県内の感染状況レベルを、現在の「感染限定期」から一段上の「感染移行期・前期」に引き上げた。これを受け、移動制限も「警戒レベル3 県内注意(一部警戒)、県外警戒」に強めた。
 感染状況レベルの引き上げは、熱海市のカラオケラウンジで県内初のクラスター(感染者集団)が発生したことが大きく影響している。県内では、21日までの1週間の検査陽性者数が人口10万人あたり0・60人と、感染限定期の目安とする0・38人を大きく超えた。
 移動制限でも、熱海市を警戒地域とした。熱海市内の施設でマスクを着用せずに歌ったり、大声で会話したりするなど感染リスクの高い行動を避けるよう求めた。県境をまたぐ移動は東京が「回避」、千葉、埼玉、神奈川、大阪、京都、兵庫が「特に慎重に行動」、愛知と福岡は「慎重に行動」とした。新潟、長野、山梨は「訪問可」とし、他の道県は「注意して訪問可」とした。
 県内の感染者は5月中旬から散発的な発生にとどまっていたが、7月に入って急増。13日から10日連続で陽性者が確認された。とりわけクラスターが発生した県東部では21日現在、感染症指定病床38床に対し18人が入院、病床利用率が47・4%と逼迫(ひっぱく)してきている。
 県が21日に熱海市内のカラオケや飲食店など113施設に立ち入り調査をしたところ、感染防止対策に「十分に取り組んでいる」はわずか10施設しかなかった。県は今後、歌唱時のマスク着用や室内の換気徹底などを求める。また、クラスター関係の感染者に高齢者が多いことから、高齢者に改めて注意を喚起する。(阿久沢悦子)
 TBSの宇内梨沙アナウンサー(28)が22日、TBS系「ひるおび!」(月~金曜前10・25)に出演。16日に17歳11カ月で最年少タイトルを獲得した、現役高校生棋士、藤井聡太棋聖(18)について言及した。
 番組では、宇内アナが藤井棋聖に20日に行ったインタビューの様子を交えながら、藤井棋聖について紹介。対面したときの印象を聞かれた宇内アナは「皆さんがテレビでご覧になっている姿と全く変わらず、一問一問とても誠実に答えてくださる方」と語った。
 取材中に目が合うことはあったかという質問に「合わなかったですね」と語ると、藤井棋聖は照れていたのではないかという話題に。ゲスト出演していた藤井棋聖の師匠、杉本昌隆八段(51)が「私でも照れるから、藤井棋聖だったら…。彼の気持ちはよくわかります」と弟子の胸中を推測。宇内アナは穏やかに否定しつつ「思考を巡らせているのが、いつものうつむき加減からも伝わってきましたね。18歳とは思えない言葉選びで、頭が上がりませんでした」と振り返った。
朝食を取るブラジルのボルソナロ大統領=21日(大統領のツイッターより・時事)© 時事通信 提供 朝食を取るブラジルのボルソナロ大統領=21日(大統領のツイッターより・時事)  【サンパウロ時事】ブラジル大統領府は22日、新型コロナウイルスに感染しているボルソナロ大統領(65)が、21日に実施したPCR検査で三たび陽性反応を示したと発表した。「経過は良好」という。ボルソナロ氏は7日に感染を公表。早期の通常職務復帰を望んでいるが、14日の再検査でも陽性となっていた。
大型鳥レアに餌をやるブラジルのボルソナロ大統領=17日、ブラジリア(AFP時事)© 時事通信 提供 大型鳥レアに餌をやるブラジルのボルソナロ大統領=17日、ブラジリア(AFP時事)  ボルソナロ氏は2週間にわたり大統領公邸で自主隔離生活を送っている。ただ、新型コロナ軽視の姿勢は相変わらず。「家にこもっているのは耐えられない」と退屈しているもようで、毎日のように庭を散歩し、放されているダチョウに似た大型鳥レアに餌をやったりしている。
 日課だった支持者との交流も再開。公邸敷地内の小さな堀を挟み、密集した市民と大声で会話を楽しんでいる。
 保健省は22日、累計感染者数が222万7514人、死者が8万2771人となったと発表した。ともに米国に次ぎ、世界で2番目に多い。感染者は1日で過去最多の6万7860人、死者は1284人それぞれ増加した。 
 筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患っていた京都市の女性=当時(51)=から依頼を受け、薬物を投与し殺害したとして、京都府警が嘱託殺人の疑いで宮城県の40代の呼吸器内科医と、東京都の40代の内科医の逮捕状を取ったことが23日、捜査関係者への取材で分かった。
 捜査関係者によると、2人は共謀して昨年11月30日、ALSで寝たきり状態となっていた女性に頼まれ、京都市内の女性宅で、薬物を投与し、殺害した疑いが持たれている。
 女性は数年前からALSを患って闘病を続けていた。2人は女性の主治医ではなかったといい、SNS(会員制交流サイト)を通じて知り合ったとみられている。
 死亡した経緯に不自然な点があり、女性が薬物の投与を受けた疑いが浮上。京都府警はメールなどのやり取りから、2人が女性の依頼を受けて殺害したとみて捜査していた。2人が見返りに現金を受け取っていたとの情報もあり、裏付けを進める。
 投与されたのは、医療現場では鎮静剤や抗てんかん薬として使われている薬物。大量に摂取すると致死性があり、欧米では医師による安楽死や死刑の執行に用いられることもあるというが、日本国内では市販はされていない。
 女性が罹患(りかん)していたALSは全身の筋肉が徐々に動かなくなり、進行すると呼吸困難になり死にいたる難病。女性は死亡当時、すでに自力でのまばたきも難しくなっていたといい、「安楽死」を希望したとみられている。

