2020年9月18日金曜日

 

コロナ禍の社会では「三密」を避ける行動が求められています。

「新しい生活様式」が尊重される中で、さまざまな葬儀社が「ステイホーム葬」を打ち出しています。

ステイホーム葬とは一体どのような葬儀スタイルなのでしょうか。

その実態と費用についてお伝えしてまいります。

© マネーの達人 提供 ウィズコロナ時代の「ステイホーム葬」

ステイホーム葬は、コロナ対策の自宅葬

ステイホーム葬とは、自宅で行う葬儀のことです。

自宅葬そのものはコロナウイルスが発生する以前から注目されていました。

家族葬が主流になり、外部からの参列者がいないお葬式では、わざわざ会館を借りなくても葬儀ができるからです。

自宅であれば会館使用料も不要なうえに祭壇も簡素なもので済ませられるので、費用負担を軽減できます

さらに、住み慣れた自宅での葬儀ですから、ゆっくりと故人を送り出せることでしょう。

病床ではなく畳の上で亡くなりたいと願う人が多いこともあり、自宅葬では一定の満足が得られるようです。

実際に自宅葬に特化した葬儀社も立ち上がるほどで、自宅葬は小規模葬儀の選択肢のうちの1つとして徐々に広がりを見せています。

ステイホーム葬の実態

自宅での葬儀は良いことばかりのようですが、実際にはいくつかのリスクもあります。

まずは「自宅にご遺体を運び入れられるか」が問題です。

祭壇と棺を運び入れて僧侶に読経してもらうとなると、6畳の和室が一部屋は必要です。

また、「玄関から仏間まで棺を通せるか」導線の確保も求められます。

自宅の中だけではなく、隣近所への配慮も考えなければなりません。

寝台車や霊柩車、さらには葬儀社による備品の搬入や搬出、家族や親族の車など、どれだけ小規模の葬儀とはいっても自宅への出入りは頻繁になります。

また、家族葬が多い昨今、隣近所に知られたくないと思う人もいます。

しかし、自宅で葬儀をすることで、僧侶の読経の声やお線香の匂いが外に漏れることも考えられます。

場合によっては、多少費用がかかるとしても会館を利用した方が精神的な負担や物理的な手間が軽減されるのです。

ステイホーム葬儀の費用相場

ステイホーム葬の費用相場は20万円から40万円です。

葬儀の細かい内容は喪主が自由に選べます。

ご遺体を安置して火葬だけをするので安く済みますし、自宅の中に祭壇を飾って僧侶を招いて通夜と葬儀を執りおこなうのであれば、それなりの費用がかかります。

「ステイホーム葬」を謳う葬儀社アーバンフューネスの場合、

・ 儀式を行わない「シンプルプラン」:21.6万円(税別)

・ お通夜や葬儀・告別式を行う「スタンダードプラン」:44.4万円

としています。

ステイホーム葬© マネーの達人 提供 ステイホーム葬 ≪画像元:アーバンフューネス[https://www.urban-funes.com/plan/jitakuso/]≫

参列辞退や事後報告を受けた時の対応

参列辞退や事後報告を受けた時にはどのようにすればよいのでしょうか。

基本的には遺族の意向を尊重するべきですし、コロナ禍においては自宅で行う葬儀に押しかけるのはマナー違反に当たることでしょう。

自宅まで足を運んで故人に手を合わせ、遺族にお悔やみを直接伝えるのが最も理想ではありますが、ステイホーム葬を選んでいるということはそれだけ遺族がコロナウイルスに過敏になっているということを意味します。

参列できないにしても弔意は別の形で示せます。

よく選ばれる方法としては、お香典を送るというものです。

お香典の郵送は扱いに十分に気をつけましょう。普通郵便では現金は送れないので、現金書留にして送ります。

手紙を添えるとなおのこと丁寧です。また、進物線香などのお供え物などをお贈りしてもよいことでしょう。

三密のリスクを避ける総合的な判断が大切

自宅で葬儀を行うことで、外部の参列者を断って費用を抑えられますが、限られた空間の中で家族や親戚が集まれば結局は三密のリスクにさらされます。

広さを確保できる葬儀会館のほうがソーシャルディスタンスをとりやすいという面もあるのです。

自宅か、会館か、「ステイホーム葬」ということばに踊らされることなく総合的な判断が大切です。(執筆者:葬儀業界15年、1級葬祭ディレクター 五十嵐 信博)

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