2020年9月5日土曜日

コンビニ報告書 「24時間」無理強いへの警鐘だ


 コンビニエンスストア加盟店の厳しい経営実態が明らかになった。コンビニ各社は、店との関係改善を進め、時代の変化に即した運営体制を構築してもらいたい。公正取引委員会がセブン―イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンなど8社を対象に、本部と加盟店の取引に関する調査を行い、報告書をまとめた。
 公取委はその中で、本部が24時間営業や仕入れなどを店に強制した場合、独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」にあたる可能性があるとの見解を示した。
 本部の不当な行為を警告する狙いは、妥当である。
 調査に回答したのは、全国約5万8000店のうち約1万2000店だ。24時間営業の見直しを望む店は、3分の2を占めた。時短営業の希望を伝えた店のうち3割以上が「本部が交渉を保留・拒絶した」と答えている。
 人手が足りないため、オーナーは月平均約1・8日しか休日がない。勤務状況について「非常につらい」「どちらかといえばつらい」とする人が6割以上に上った。
 さらに、回答した店の半数近くが、必要以上の数量の仕入れを本部に強要されたという。
 公取委は8社に対し、問題事例を点検し、11月末までに報告するよう求めた。各社は重く受け止め、是正に努めねばならない。
 コンビニのフランチャイズチェーン(FC)は、本部が加盟店に商標を与えて商品開発や在庫管理などを担い、ブランド使用料を受け取る仕組みだ。
 店のオーナーは、店舗運営の経験がなくても簡単に開業できる。反面、ノウハウの大半を依存する本部に強い権限を握られるといった力関係になりやすい。
 コンビニは高い利益を上げて急成長してきたが、国内の店舗は飽和状態で、過当競争になりつつある。人件費も上昇している。
 そのしわ寄せが、店ばかりに及んでいるとの指摘がある。各社の本部は加盟店を支援し、信頼関係を取り戻していくべきだ。
 コンビニは多くの必需品を扱うほか、現金自動預け払い機(ATM)を置くなど生活に欠かせないインフラとなった。
 一方、商品を切らさないための仕入れが多量の食品ロスを生んでいる。人手不足の中の24時間営業も含め、過剰なサービス競争は限界に近づいているといえよう。
 社会構造が変わっても持続可能なFC経営のあり方について、再検討する時期ではないか。

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