照ノ富士 復活3連勝

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千代丸(奥)を上手投げで破った照ノ富士=米田育広撮影
千代丸(奥)を上手投げで破った照ノ富士=米田育広撮影
 大相撲7月場所3日目(21日・両国国技館)――白鵬は厳しいおっつけで遠藤を圧倒、新大関の朝乃山も力強い攻めで豊山を寄せ付けず、ともに初日から3連勝。大関カド番の貴景勝は隠岐の海の押しに腰が入ってあおむけに倒され、初黒星。御嶽海は捨て身の首投げで勝ちっ放しとしたが、正代は初黒星。

[やぐら太鼓]元大関、序二段から再入幕

「体動いている」
 元大関が幕内前半に4人も登場する異例の場所。中でも史上初めて序二段から幕内に復帰した照ノ富士の存在感が際立つ。初日から3連勝を飾り、「体も動いている」と静かに語った。
 自身より10キロも重い190キロの千代丸の当たりを難なく食い止めた。前傾姿勢で押し込み、右四つで左上手を取ると、すぐさま上手投げで転がした。全盛期の豪快な取り口を思えばまだ手探りの様子もあるが、相手に何もさせない相撲に、審判部副部長を務める高田川親方(元関脇安芸乃島)は「下からはい上がった分、幕内の土俵の喜びをかみ締めながら、いい相撲を取っている」と評価した。
 糖尿病や両膝のけがなどで、大関から序二段まで転落。長期休場を経て昨年春場所で復帰した当時は腰高で上体が起き、「自分から足が出ていかない。何なんだろう」とこぼしていた。ただ、師匠の伊勢ヶ浜親方(元横綱旭富士)の「やれば出来る。もう一度復活する姿を見せたらいい」という言葉を胸に、稽古やトレーニングを続け、ここまで番付を戻してきた。
 幕内土俵入りでは富士山を太陽が照らす模様の化粧まわしをつけた。「頑張っている姿を見せたい。精いっぱいやれることを全部やっていきたい」。どん底を味わった男が務める必死の土俵は、見る者の胸を打つ。(松田陽介)
アフリカの新型コロナ感染者、75万人突破=ロイター集計© Reuters/BAZ RATNER アフリカの新型コロナ感染者、75万人突破=ロイター集[ナイロビ 22日 ロイター] - ロイターの集計や世界保健機関(WHO)のデータによると、アフリカでの新型コロナウイルス感染者が22日、75万人を突破した。
累計の感染者は75万1151人。8日時点で50万人の節目に達していた。
アフリカの新型コロナ感染症による累計の死者は1万5721人
© FNNプライムオンライン 東京で238人、大阪で過去最多となる121人の新型コロナウイルスの感染者が確認される中、開発中のワクチンと日本の治療薬に大きな期待が寄せられている。

