医療・健康・介護のコラム
一日中PC作業の女性 顔の片側に痛み…「顎関節症」就寝中、無意識の「噛みしめ」か?
20歳代後半のDさんは、「右耳の下が1か月前から痛い」と来院された。ちょうどその頃、のどの右側に痛みがあり、耳鼻科で咽頭炎と診断され、治療を受けた。のどの痛みは良くなり、耳鼻科医には「もう治った」と言われたが、その後も右耳の下の痛みは続き、原因がわからず、心配になってきたという。
のどを見せてもらおうとすると、口が大きく開かない。「以前はもっと大きく口を開けられたのに、最近開けにくくて……。耳のところが痛いのと関係しているのでしょうか? 親には、おたふくかぜではないかと心配され、今日は診てもらいに来ました」
押すと筋肉痛のような痛み
のどの炎症はすでに治っており、耳下腺(いわゆる“おたふく”で腫れる唾液腺のこと)も腫れていなかった。熱もないし、嗅覚・味覚の異常や食べるときの激しい痛みもなかった。ただ、耳の前の 顎 関節のあたりを触ると痛みがある。押すと筋肉痛のような痛みが頭に響くという。少しマッサージするように触ってみると、むしろ心地良さそうだった。
「顎関節症」が疑われた。顎関節症という病気について説明すると、Dさんは以前、歯科治療の際に 噛 みしめが強いことを指摘され、「 顎 の痛みがないか」と聞かれたことを思い出した。かかりつけの歯科で診てもらうよう話したところ、「内科の病気ではなくて安心した」と言って帰宅された。
肩はガッチガチに凝って
50歳代のNさんは、左の顔半分に痛みがあるとして来院された。痛みは、1か月ほど続いているという。今年の初めに受けた健康診断では、生活習慣病に関わる異常は指摘されておらず、運動機能の問題や皮膚の変化も見られなかった。脳や血管系の病気、帯状 疱疹 などの可能性はないと考えられた。症状と経過から、片頭痛や感染症とも違うようだった。
彼女の痛みについて、「筋肉や関節に原因があるのではないか」と伝え、肩と肩甲骨のまわりを触らせてもらうと、ガッチガチに凝っていた。仕事では、ほぼ一日中パソコン業務をしているとのこと。筋肉の凝りは痛みと関連する。
さらに口を開けてもらうと、あまり大きく開かない。左顔面痛の原因として、顎関節症の疑いがあることを告げると、専門医の受診を希望されたので、 口腔 外科顎関節症外来への紹介状をお渡しした。
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