2020/07/06 05:00
経済を萎い縮しゅくさせずに、感染の拡大を防ぐという難題が待ち受けている。地に足の着いた施策を遂行して、都政を率いる重責を引き続き果たしていくことが求められる。
東京都知事選で、現職の小池百合子氏が再選を果たした。政党の推薦を受けず、無党派層の支持を幅広く集めることに成功した。自民、公明両党に加え、野党の支持層にも浸透したことが、圧勝につながったと言えよう。
元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏は、立憲民主党や共産党の支援を受けたが、及ばなかった。れいわ新選組代表の山本太郎氏や、日本維新の会が推薦した前熊本県副知事の小野泰輔氏も、支持を広げられなかった。
新型コロナウイルス対策として、各区市町村の選挙管理委員会は、投票所の換気や消毒を徹底した。投票日の混雑を回避するため、期日前投票所を増やした自治体もある。工夫を凝らし、投票の環境を整えた意義は大きい。
小池氏が最優先で取り組むべきなのは、感染症対策の強化だ。都内の新規感染者数は増加に転じており、警戒を怠れない。検査能力の向上や、医療提供体制の充実を着実に進めることが大切だ。
中小企業や事業者への支援もためらってはならない。
先の感染拡大時、国と都は、休業を要請する事業者の範囲を巡って、もめた経緯がある。
都は流行の実態を正確に把握できず、感染者数の修正を繰り返した。23区が設置主体である保健所と、十分に意思疎通を図れていなかったと言わざるを得ない。
小池氏は教訓を生かし、政府や区市町村と協力して、適切に業務を遂行する必要がある。
中長期の課題は山積している。コロナ禍にあっても、来年、東京五輪・パラリンピック大会の開催にこぎ着けられるかどうか。
大会組織委員会や都は、開会式などを簡素化する方針だ。具体策の取りまとめは急務である。関係者で協議を重ねて、延期に伴う追加費用の負担のあり方を決めることも欠かせない。
首都直下地震や大型台風などの災害対策は重要だ。木造住宅の密集地は、被害が甚大となろう。
一極集中で1400万人に達した都の人口は、2025年を境に減少する。40年には、人口の3割近くを高齢者が占めるという。
小池氏は、こうした局面を視野に入れつつ、首都の活力を維持し、暮らしやすい街づくりを進めていかなければならない。
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