2020年7月6日月曜日

島津亜矢 地元・熊本豪雨被害でTシャツ1000着と即席みそ汁1000食寄付発表



島津亜矢が熊本県南部豪雨災害の被害に遭った自治体に寄付する「がんばらなんたい」Tシャツ
島津亜矢が熊本県南部豪雨災害の被害に遭った自治体に寄付する「がんばらなんたい」Tシャツ
 熊本県出身の歌手・島津亜矢(49)が、熊本県南部豪雨災害の被害に遭った自治体にTシャツ1000着、即席みそ汁1000食を寄付すると6日、発表した。
 親類や知人が人吉市内に多く住んでいるため、報道を見て心を痛めており、「いまできる緊急支援」として決めた。自身のオリジナルグッズから熊本弁で「頑張らなきゃ」を意味する「がんばらなんたい」と書かれたTシャツと、即席みそ汁を、1週間以内をメドに人吉市、芦北町、球磨村に無償で届ける。
 支援物資の対応で混乱が予想されるため、当該地区の自治体と密接に連絡を取り合い、迷惑の掛からない形で進めていく。
 島津は、9日に自身初の配信コンサートを行う。全国のコンサート視聴者に向けて、生配信で、自らの言葉で支援を呼びかける予定だ。
読売新聞(夕刊)ペットらいふ

   教えて! 犬をしつけ直す

1行動 必ず原因が問題

「夜鳴きがひどくなった」など、愛犬に問題行動が現れて悩む声をよく聞きます。犬の行動が急に変わる時は必ず原因があります。それを見つけるのが、しつけをやり直す第一歩です。
問題行動のほとんどは、飼い主とのつきあいから犬が学習することで始まります。例えば、ケージに入れたのに寝ずに鳴き始めたケース。飼い主が何度かベッドで愛犬と寝たことをきっかけに、犬はケージから出せと主張するようになりました。飼い主も鳴くたびに連れ直すには、新しく学習させることが必要です。この場合は、鳴いてもベッドに行けないことを教えます。つまり、無視すること。1日で学ぶ犬もいれば、1か月近くかかる犬もいますが、根気よく続けましょう。隣近所に配慮して、昼寝の際や夜の就寝時間を早めるなどして、取り組むとよいでしょう。また、電気を消したり、人の気配がなくなったりすると鳴き始めることもあります。その際は、犬を入れたケージを人が見える位置から少しずつ遠ざける対処法も有効です。
しつけ直しは、簡単ではありません。飼い主が犬の要求に応じ過ぎると、望ましくない行動を学んでしまうこともあると覚えておきましょう。

2散歩は飼い主が主導権

愛犬が散歩中にリードを引っ張るようになって困る、と相談を受けます。飼い
主が転倒してけがをしたり、通行人の妨げになったりするので、直したい行動の
一つです。
  幼い犬は、外の世界を警戒して、飼い主からそれほど離れません。成長すると
自分が気になるものを追いかけるようになります。犬に合わせて飼い主が走ると
引っ張り癖がつきます。地面のにおいを嗅ぎながら自由に歩き回らせると、拾い
食いを始めます。
  犬は一度できたことは繰り返します。飼い主がしてほしくないことは、犬の思
い通りにさせず、できないことを教える必要があります。
  引っ張り癖は、犬が首を下げると少し苦しく感じる程度にリードを短く持ち、
 横に並んでゆっくり歩いて直します。10メートルほど進んで一度立ち止まり、
 犬が自ら進むのをやめるまで待ちます。リードを緩めても動かずにいられたら
「行こう!」などと合図をして歩き出しましょう。止まる時も、歩き出す時も、
 飼い主が主導権を持つことが大事です。
  拾い食いは、犬が鼻を地面に近づけたとき、リードをまっすぐ上にチョイチョ
 イと引っ張り上げます。犬が首を上げたら必ず褒めましょう。繰り返すうちに、
 飼い主のペースにあわせて歩けるようになるはずです。

3 褒美でトイレを再認識

 トイレやケージの中など、決まった場所で排せつをしていたのに、急にしなく
 なった。そんな愛犬の変化には、いくつかの理由が考えられます。
  まず、犬は生後6か月頃から自己主張が強くなり、排せつで縄張りを示そうと
 するマーキングを始めることがあります。玄関や廊下など、人がよく通る場所や
目につきやすい場所で行うのが特徴です。
  また、トイレトレーニングを終えて、飼い主が毎回おやつなどの褒美を与えな
 くなると、意欲が下がってしまう場合があります。玄関マットやじゅうたんなど
 ペットシーツ同様に染み込む素材を見つけて排せつするようになります。
  家族や飼い犬が増えたり、引っ越したりなど、住環境が変化した時も、部屋や
家具に臭いをつけようとします。
  いずれの場合も対処法は同じです。粗相を見つけたら、大声で叱ったりせず、
 速やかに捕まえてケージなどに入れて、最低1時間は放っておきます。きちんと
排せつできれば、褒美を与えて愛犬の意欲を高め、トイレの場所を再認識させま
 す。愛犬の好物を与えるほど、早く思い出します。
  トイレができるようになっても、数回に1回は褒美を与え続けて、しっかり継
 続できるようにしましょう。



