医療ルネサンス
新型コロナと持病<4>感染者 血栓できやすく
診察室で男性の話に耳を傾ける中村さん(三重県桑名市で)
新型コロナウイルスに感染した人は、血管の中に血の塊(血栓)ができやすくなることがわかってきた。中でも、脳や心臓の血管が詰まる脳 梗塞 や心筋梗塞、脚の血管に血栓ができる深部静脈血栓症などを過去に発症した人は、より注意が必要だ。
名古屋市の50歳代の男性は時折、夜中に息が苦しくなって目を覚ますことがある。新型ウイルスが流行し始めると、「自分も感染したのではないか」と不安になる。
5年ほど前、不整脈が見つかった。胸に不快感を覚え、翌朝、脈拍を測ろうとすると、脈が飛んで測れない。近くの診療所で、不整脈の一つである心房細動と診断された。
心房細動は、心臓を規則正しく動かす電気信号が乱れ、心臓がぶるぶると震える状態を言う。心臓の中で血流がよどみ、血栓ができやすくなる。血栓が血流に乗って脳の太い血管で詰まると、重い脳梗塞になり命にかかわる。
男性は、陽だまりの丘なかむら内科(三重県桑名市)院長の中村真潮さんも受診した。心臓や血管の病気に詳しい中村さんは、発作が時折起きる「発作性心房細動」と診断。男性は通院しやすいように名古屋市の大学病院を紹介してもらった。今は血栓をできにくくする抗凝固薬を飲んでいる。
男性は、仕事で人に会う機会が多く、「自分もいつか新型ウイルスに感染し、人にうつしてしまうかもしれない。そう考えると怖くなります」と話す。これまでは仕事中心の生活だったが、今はできる限り睡眠時間を長く確保するなど、体調管理に気を配っている。
新型ウイルスに感染すると、なぜ血栓ができやすくなるのか。はっきりしたことはまだわかっていないが、中村さんは「脳梗塞や不整脈などを患った人は、もともと血栓ができやすい状態にあることを認識してほしい」と強調する。
予防するには、血液をサラサラにする薬を飲み続けることが重要だ。脳梗塞や心筋梗塞など動脈に血栓ができた人は抗血小板薬、深部静脈血栓症のように静脈にできた場合などは抗凝固薬を主に服用する。
脚の曲げ伸ばしなどの運動をして血液の流れを良くすることで、深部静脈血栓症の予防につながる。高血圧や糖尿病を患う人は、それらの治療も続ける。
中村さんは「喫煙も血栓ができる要因になるので、たばこを吸っている人は、禁煙に取り組んでほしい。また、ストレスをためないようにし、休養を十分取ることも大切です」と話している。(利根川昌紀)
(次は「若い人の聞こえ」です)
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