東京五輪 感染防ぎ安全な大会を目指せ
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新型コロナウイルスの感染を抑止し、安全な開催にこぎ着けられるか。水際対策の抜本的な強化がカギを握ろう。下へ
来年夏に延期された東京五輪の開幕まで、あと1年となった。大会組織委員会は、オンライン方式で開かれた国際オリンピック委員会(IOC)の総会で、会場や競技日程を報告した。
今夏に想定していた計画を踏襲して、史上最多の33競技339種目を42会場で行う。マラソンと競歩は、暑さ対策のため札幌市で開催することになっている。
日程や会場の維持は、輸送や警備など大会運営への影響を最小限にとどめる狙いがある。選手も練習に取り組みやすいだろう。
世界的なスポーツの祭典を安心して開催できるよう、パラリンピックも含めて、関係者には入念に準備してもらいたい。
国内では、東京都を中心に感染が再拡大した。米国や新興国でもなお猛威を振るっている。
五輪開催の可否は最終的にIOCが判断する。政府と組織委、都は今秋に感染対策の協議を始め、年内に方向性を示す考えだ。
完全な収束が見通せないにしても、一定程度に感染を抑止して五輪開催が可能になるよう、対策を講じることが重要である。
組織委は、大会を簡素化する方針だ。聖火リレーなど関連のイベントは縮小せざるを得まい。
具体的なスリム化の内容を早急に詰めるとともに、国内外の選手や、キャンプ地の住民らの安全に配慮した計画を策定することが肝要だ。政府は、防疫や医療の態勢を整えなければならない。
海外からの選手団は、役員らを含め1万5000人に上る。コロナが引き続き蔓延 している国の選手らをどのように受け入れるかなど、難しい問題がある。
海外の選手については、入国時はもちろん、定期的なPCR検査の実施が欠かせない。大会期間中には、医療従事者を競技会場などに配置することが大切だ。
IOCのトーマス・バッハ会長は、観客数の制限を検討課題に挙げた。観客を絞り込む場合、販売済みチケットの返金が問題となる可能性がある。政府や組織委には収入減を懸念する声が多い。
観客の安全を最優先に考え、判断する必要がある。流行の状況や検査体制を見極めたい。
延期に伴う追加費用は、数千億円にのぼる見通しだという。政府、組織委、都が協力して分担することが求められる。IOCにも一定の負担を要請すべきだ。
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