今までかみつかなかったのに、急にかみつくようになったという相談をよく受けます。
  たとえば、子犬の頃は、おもちゃやエサの入った器を取り上げても大丈夫でも、6か月を過ぎた頃から、うなったり、かもうとしたりすることがあります。自己主張が強くなり、「取るな!」と伝えているのです。
  この時、かもうとしたからといって、おもちゃなどを取らずにいると、犬は嫌なことをされそうになったら、かめばいいと学習してしまいます。取り上げる時に、「ちょうだい」などの言葉をかけておやつを見せ、放したら、よくほめて与えるといった方法で直しましょう。おやつは、おもちゃなどよりも魅力を感じるものを使う必要があります。
  また、体をなでただけでかむような時は、健康上の問題が潜んでいるかもしれません。たとえば、関節に炎症があって触られると痛い時、かみついて「やめて」と訴えるのです。ふだん通りに触れているのにかむようになった時は、動物病院を受診しましょう。
  かみつきは、そうした行動をとる理由を見つけづらいことが多く、やめさせようとして、かえって悪化させることもあるなど、しつけ直しが難しい行動のひとつです。適切に対処するために、専門のトレーナーやかかりつけ医などに相談することも検討するとよいでしょう。

10代少女の首を飛び出しナイフで刺す…駐車場の車内で知人の男

配信

読売新聞オンライン

 山梨県警韮崎署は5日、埼玉県本庄市児玉町八幡山、自称会社員福島幹雄容疑者(40)を殺人未遂の疑いで緊急逮捕した。  発表によると、福島容疑者は同日午前9時35分頃、山梨県韮崎市旭町上條南割のみだい体育センター駐車場に停車した自身の車内で、同乗していた知人で同県の10歳代後半の少女の首を飛び出しナイフで1回刺し、殺害しようとした疑い。少女は全治1か月のけがを負ったが、命に別条はないという。  刺された少女は車から逃げ出し、目撃した通行人が110番。駆けつけた同署員が、付近にいた福島容疑者を緊急逮捕した。福島容疑者はあいまいな供述をしているといい、県警が経緯や動機を調べている。

7月6日 よみうり寸評



 東京都知事選で再選が確実と報じられても、小池百合子氏は万歳をしなかった。「コロナ禍の真っただ中」だからと理由を語っている◆仮にコロナ禍がなくても万歳には違和感を抱く向きがあったろう。記録的豪雨に襲われた熊本などの惨状が朝から次々とテレビに映し出されていた◆亡くなった人や心肺停止の人、行方不明の人は6日午前時点で約50人に上る。避難所では感染防止にも心を配らねばならず、雨はなお降りやまない。息を詰めて現場の中継を見つめる時間が続く◆5日は九州北部豪雨から3年の日でもあった。西日本豪雨からは6日で2年である。幾度襲来を重ねても自然は牙をむくのをやめない。一昨年は大阪や北海道を地震も襲った。当時の本紙時事川柳欄(東京版)に一句がある。〈揺れもせず豪雨も降らぬ首都不気味 岩立安巨〉◆コロナ対策が争点となった戦いを制した小池氏だが、まさしく真っ只中の問題だけに危機管理力への評価が定まるのはこれからだろう。危機がコロナにとどまる保証もない。

敗れし者のいない夏に


社会部デスク 足立大
甲子園では、各校の個性豊かな応援が試合を盛り上げる。智弁和歌山の応援をする吹奏楽部員ら。(2019年8月)
甲子園では、各校の個性豊かな応援が試合を盛り上げる。智弁和歌山の応援をする吹奏楽部員ら。(2019年8月)
 新型コロナウイルスによって出演者が密になる収録ができないからだろうか、テレビで昔の歌謡曲の再放送を目にする。昭和生まれには懐かしいような温かいような心地よさがあるが、たまにザワザワする不穏な心もちにもさいなまれる。ピンク・レディーの「サウスポー」、山本リンダの「狙いうち」、「宇宙戦艦ヤマト」……。それは、たいがい高校野球の定番応援ソングを耳にした時だった。
 身内のような話で恐縮だが、高校野球は、多くの新聞記者にとっても特別な存在である。読売新聞社でいえば、入社して研修を終えると地方の支局に配属され、記者の一歩を踏み出す。そこで最初にぶち当たる壁は高校野球の地方大会と決まっている。
 地方大会では球場ごとに連日2、3試合が行われ、新人記者は1人1球場を任せられる。試合経過をスコアブックに落とし、打撃や守備の迫力あるベストショットをカメラで狙い、合間に戦評を書き、見せ場を得た球児を試合後に取材してその瞬間の思いを記事に仕立て、応援スタンドから保護者やOBたちチームゆかりの人物を見つけ出して試合とは別の切り口のニュースを考え、支局に戻って記事やゲラを確認し、デスクやキャップに叱られ……という生活を朝から晩まで2週間ほど繰り返す。スタンドは、暑い。日陰もない。みるみるやせ細る。
 野球に興味がない記者もいる。でも、泥だらけの笑顔と涙顔にひかれ、球児を守り育んだ保護者や地域社会を好きになり、地方大会の終盤には古里のような愛着を抱くようになる。高校野球は球児たちを一回り二回りも成長させるだろう。が、記者も高校野球の取材を乗り越えて記者になる。記者は球場という養成学校に通い、球児たちから学ぶ。
夏の甲子園大会中止決定の知らせに、涙を流す佐賀北高校(佐賀県)の野球部員(5月20日)
夏の甲子園大会中止決定の知らせに、涙を流す佐賀北高校(佐賀県)の野球部員(5月20日)
 新型コロナウイルスの影響で、夏の甲子園大会(第102回全国高校野球選手権大会)と、全49代表(北海道、東京各2校)を決める全国の地方大会が中止となった。1918年(米騒動)、41年(戦局の深刻化)も中止されたが、戦後は初めての事態である。新聞には全身を震わせて泣きじゃくる球児たちの姿が載った。代替大会の実現も定かではないのに、練習を再開した球児もいる。その真摯しんしさにはもらい泣きしかできない。
 冒頭の「狙いうち」等の楽曲はどれも作詞家・作家の阿久悠さんによる作詞である。野球を愛した阿久さんは、1979年夏から、亡くなる2007年の前年までスポーツニッポン紙に「甲子園のうた」を連載した。日々、テレビで夏の甲子園大会をすべて観戦しながら、球児たちへの賛歌を紙面に連ねていった。
甲子園球場への熱い思いを語る阿久悠さん。兵庫県の洲本高校在学中に、同校が選抜大会で全国優勝した。小説「瀬戸内少年野球団」など、野球好きで知られた。(2003年)
甲子園球場への熱い思いを語る阿久悠さん。兵庫県の洲本高校在学中に、同校が選抜大会で全国優勝した。小説「瀬戸内少年野球団」など、野球好きで知られた。(2003年)
 2003年8月10日、都立ながら東東京代表に立ち、初めて甲子園の土を踏んだ雪谷高校が強豪のPL学園に1-13で惨敗した。この時、阿久さんは「敗れざる夏」と題する詩を詠んでいる。
 <敗れし者よ されど 敗れざる夏よ 刻んで 刻んで 心に焼き付けて 未来へ運ぶ 敗れし者の 敗れざる夏の記憶>(あんでぱんだん 阿久悠オフィシャル・ウェブサイト
 少なくとも、今年の甲子園に敗れし者はいない。そして、最後の夏に全身全霊をささげてきた球児たちの誰もが、いつの日か、敗れざる夏の記憶をたぐり寄せてほしい。
 阿久さんは、こんな言葉も残している。
 <誠実は、損することはあっても負けることはない
東京都知事選 現職の小池百合子氏 2回目の当選

