2020年7月3日金曜日

新型コロナと持病<3>過度に恐れず感染対策



全国腎臓病協議会の事務所でパソコンに向かう小平さん(東京都文京区で)
全国腎臓病協議会の事務所でパソコンに向かう小平さん(東京都文京区で)
 腎臓病の人が新型コロナウイルスに感染すると、重症化する可能性がある。だが、健康な人と同じように予防策を講じれば、感染のリスクは減らせる。
全国腎臓病協議会理事の小平敬明さん(61)は30年近く人工透析を続けている。10歳代で腎臓の機能が悪いと言われた。それが原因で歩くとすぐに体がだるくなった。尿を作る働きをする腎臓の糸球体が炎症を起こす慢性糸球体腎炎の疑いがあると診断された。今は同会で働きながら週3日、透析施設に通っている。
 仕事などの合間を縫って映画館に出かけたり、ライブハウスでフォークソングを聴いたりするのが楽しみだ。「自分が行くライブハウスの会場は20~30人も入ればいっぱいになります。手が届くような距離で奏でられる音に耳を傾けることは、とても幸せ」と言う。
 新型ウイルスに対しては「漠然とした怖さ」を感じている。こまめに手を洗い、外出時は密閉・密集・密接の「3密」を避けることを心がけている。
 5月25日に緊急事態宣言が全面解除され、社会経済活動は平時に戻りつつある。「そろそろ映画館には行きたいな」と小平さん。ただ、ライブについては「会場からインターネットで配信される演奏をパソコンで見て楽しんでいます」。「新しい生活様式」を早速取り入れている。
 腎臓病が悪化し、人工透析をしていたり免疫抑制剤を使っていたりする人は、免疫力が低下している。このため、こうした人が感染症にかかると、重症化しやすいとされている。
 しかし、東京大学病院腎臓・内分泌内科教授の南学正臣さんは、「感染対策をしっかりしていれば、必要以上に恐れることはありません」と話す。
 腎臓病の人は、高血圧や糖尿病なども患っていることが多い。自宅に籠もりきりの生活が続くと、運動不足になって肥満を招く要因となる。新型ウイルスに感染するのを恐れて医療機関の受診を控えると、治療が中断してしまう。血圧や血糖値の管理が難しくなり、結果的に腎臓病を進行させることにもなる。
 これからの季節は、脱水にならないように水分補給をすることも大切だ。これを怠ると腎臓への血流が減り、腎臓病を悪化させてしまう恐れがあるからだ。
 また、気温が上がると低血圧を起こしやすくなり、血流低下の一因となる。南学さんは「血圧の薬を冬や春などと同じように飲み続けていると、夏は血圧が下がりすぎてしまうことがあります。かかりつけ医の指示に従い、薬の量や種類を調節する必要があります」と話している

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