11月22日 編集手帳
栃木県の日光東照宮は古来、〈日光を見ないうちは結構と言うな〉とたたえられてきた。語呂のよさからか、この成句、明治の訪日外国人にもウケたようである◆英国の女性旅行家、イザベラ・バードは1878年(明治11年)、日光に滞在し、自分には〈「
11月21日 編集手帳
正岡子規らを生んだ松山市は俳句の都と名乗り、五七五文学の振興に力を注ぐ。投稿サイトまで運営しており、時々のぞかせてもらっている◆以前そこに見かけ、今年何度となく思い出した一句がある。<一斉に野球部虹へ飛び出せり>(あつちやん)。雨があがり、空に虹がかかり、待ちかねていたようにグラウンドに駆け出す野球少年の姿が浮かんでくる◆歳時記の七十二候のうち、虹に触れる候は二つある。<虹始見・にじはじめてあらわる>(4月15日頃)と、<虹蔵不見・にじかくれてみえず>(11月22日頃)である◆暦の上では、この3連休の間に虹の季節が終わりを告げる。来年はどうなっているだろう? 野球部員が一斉にグラウンドに駆け出すとき、人との距離を気にせず、大声を掛け合う景色が戻っていることを夢のように思い描いてしまう◆松山市のサイトでは、冬を前に「嚔(くしゃみ)」を季題として投稿を募った。その中から、ふしぎと元気をもらえる句を一つ。<嚔して満天の星散りにけり>(田中一升)。何におびえることなく、痛快にハクションのできる生活にいずれは帰りたい。
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