東京都知事選 現職の小池百合子氏 2回目の当選

過去最多の22人が立候補した東京都知事選挙は、現職の小池百合子氏(67)が、2回目の当選を果たしました。
東京都知事選挙の結果です。
▼小池百合子、無所属、     現。当選。366万1371票。
▼宇都宮健児、無所属、     新。           84万4151票。
▼山本太郎、れいわ新選組  新。           65万7277票。
▼小野泰輔、無所属、        新。           61万2530票。

▼桜井誠、諸派、新。17万8784票。
▼立花孝志、諸派、新。4万3912票。
▼七海ひろこ、諸派、新。2万2003票。
▼後藤輝樹、諸派、新。2万1997票。
▼澤紫臣、無所属、新。2万738票。
▼西本誠、諸派、新。1万1887票。
▼込山洋、無所属、新。1万935票。
▼平塚正幸、諸派、新。8997票。
▼服部修、諸派、新。5453票。
▼齊藤健一郎、諸派、新。5114票。
▼市川浩司、諸派、新。4760票。
▼内藤久遠、無所属、新。4145票。
▼関口安弘、無所属、新。4097票。
▼竹本秀之、無所属、新。3997票。
▼石井均、無所属、新。3356票。
▼長澤育弘、無所属、新。2955票。
▼押越清悦、無所属、新。2708票。
▼牛尾和恵、無所属、新。1510票。

現職の小池氏が、立憲民主党、共産党、社民党の支援を受けた宇都宮氏やれいわ新選組の山本代表、日本維新の会が推薦した小野氏らを抑えて、2回目の当選を果たしました。

小池氏は、兵庫県出身の67歳。民放のニュースキャスターなどを経て、平成4年の参議院選挙で、当時の日本新党から立候補して初当選しました。

翌平成5年に衆議院議員に転じたあと、平成14年には自民党に入り、環境大臣や防衛大臣、党の総務会長などを歴任しました。

前回・4年前の都知事選挙では政党の支援を受けずに立候補し、自民・公明両党などが推薦した候補らを破って当選し、初めての女性の都知事になりました。

今回の選挙でも、小池氏は、政党の推薦や支持は求めませんでしたが、自民党は、独自候補の擁立を断念し、二階幹事長が支援する考えを示していたほか、公明党も実質的に支援しました。

また、小池氏は、新型コロナウイルス対応のため、知事としての公務を優先するとしたほか、人が密集することを避ける必要があるとして街頭演説は一切行わず、インターネットを通した運動に徹しました。

そして、新型コロナウイルスの第2波に備えるため、医療や検査体制を充実させていくことや、来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックは簡素化して費用を縮減すると訴えました。

その結果、自民党や公明党の支持層に加え、宇都宮氏を支援した立憲民主党の支持層や、特定の支持政党を持たない無党派層などから幅広く支持を集めました。

小池氏「大切な2期目の重責を担っていく」

小池氏は「都民の力強い支援に対し、大変うれしく感じると同時にこれから大切な2期目の重責を担っていく、その重さに大変責任を感じる。喫緊の課題は何よりも新型コロナウイルス対策で、都民の皆様方の健康と命、暮らしを守っていきたい」と述べました。

新型コロナウイルスの対策として再び事業者に休業要請を行う可能性について、「緊急事態宣言下のように一斉にみんなが休むという形ではなく、かなりピンポイントで、全体での休業要請でない効果的な方法を進めていきたいと考えている」と述べました。

また「これからすぐ行わなければいけないのは補正予算の編成だ。患者を多く受け入れてた医療機関はいま経営的にも大変厳しい状況にある。これらを、国の補正予算を活用しながら補填(ほてん)していく。そして第2波にも備えながら目下、進んでいることに対して3000億円規模になろうかと思うが、補正予算をしっかりあてていきたい」と述べました。

東京オリンピック・パラリンピックについて、「子どもやアスリートは来年に延期されたとはいえ大会を楽しみにして心待ちにしていると思う。ある意味で、コロナに打ち勝った証になることを目標に、コロナ対策を進めていくのも一つだと思う。都民の健康、命を守ることが最優先だが、ひとつのわかりやすい目標になろうかと思う」と述べました。

