東京五輪の準備 感染の防止策に万全を期せ
平和の祭典を実現するため、社会に広がる感染症への懸念を
IOCと日本が協力し、新型コロナウイルスを克服して大会を開くという意思を示した形だ。
日本では、新型コロナの1日あたりの新規感染者数が過去最多を更新し、再拡大している。
五輪の際に海外から入国する選手団は、1万数千人に上ると想定されている。アスリートが不安を抱かないよう、まずは国内の感染対策を徹底することが大切だ。
日米中露による体操の国際大会が先日、東京都内で開かれた。選手には、毎日のPCR検査と外出禁止を求めたという。
様々な国際試合で試行錯誤を重ね、感染リスクの低減に取り組む意義は大きい。五輪の本番では、入国後の定期的な検査や、競技会場などへの医療従事者の配置を着実に行う必要がある。
首相とバッハ氏は、五輪で観客を受け入れる方針で一致した。
政府は、大規模イベントの入場者数を定員の50%に制限している。プロ野球では、横浜スタジアムと東京ドームで、この基準を超す観客を入れる試みが行われた。ITを駆使し、人の流れや
感染状況を見極めつつ、客観的なデータを活用して適切な収容規模を検討することが重要だ。
政府や大会組織委員会は、海外からも観客を受け入れる方向で協議している。通常求める14日間の待機措置を免除する案がある。来春に最終判断するという。
入国制限を緩和する場合は、水際での検査体制を強化することが不可欠である。政府がITを活用し、入国者の健康や行動を把握する仕組みを整えてはどうか。
組織委は、海外向けに100万枚のチケットを販売済みだ。万一、入国者から感染が広がれば、医療体制が圧迫される恐れもある。政府や組織委は、安全な開催を目指して、国民の理解を得ながら議論を深めてもらいたい。
五輪の簡素化や、延期に伴う追加費用の削減も進めるべきだ。
組織委は、大会経費の2%にあたる300億円を削減する案を示している。選手村など仮設施設を見直すほか、組織委の態勢を縮小する予定だ。コストを圧縮する努力を続けてほしい。
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