2020/06/24読売新聞
編集手帳
パンダのそれは色や匂いで、人間のそれとは比べものにならないらしい。動物行動学の新宅広二さんが書いている。腸を経てもエサの笹そのままの緑で、おろしたての畳のような匂いがすると(『しくじり動物大集合』永岡書店)◇パンダ舎から新品の畳が香ったかもしれない。休園していた上野動物園が4ヶ月ぶりに再開し、人気者のシャンシャンが愛らしい姿を見せた。◇きのうの東京はひととき晴れ間が広がり、太陽がぎらついた。たぶんシャンシャンは心配ないだろうと思うのは、パンダの目の周りを黒い毛が囲んでいることにある。◇一説に、雪に反射する光を吸収してまぶしさを抑えるためだという。いわばサングラスである。時節柄、それをかけて海や山に出かける人を想像してしまう。マスクを合わせたら、どんな雰囲気だろう?異様なファッションになるのも仕方が無い。コロナとの闘いが白黒つくまでは◇動物園に限らず、人が喜びを求めて集う施設の再開はかっての日常が戻るようで励みになる。野球もサッカーも近く集客を再開する。色、匂い・・何もかもなま身で感じられる世界を待ち焦がれる。
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