そのうえで「都としてもオリンピック・パラリンピック後のことも考えながらこれまで多大な投資もしてきた。これらをいかすためにも、簡素化したり、いろいろやり方などをIOCと連携したりしながらどのように進めるかを検討し、大会を開催できるよう進めていきたい」と述べました。
豪雨被害を受けた熊本県人吉市の家屋=5日午前11時35分(共同通信社ヘリから)© KYODONEWS 豪雨被害を受けた熊本県人吉市の家屋=5日午前11時35分(共同通信社ヘリから)  豪雨で甚大な被害が出た熊本県南部は6日、停滞する梅雨前線の影響で激しい雨となった。警察や消防、自衛隊は行方不明者の捜索や被災者の救助を急ぐが、川が増水して再び通行できなくなった地区もあり、活動は難航した。県や市町村は被災状況を調べているが、全容把握には時間がかかりそうだ。
 県などによると、芦北町と人吉市、八代市、津奈木町で計22人の死亡を確認。心肺停止は、球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」の入所者14人を含む18人で、球磨村や人吉市などで計11人の行方が分かっていない。
大雨の影響で道が冠水し、立ち尽くす消防団員ら=6日午前9時20分、熊本県津奈木町© KYODONEWS 大雨の影響で道が冠水し、立ち尽くす消防団員ら=6日午前9時20分、熊本県津奈木町

【熊本豪雨】「死を覚悟した」屋根裏で一夜の高齢夫婦
© 産経新聞社 【熊本豪雨】「死を覚悟した」屋根裏で一夜の高齢夫婦

 「助かるよ、元気ださんば」。被害が大きかった熊本県八代市の高齢夫婦は、逃げ込んだ屋根裏で励まし合いながら一夜を過ごし、約14時間後に救助された。顔近くまで水につかり、一時は死も覚悟したが、浮き上がった畳が足場となり、九死に一生を得た。

 同市坂本町の球磨川の支流、油谷(あぶらたに)川沿いで理容室を営む村上勝さん(81)と妻の昭枝さん(78)が異変を感じたたのは、4日午前2時半ごろだった。

 「いつもより水の流れが速いな」。大雨が予想されたことから、念のためにと夜通しつけていたテレビは、一刻も早い避難を呼びかけていた。

 約1時間後、いきなり1階の店舗部分への浸水が始まった。約60年間営業してきた店をなんとか守ろうと、店の道具を住居スペースの2階に運び始めた。

 だが、濁流の勢いは予想以上に激しかった。水位は急激に上昇し、逃げる場所がなくなった。「あっという間に2階まで水が上がり、みるみるうちに胸のあたりまできた」と昭枝さんは振り返る。

 少しでも高いところへ逃げようと、2階の窓枠を足場にし、カーテンレールと窓のサッシで体を支えた。だが、体は水につかった状態で、体温がどんどん奪われていく。残された選択肢は天井の板を破り、屋根裏に入ることだけだった。

 勝さんはなんとか天井板を押し上げて上がったが、水に体温を奪われ、踏ん張る力がもう残っていなかった昭枝さんには難しかった。ついに水が顔まで迫る中、倒れた仏壇が昭枝さんの目に入った。

 「ご先祖さま、申し訳ありません。お父さんだけでも生き残ってほしい」。死を覚悟した直後、たまたま浮き上がった畳が足場になり、必死にはい上がった。

 外の状況が確認できない薄暗く狭い空間で、2人で励まし合いながら一夜を過ごした。翌日午後、水が引き始めたのに気づいた勝さんが2階に下りて自衛隊に救助を求め、午後4時半ごろにようやく昭枝さんも助け出された。

 水没した店はどんな状態か、まだ確認できていないが、勝さんは再開を諦めていない。「道のりは長いが、常連さんのためにも店を再開させたい」

子育て世代の多くが老後難民予備軍といわれます。未来を明るいものにし、ハッピーな老後を迎えるためには、ある3つの「資産」が必要。これらには、日々の家計管理が密接に関わっているのです。


© All About, Inc. 子育て世代の多くが老後難民予備軍といわれます。未来を明るいものにし、ハッピーな老後を迎えるためには、ある3つの「資産」が必要。これらには、日々の家計管理が密接に関わっているのです。

未来は「家計管理と考え方」次第でどうにでもなる

「老後難民」や「長生きリスク」という言葉をよく耳にするようになりました。家計を一生懸命やりくりしている主婦や、頑張って働いている人々にとって、未来に希望が持てないのはとても悲しいことです。

しかし、未来は「家計管理と考え方」次第でどうにでもなるものです。ここでは、老後難民にならず、ハッピーな老後を迎えるための方法をお伝えしたいと思います。

子育て世代の多くは「老後難民」予備軍

私が家計管理に目覚めたきっかけは、自分で作ったキャッシュフロー表です。子どもたちが大学に進学する頃から、1000万円以上の赤字が死ぬまで続くという結果になったのです。

このようなケースは我が家だけでなく、今の子育て世代の家計に多く見られます。その大きな原因は、所得が増えないのにマイホームや車、保険料、教育費といった支出を抑えないという点にあります。つまり、非常にバランスが悪いのです。
支出面を身の丈にあったものへとシフトし、時間とお金を有効に使って資産を形成できるように一歩踏み出せるかどうかが、老後難民となるか、ハッピーな老後を迎えるかの分かれ道となります。

ハッピーな老後には3つの「資産」が不可欠

老後をハッピーに生きるには、「資産」が必要になります。「資産」にはいろいろな意味があり、中でも「お金」「健康」「友人」が大切です。 それぞれについて、詳しく見ていきましょう。


