2020年7月2日木曜日

医療ルネサンス

新型コロナと持病<2>感染不安から血圧上昇

新型コロナと持病<2>感染不安から血圧上昇
 
 3月、川崎市の女性(70)はいつものようにスーパーに出かけた。会計を済ませ、買った商品を袋に詰めていた。すると、背後でせき込みながら立ち去っていく人がいた。
 その時は何とも思わなかった。だが、後になって急に不安になった。「新型コロナウイルスに感染している人だったらどうしよう」
 気になり出したら血圧が上がった。もともと高血圧で薬を2種類飲んでいた。普段は120程度で安定していたが、150程度になった。
 散歩に出かけるのが日課だったが、外出は極力控えるようにした。スーパーにも怖くて行けない。血圧はなかなか下がらず、一時は治療薬を1種類増やしてもらった。
 「万が一、うつっても、うつしてしまっても困ると思いました」
 2~3週間たつと、気持ちが落ち着いてきた。少しずつ散歩も再開し、スーパーにも行けるようになった。血圧は元の数値に戻り、薬も1種類に減らした。「今は毎日、人混みを避けながら買い物などに出かけています」と女性は話す。
 「ストレスは血圧の変化に影響を及ぼします。『新型ウイルスにかかったらどうしよう』という不安から、数値が高くなった患者は少なくありません」。内科クリニックこばやし(相模原市)院長の小林一雄さんは、こう話す。
 小林さんらは、相模原市内の医療機関で高血圧患者らを対象に、4月7日に緊急事態宣言が出てからの健康状態についてアンケートをしている。新型ウイルスに対して感じている怖さの程度や、ストレスの有無、血圧の変化などを調べた。
 6月14日の時点で約600人分を分析。新型ウイルスを怖がる程度と血圧の変化を調べると、「ある程度怖い」「大変怖い」などと回答した人は、いずれも数値が少し上がっていた。
 また、外出を控えた人が多かったからか、運動量については「少し動かなくなった」「大変動かなくなった」が4割を占めた。小林さんは「運動は気持ちをリフレッシュさせ、血圧を下げる効果が期待できます。ラジオ体操など、無理しない程度に体を動かしてほしい」と呼びかける。
 朝起きたら毎日血圧を測り、変化がないかどうかをチェックする。小林さんは「少し高くなっていたとしても一喜一憂する必要はありません。1~2週間の平均で、健康な人で上が135、下が85を超えるようなら、かかりつけ医に相談しましょう」と話している。

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