ワクチンと治療薬をめぐる新たな動き。
それは、新型コロナ対策の切り札となるのか。
日本での新型コロナウイルス感染症の治療薬は、これまで特例承認されていた「レムデシビル」のみだったが、厚生労働省は、新たに医療機関向けの診療の手引きに、ステロイド系抗炎症薬「デキサメタゾン」を追加掲載。
国内2例目の治療薬となる。
根拠となったのは、重症患者の致死率が減少したという、イギリスの研究結果。
特に人工呼吸器をつけた患者の場合、デキサメタゾンの投与を10日間続けた結果、28日後の死亡率が、投与しなかった患者に比べ、10%ほど低かった。
デキサメタゾンとは、どのような薬なのか。
実は、既存の薬として、日本の医療現場では広く使われている。
都内の小児科でも。
大川こども&内科クリニック・大川洋二院長「これがシロップ剤で、これは錠剤、経口の薬ですね。ぜんそくで呼吸困難になった人の呼吸をしやすくするような、抗炎症作用を主とした扱い方ですね。(病気によっては)0歳から使えます」
日本国内では、「デカドロン」という名前で知られており、注射用の液体タイプや錠剤、さらに、飲み薬用のシロップもある。
大川こども&内科クリニック・大川院長「これは抗炎症作用で、呼吸器の炎症を抑えるために、子どもが呼吸ができなくなる状態から救うことができます」
大川医師は、新型コロナ治療の現場でも、以前から使われていたのではと指摘する。
大川こども&内科クリニック・大川院長「新型コロナウイルスの場合も、呼吸が苦しいということが多いと報告されていますので、それに準じて使われたのだろうと思います」
気になるのは、服用した際の副作用。
製薬会社のウェブサイトには、副作用についての目立った記述はない。
大川こども&内科クリニック・大川医師も、短期的な副作用は少ないとしながらも、「短期的に使う分には問題ありませんけれども、1カ月、2カ月使うと、一番問題なのは、筋力が低下して、非常に力が出なくなる状態。それと、高血糖になりますので、糖尿病の状態になりやすい」としている。
治療薬拡充の一方で、ワクチン開発にも新たな動きが。
イギリスのオックスフォード大学と製薬会社アストラゼネカは20日、開発中のワクチンが強力な免疫反応を示したと、臨床試験の中間結果を発表した。
2020年9月の供給を目指す、このワクチン。
会見を行ったアストラゼネカのトップは、日本への供給にも言及した。
アストラゼネカ パスカル・ソリオCEO(最高経営責任者)「できるかぎり早く、1億回分のワクチンを日本に供給することを目指しています」
さらに、日本の加藤厚生労働相からも。
加藤厚労相「日本のアストラゼネカの社長が来られて、話もさせていただいている。交渉をさせていただいているところであります」
ワクチンの供給量については、20億回分が生産される可能性があり、アストラゼネカは、そのうちの1億回分を日本に供給することを念頭に、交渉を行っているとしている。
しかし、日本への供給が、ほかの国より遅れる可能性があるとの発言も。
アストラゼネカ パスカル・ソリオCEO「もし日本での治療の結果を待たねばならないのであれば、そのときは、日本への供給は遅れることになる」
新型コロナ対策の切り札となり得るワクチン。
迅速かつ安定的な確保ができるかどうかが、次の焦点となる。
© 朝日新聞社 国内で判明した感染者 22日午後9時現在  新型コロナウイルスの国内感染者は22日午後9時現在で、新たに795人が確認された。東京・大阪・愛知などの大都市圏で感染が広がっており、埼玉県では過去最多の62人の感染を確認。神奈川県(68人)や千葉県(40人)、兵庫県(30人)では、5月25日の緊急事態宣言解除後として最も多くなった。
 東京都の感染者数は238人で、100人を超えるのは14日連続。238人のうち、22日時点で感染経路がわかっていないのは138人。家庭内感染が28人で、接待を伴う飲食店関連での感染21人を上回った。年代別にみると20代、30代で144人と全体の61%を占めた。一方で、40代が31人、50代が20人、60代が14人、70代が10人、10代が9人、10歳未満が8人と幅広い世代で感染が広がっている。重症者は18人で前日よりも4人増えた。
 解除後最多となった神奈川県では、川崎市中原区の私立保育所で園児2人の感染が判明。この保育所ではこれまで、保育士や園児ら3人の感染が判明しており、臨時休園している。また横浜国立大学の運動系サークルに所属する学生4人も感染。サークルでは、ほかに20代男性の感染もわかっており、市はクラスター(感染者集団)とみている。
 千葉県では、印西市にある関西電力の関連会社「きんでん」の研修所で11人が感染するクラスターが発生。またクラスターの発生していた同県浦安市の「タムス浦安病院」では新たに80代男性の感染が確認され、この病院関係の感染者は39人になった。
 埼玉県では、県立川越高校の生徒1人が感染。同校では19日に、この生徒の同級生の感染も判明しており、8月1日まで学級閉鎖する。草加市立中学校の生徒1人の感染も確認され、この生徒が通う中学校は今月31日まで臨時休校となった。