1. お金

お金を貯めるには「時間」が必要です。始めるには早いに越したことはないということですね。「稼ぐ」「減らす」「貯める」「増やす」、これら4つの車輪がしっかり回っているからこそ、資産を形成することができます。

▼稼ぐ収入を増やすには、自分を磨く努力が必要
▼減らす一時的な節約ではなく、継続的な倹約体質を作り上げることが大切
▼貯めるコツコツと貯めるには時間が必要
▼増やす運用成績をあげるには、経験による相場観が必要。相場観は時間とお金をかけて作り上げていく

2. 健康

健康で過ごせるかどうかも重要です。食事やスポーツジムなどに、お金をかけるというわけではありません。今は、少ないお金でも栄養価の高い食事を作ることができます。インターネットのサイトにもレシピがたくさん掲載されています。

運動にも、お金のかからないモノから高額なモノまでありますので、家計とのバランスを取りながら、自分が一番楽しく続けられる方法を見つけるとよいと思います。
また、笑顔があふれる家庭にすることで、外でのストレスも軽減されて精神的負担から心身を守ることができます。「体と心と家計」、この3つにバランスよくお金を配分する能力が必要だということです。

3. 友人

一人で過ごす老後と友人たちと過ごす老後、どちらが楽しいかは一目瞭然でしょう。

豊かな人間関係はかけがえのない資産ですが、人間関係をスムーズにするには、少なからず「お金」が必要となります。人間関係にとって「お金」は、潤滑油という役目を果たしてくれるのです。
たとえば、家計の許す範囲で相手の喜ぶ顔を想像しながら、何かプレゼントを贈ってみてはいかがでしょう。もらう側はもちろん、贈る側も幸せな気持ちになります。
素晴らしい人間関係を築きながら年齢を重ねることができたら、なんと心強いことでしょう。「お金は自分と周りを幸せにする道具」なんですね。
ところで、これら3つの資産の基盤は、全て家計管理にあることにお気づきでしょうか? 収支や資産・負債の有無などの現状を把握し、未来を明るいものにするには、家計をうまく管理し、上記のことにバランスよくお金や時間を配分する必要があるのです。

家計管理の習慣がハッピーな老後をつくる

未来を国や会社に依存するのではなく、自分自身で豊かで幸せな未来をつくり上げていく。そのために家計管理の能力が必要になってきます。

家計管理は毎日のことです。しかし、歯を磨くのと同じように習慣化させれば、歯磨きをしたときと同じように気持ちがよくなります。毎日のコツコツとした積み重ねが、人生をよりいっそう素晴らしいものへと変えてくれるのです。
お金が瞬時に貯まることはありませんが、幸せや豊かさを瞬時に感じることはできます。幸せと豊かさを感じ、それらに感謝する心と毎日の家計管理を習慣化させることで、未来は希望にあふれ、ハッピーな日々、老後を送ることができるでしょう。
医療・健康・介護のコラム

[看取り犬・文福](6)なぜ人の死を見守るのか 殺処分の恐怖体験が原動力?

 文福が暮らすユニットでは、この8年間で20名近くのご入居者様が亡くなっています。その大部分の方の逝去を文福は予測し、 ()() り活動を行っています。文福が本当に人の死を予測できるのか、科学的な検証はできませんが、逝去された方の大部分について文福が看取り活動をした、ということは事実です。
ベッドに乗り、看取り活動をする文福
ベッドに乗り、看取り活動をする文福

人の死を匂いで感じても不思議じゃない

 前にも書いた通り、拙著「看取り犬・文福の奇跡」の読者のお医者さんから、文福は匂いで人の死を感じ取っているのではないか、というお手紙を頂きました。そのお医者さんは、高齢者が何も食べられず、自然と弱っていき、亡くなる場合、ご自身も匂いで亡くなることを察知できることがあるとおっしゃっていました。人間でもできるのだから、嗅覚が優れた犬ならより可能であろうと。
 うちのスタッフたちも、そう考えています。実際にさくらの里山科にも、ご入居者様があと数日で亡くなるかなということを、匂いで察知できるスタッフは何人もいます。文福ほどピンポイントではありませんが。何も食べられなくなり、水も飲めなくなり、木が枯れていくように自然な形でお亡くなりになる場合は、確かに独特の匂いが感じられます。嗅覚が敏感な人なら、そして犬の優れた嗅覚なら、その匂いをより鮮明かつ具体的に感じ取ることができても不思議はありません。

米国には看取りをする猫 最近はがん探知犬も

 実はアメリカには、文福とよく似た行動をする猫がいました。ロードアイランド病院付属ナーシングホーム(老人ホーム)「ステアー・ハウス」で飼われていたオスカーという猫が、がん患者が亡くなることを予測して、その最期に寄り添っていたのです。こちらは、うちの文福みたいに、私たちが勝手に考えているようなレベルの話ではなく、医学誌で発表されるなど、科学的に検証されています。「オスカー 天国への旅立ちを知らせる猫」(デイヴィッド・ドーサ著、早川書房)という本も出版され、世界中でベストセラーになりました。
 最近は、犬が嗅覚でがんを察知することも注目されていますし、海外では人の低血糖を感知する犬が実際に医療現場で働いているそうです。そのような事例を考えると、文福の行動も決して不思議ではないのかもしれません。
 そこで私は一つの仮説を立ててみました。高齢者が何も食べられなくなって自然に亡くなるような場合には、すべての犬がその死を予測できるのではないかという仮説です。
 この仮説が正しい場合、文福と他の犬の違いは、入居者の死を予測できるか、できないかではありません。予測して看取り活動をするか、しないかの違いです。
 ではなぜ、文福は看取り活動をするのでしょうか。文福と一緒に暮らす他の犬は、ご入居者様の死を予測できたとしても、看取り活動はしていないのに、文福だけがしているのだとしたら、その理由は何なのでしょうか。



