2020年7月23日木曜日

高齢者は「自転車問題」にどう向き合うべきか© マネーポストWEB 提供 高齢者は「自転車問題」にどう向き合うべきか  高齢ドライバーによる事故の危険性は、自動車に限らず、自転車にも言えることだ。自動車の運転を控えたり、運転免許を返納したりした高齢者が、新たな移動手段の一つとして、自転車を選択する例も少なくない。だが、自転車に関しても、高齢ドライバーによる危険運転や意識の低さを指摘する声が上がっている。当の高齢者たちは何を思うのか。自身や他人の自転車の運転で危険な目に遭ったことがあるという60代以上の人たちの声を集めた。
 神奈川県在住のAさん(75歳女性)は、自動車の運転を控えていた7歳年上の夫が、電動アシスト付き自転車を買ってきた時のことを、こう話す。
「タイヤが小さい、コンパクトなものです。いわゆるママチャリ、普通の自転車よりも『楽』だと思ったようなんですが、それで出かけるのを見ていると、すごく危なっかしい。平衡感覚というのでしょうか、フラフラして見えるんです。曲がるときもノロノロだし、いつか車に当たるなど、事故を起こしてしまいそうで……。私の印象ですが、大きい自転車よりも、そもそも乗ったことのない小さい自転車のほうがかえって運転が難しいのかもしれません」(Aさん)
 そんなAさんの不安をよそに、夫は「まだまだ自転車くらい」と甘く見ていたようだが、本人も運転の難しさを自覚し始めたようだ。
「『乗るのをやめたほうがいい』と言うと、『電動自転車くらい乗れるわ!』とキレられました。自分にできないことが増えるのを、認めたくないのでしょうか。喧嘩するのも面倒なので、その時私はそれ以上何も言わなかったのですが、いつの間にか乗らなくなっていますね。自分でも乗りこなせないことがわかったのではないでしょうか。事故があってからじゃなくて良かった、と心から思います。あの電動自転車は、娘にあげようかと思っています」(Aさん)
 高齢者の走行マナーや危険運転について、「思うところが多い」というのは、東京都に住むBさん(63歳女性/パート勤務)だ。
「同世代より、若い人のマナーの方がいいと思いますよ。高齢者、とくに男性のマナーにはイライラすることが多いですから。この前なんて、歩いている私の後方から追い抜いて、肩をかすめていきました。それほどスピードはなかったからまだよかったものの……怖かったです」(Bさん)

ノロノロ運転が逆に危ない

特に高齢者の場合、ゆっくり走行する“ノロノロ運転”を前提としたマナーの悪さが厄介なのだという。
「お店や反対側の通りなど、あちこち見ながら自転車を乗っている人も多く、非常に危ない。先日も70代半ばくらいの男性がよそ見をしながら歩道を走っていました。みんな避けてくれるから、事故が起こらないだけ。横断歩道でも斜め横断してくるので、歩行者が気を遣っている感じです。子ども連れの母親とぶつかりかけている場面に出くわしたことがありますが、悪びれる様子もなく、むしろ男性側が舌打ちしていました。もう、自転車も免許制にしたほうがいいんじゃないでしょうか」(Bさん)
 一方で、自ら車の運転だけでなく、自転車の運転も控えるつもりだというのが東京都在住のCさん(72歳女性/無職)だ。「歳には勝てない」とショックを受けた出来事からだった。
「車の運転はすでにほとんどしていなかったので、やめるのは当然の成り行きでしたが、自転車をやめようと思うのは、自分でも意外でした。買い物や子育てで30、40代には日常的に乗ってきたものでしたから。頻度は少なくなっても50代、60代前半くらいまでは普通に乗っていました。
 でも、一時期腰を少し痛めてしまって乗らない時期が5年ほどあり、久しぶりに乗ってみたら、判断能力が鈍っていることに気づきました。強く急ブレーキをかけて、反動でお尻が上がり、前のめりに転びそうになることが何度もあったんです。それで、『ああ、もうこれはダメだな』って。
 足の筋力的にはまだ大丈夫だと思いましたが、乗った後、すごく頭が疲れている感じがありました。それで、こんなに緊張するくらいなら、自転車も控えようとかと思ったんです。どうせ時間はたっぷりありますし、買い物は少量ずつ歩いて行くか、息子に教えてもらったネットスーパーも活用していこうと思っています」(Cさん)
 自動車と違って、免許がなくとも誰でも手軽に乗れる自転車だが、だからこそ逆に“引退”の判断が難しい面もあるだろう。超高齢化時代、高齢である当事者たちも悩んでいる。

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