医療・健康・介護のコラム

[愛猫と暮らしたい](上)自宅でいつまで一緒に? 腰の悩みで募る不安

[愛猫と暮らしたい](上)自宅でいつまで一緒に? 腰の悩みで募る不安
後藤さんと愛猫の祐介君(さくらの里山科で)

60歳で「もう新しいペットを飼ってはいけない」と

 後藤さんは動物好きの一家に生まれたそうです。幼い頃、家には犬、猫、ウサギ、ヤギなどが常にいて、動物に囲まれて育ちました。それは大人になってからも変わらず、常に複数の犬や猫を飼っていました。しかし、60歳になり、長年飼っていたワンちゃん(ポメラニアン)が死んだ時、「もうペットを飼うのはあきらめよう」と思ったそうです。
 ペットを飼っている人の多くが、高齢になってくると「新しいペットを迎えるのは無理かな」と考えるようになります。自分が身動きできなくなったり、亡くなったりすると、ペットが残されてしまうからです。ペットが好きな人ほど、このことを強く意識します。後藤さんも同じでした。「60歳では、もう新しいペットを飼ってはいけない」と、自分に言い聞かせたそうです。

海に流されようとしていた子猫と運命の出会い

 しかし、その半年後、祐介君との運命の出会いをしてしまいます。海岸で、まだ目も開いていない子猫を海に流そうとしているおばあさんと出会ってしまったのです。
 飼っている猫や犬が子供を産んだら、まだ情が湧く前に海や川に流してしまうという習慣は、横須賀でも古いエリアにはまだ残っていました。ただし、祐介君は現在14歳ですから、これは14年前の話です。現在は、このような習慣はほぼなくなったと思いたいです。
 新しいペットを迎えるのをあきらめようと決意していた後藤さんですが、まさに目の前で失われようとしている命を見て、放っておくことはできませんでした。こうして祐介君は後藤さんに助けられたのです。
 祐介君は助けられた時、あまりにも幼く、獣医師さんは「育てるのは無理だろう」と言ったそうです。しかし、何十年も動物の世話を続けてきた後藤さんは、見事に祐介君の命を守りました。祐介君が来た当初は、夜中も2時間おきにスポイトでミルクを与えたそうです。

食事もベッドもいつも一緒

 こうして後藤さんと祐介君は最高のパートナーになりました。仕事を早期退職していた後藤さんは、いつも家にいます。その傍らには、ぴたりと祐介君が寄り添っていました。後藤さんが食事をとる時は、テーブルで向かい合ったイスの上に祐介君は座って、後藤さんを見守っています。後藤さんが洗濯物を干すために2階のベランダに行くのにも付いていきます。もちろん寝る時も一緒です。後藤さんのベッドで、一緒に布団に入っていました。

  後藤昌枝さん(仮名)と愛猫の祐介君は、うちのホームで2番目となる、愛猫との同伴入居でした。2人(1人と1匹)が、私が経営するペットと一緒に入れる特別養護老人ホーム、さくらの里山科に入居したのは、2013年秋のことです。だから、間もなく丸7年になります。この7年間、幸せに暮らしてきたと私たちは思っています。

嫁いびりが酷かった義母が他界 後を追って首をつろうとした54歳夫に、妻が放った言葉は…

 外来で、U治さんがボソッとつぶやいた。その言葉に、私は黙ってうなずいた。同席していた奥さんも沈痛な表情を見せた。U治さんは54歳の男性。「うつ病」の診断で、ずっとこの外来に通院している。

嫁いびりが酷かった義母が他界 後を追って首をつろうとした54歳夫に、妻が放った言葉は…

イラスト:奥山裕美

母のがんと職場トラブルが重なり「うつ」に

 亡くなったのは、彼のお母さん。82歳だった。U治さんが8歳のとき、父親が交通事故で亡くなり、その後は、母一人子一人で共にがんばってきた。毎日、つらいことばかりだったけれど、少し暮らしに余裕ができた時には、母子で旅行に出かけたり、ささやかな外食を楽しんだりして乗り切ってきた。

 そのお母さんが、子宮がんと診断されたのは5年前。大きな手術を乗り切って、抗がん剤治療などを続けてきた。しかし、徐々に衰弱がひどくなって、2週間前からは肺炎にかかり、先日、息を引き取ったのだ。

 この間、U治さんの嘆きは深かった。職場でのトラブルをきっかけに不眠になったのも5年前。母親のがん宣告と重なり、うつ病はそこから始まったのである。

 手術を受ける病院の手配や入院の準備と手続き、抗がん剤の副作用への配慮や看病……。自分のうつが少し落ち着いてくると、U治さんは母親の闘病のために全力を尽くした。奥さんも一緒になって、よくがんばってくれた。

 それだけに、お母さんが亡くなったときのショックは大きかった。「おまえを残しては死ねないよ」と言い続けてきた母の死を、彼が受け入れるには、しばらく時間がかかりそうに見えた。

 「今回はお薬を少し増やしましょう。寝る前の薬をきちんと飲んで、体をよく休めるようにしてください」

 と二人に告げて、私は、その日の診察を終えたのだった。

「朝方、首を吊っちゃいました!」と妻が

 「先生、やられちゃいました!」

 と、奥さんから電話で連絡が入った。お通夜と葬儀を終え、遺品の整理のために実家に戻り、しばらくたった頃のことだった。

 「朝方、首を吊っちゃいました!」

 四十九日でお母さんの 冥福めいふく を祈ったあと、U治さんは、生前、お母さんが過ごした部屋で首を吊った。母親が亡くなったのと同じ時刻、明け方のことだった。

 幸い、使ったひもが思ったより弱くて、そのまま床に転げ落ち、命に別条はなかった。大きな物音に驚いて駆けつけた奥さんが、腰をねじって動けないでいるU治さんを発見したのだ。そのまま救急病院に入院して、治療を受けることになった。


  自筆の遺言書、法務局に預ける新制度…相続トラブル防止へ
 
 手書きの遺言書を全国の法務局が保管する新制度が10日から始まる。遺言書の紛失や改ざんをなくし、相続にまつわるトラブルを防ぐ狙いがある。
 新制度では、「遺言書保管所」に指定された全国312か所の法務局や地方法務局に、1通3900円で自筆の遺言書を預けることができる。希望者は、住所地や本籍地、所有する不動産を管轄する法務局のいずれかで申請する。
 書式の不備で遺言書が無効にならないよう、署名や押印、作成年月日などの必要事項は、申請時に法務局の職員が確認する


医療ルネサンス

新型コロナと持病<4>感染者 血栓できやすく  

診察室で男性の話に耳を傾ける中村さん(三重県桑名市で)

新型コロナと持病<4>感染者 血栓できやすく

 新型コロナウイルスに感染した人は、血管の中に血の塊(血栓)ができやすくなることがわかってきた。中でも、脳や心臓の血管が詰まる脳 梗塞こうそく や心筋梗塞、脚の血管に血栓ができる深部静脈血栓症などを過去に発症した人は、より注意が必要だ。
 名古屋市の50歳代の男性は時折、夜中に息が苦しくなって目を覚ますことがある。新型ウイルスが流行し始めると、「自分も感染したのではないか」と不安になる。
 5年ほど前、不整脈が見つかった。胸に不快感を覚え、翌朝、脈拍を測ろうとすると、脈が飛んで測れない。近くの診療所で、不整脈の一つである心房細動と診断された。
 心房細動は、心臓を規則正しく動かす電気信号が乱れ、心臓がぶるぶると震える状態を言う。心臓の中で血流がよどみ、血栓ができやすくなる。血栓が血流に乗って脳の太い血管で詰まると、重い脳梗塞になり命にかかわる。
 男性は、陽だまりの丘なかむら内科(三重県桑名市)院長の中村真潮さんも受診した。心臓や血管の病気に詳しい中村さんは、発作が時折起きる「発作性心房細動」と診断。男性は通院しやすいように名古屋市の大学病院を紹介してもらった。今は血栓をできにくくする抗凝固薬を飲んでいる。
 男性は、仕事で人に会う機会が多く、「自分もいつか新型ウイルスに感染し、人にうつしてしまうかもしれない。そう考えると怖くなります」と話す。これまでは仕事中心の生活だったが、今はできる限り睡眠時間を長く確保するなど、体調管理に気を配っている。
 新型ウイルスに感染すると、なぜ血栓ができやすくなるのか。はっきりしたことはまだわかっていないが、中村さんは「脳梗塞や不整脈などを患った人は、もともと血栓ができやすい状態にあることを認識してほしい」と強調する。
 予防するには、血液をサラサラにする薬を飲み続けることが重要だ。脳梗塞や心筋梗塞など動脈に血栓ができた人は抗血小板薬、深部静脈血栓症のように静脈にできた場合などは抗凝固薬を主に服用する。
 脚の曲げ伸ばしなどの運動をして血液の流れを良くすることで、深部静脈血栓症の予防につながる。高血圧や糖尿病を患う人は、それらの治療も続ける。
 中村さんは「喫煙も血栓ができる要因になるので、たばこを吸っている人は、禁煙に取り組んでほしい。また、ストレスをためないようにし、休養を十分取ることも大切です」と話している。(利根川昌紀)
 (次は「若い人の聞こえ」です)

 小池知事再選 首都の活力維持に課題は多い 
2020/07/06 05:00 

 経済を萎い縮しゅくさせずに、感染の拡大を防ぐという難題が待ち受けている。地に足の着いた施策を遂行して、都政を率いる重責を引き続き果たしていくことが求められる。
 東京都知事選で、現職の小池百合子氏が再選を果たした。政党の推薦を受けず、無党派層の支持を幅広く集めることに成功した。自民、公明両党に加え、野党の支持層にも浸透したことが、圧勝につながったと言えよう。
 元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏は、立憲民主党や共産党の支援を受けたが、及ばなかった。れいわ新選組代表の山本太郎氏や、日本維新の会が推薦した前熊本県副知事の小野泰輔氏も、支持を広げられなかった。
 新型コロナウイルス対策として、各区市町村の選挙管理委員会は、投票所の換気や消毒を徹底した。投票日の混雑を回避するため、期日前投票所を増やした自治体もある。工夫を凝らし、投票の環境を整えた意義は大きい。
 小池氏が最優先で取り組むべきなのは、感染症対策の強化だ。都内の新規感染者数は増加に転じており、警戒を怠れない。検査能力の向上や、医療提供体制の充実を着実に進めることが大切だ。
 中小企業や事業者への支援もためらってはならない。
 先の感染拡大時、国と都は、休業を要請する事業者の範囲を巡って、もめた経緯がある。
 都は流行の実態を正確に把握できず、感染者数の修正を繰り返した。23区が設置主体である保健所と、十分に意思疎通を図れていなかったと言わざるを得ない。
 小池氏は教訓を生かし、政府や区市町村と協力して、適切に業務を遂行する必要がある。
 中長期の課題は山積している。コロナ禍にあっても、来年、東京五輪・パラリンピック大会の開催にこぎ着けられるかどうか。
 大会組織委員会や都は、開会式などを簡素化する方針だ。具体策の取りまとめは急務である。関係者で協議を重ねて、延期に伴う追加費用の負担のあり方を決めることも欠かせない。
 首都直下地震や大型台風などの災害対策は重要だ。木造住宅の密集地は、被害が甚大となろう。
 一極集中で1400万人に達した都の人口は、2025年を境に減少する。40年には、人口の3割近くを高齢者が占めるという。
 小池氏は、こうした局面を視野に入れつつ、首都の活力を維持し、暮らしやすい街づくりを進めていかなければならない。






熊本豪雨 被災者の救助と支援を急げ
2020/07/06 05:00 熊本、鹿児島の両県が記録的な大雨に見舞われた。政府や自治体は、被害の把握を急ぎ、被災者の救助と支援に全力を挙げねばならない。
 熊本県では、南部を流れる球磨川が氾濫し、人吉市や球磨村などで冠水や土砂崩れが相次いだ。特別養護老人ホームでも浸水被害が出ている。多数の人命が失われ、連絡の取れない人もいる。
 政府は自衛隊を派遣し、必要な物資をプッシュ型で提供するよう指示した。水や食料、衣類を求めている住民は多い。早急な救助と支援につなげてもらいたい。
 一時は電話やインターネットが不通になる障害も起きた。村役場や119番通報がつながりにくくなり、被災状況が確認できなかった。道路が寸断され、孤立している住民は少なくないだろう。
 政府や関係自治体が、しっかりと情報を集約し、被害の全容を把握することが重要である。
 避難所の環境整備も不可欠だ。新型コロナウイルスの脅威が続いており、住民は感染との「複合災害」に不安を抱いている。検温や手指の消毒、マスクの配布など、基本動作の徹底が大切だ。
 収容定員を絞り、世帯ごとに部屋を分けた避難所もある。避難中にコロナに感染することがないよう、工夫を凝らしたい。
 今回の豪雨の原因は、「線状降水帯」とみられている。梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込み、積乱雲が次々と生じて強い雨を降らせる。3年前の九州北部豪雨、2年前の西日本豪雨でも発生し、甚大な被害をもたらした。
 気象庁は4日午前5時前、熊本、鹿児島両県に大雨特別警報を発令した。球磨川の水が住宅に流れ込んだのも早朝だった。避難準備が間に合わなかった住民は、多かったのではなかろうか。
 球磨川は「日本三大急流」の一つとされ、たびたび氾濫を起こしてきた。浸水の深さは最大約9メートルに達した可能性がある。
 豪雨への備えは十分だったのか。自治体の避難情報は適切に提供されたのか。きちんと検証することが必要になる。
 活発な梅雨前線により、今後数日間は九州から東日本にかけて、激しい雨の恐れがあるという。
 河川の増水による急な浸水などは、屋外に逃げるより、上の階に逃げる垂直避難の方が有効な場合もある。それも足腰が弱い高齢者には難しいかもしれない。
 一人ひとりが災害情報に注意し、避難場所や避難方法を事前に考えておくことが欠かせない

7月6日 編集手帳



 かつて覇権を競った米ソの指導者、ケネディとフルシチョフは年齢が20歳以上も違った。その2人が登場する小話を立川談志さんがはなしのマクラに使ったことがある◆「ケネディだかフルシチョフだかが、体力で優劣を決めようてえんでマラソンをした。当然、若いからケネディが勝った。翌日のソ連機関紙がこう書いたそうだ。同志フルシチョフは健闘の末2位に食い込んだが、ケネディはビリから2番目であったと」◆勝利が当然視されたという点では東京都知事選も同じだろう。現職の小池百合子氏が再選を決めた◆コロナ対策が主な争点となった。有権者にすれば誰に命を預けるかの選択である。折しも東京では投票日に向け感染者が増え緊迫の度を強めた。陣頭指揮を執る姿が連日報道される現職に対し、新人は不利だったろう。五輪、市場移転、子育て対策…この危機のなか1期目の信任への論戦が十分できたかと問えば、それも心もとない◆小池さんにはビリから何番目か、という謙虚さで再選を受け止めていただきたい。4年前とは打って変わり、祝福や歓喜の声が響かない静かな開票日となった。

打球を頭部に受けたヤンキースの田中将大投手(ロイター)© スポーツ報知/報知新聞社 打球を頭部に受けたヤンキースの田中将大投手(ロイター)  前日、スタントンのライナー性の打球を頭部に受けたヤンキースの田中将大投手(31)が、一夜明けた5日(日本時間6日)、キャンプ地の本拠地ヤンキー・スタジアム入りした。
 オンライン会見に応じたブーン監督によると、前日ニューヨーク市内の病院で受けた診断は「中度の脳振とう」。この日は正午過ぎに球場に入ったという。指揮官は「食欲も睡眠も通常通りで、いい精神状態だったので、とても勇気づけられた。彼は間一髪、急所を逃れたと思う」とホッとした表情。開幕カードでの登板の可能性を問われ、「そうなるように願っている」と希望を持ちながら、一方で「脳振とう(しんとう)の後遺症は心配なので、あまり先を予測せず、日々、様子をみていきたい。長く掛からないことを願っている」と、当面は慎重に回復の経過を見守る意向だ。
 田中を球場内で見掛けたガードナー外野手は「普通に歩いていたので、状態が良いことを願っている」と語っていた。
 この日の練習では、左腕パクストンが、手前に防御ネットを立ててシート打撃に登板。「昨日起きた事は恐ろしかった。きょうはまだ最初のマウンドなので、快適に投げるためにネットを使った」と語った。
 ヤンキースは明日6日(同7日)から2日間、本拠地でナイター練習を予定している