2020年8月12日水曜日

 

米大統領選で民主党候補指名を確実にしているジョー・バイデン前副大統領が副大統領候補に指名したカマラ・ハリス上院議員(2019年11月21日撮影)。© SAUL LOEB / AFP 米大統領選で民主党候補指名を確実にしているジョー・バイデン前副大統領が副大統領候補に指名したカマラ・ハリス上院議員(2019年11月21日撮影)。

【AFP=時事】11月の米大統領選挙で民主党候補指名を確実にしているジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領(77)が、選挙戦を共に闘うパートナーである副大統領候補に選んだのは、黒人女性のカマラ・ハリス(Kamala Harris)上院議員(55、カリフォルニア州選出)だった。

米大統領選で民主党候補指名を確実にしているジョー・バイデン前副大統領(左)と、バイデン氏が副大統領候補に指名したカマラ・ハリス上院議員(右)のコンボ写真(2020年8月11日作成)。© Olivier DOULIERY and Brendan Smialowski / AFP 米大統領選で民主党候補指名を確実にしているジョー・バイデン前副大統領(左)と、バイデン氏が副大統領候補に指名したカマラ・ハリス上院議員(右)のコンボ写真(2020年8月11日作成)。

 ハリス氏はこれまでの人生を通じて常に「先駆者」であり続けてきた。「子どものころ、母親から『あなたは色々なことを最初に成し遂げる人になるかもしれない。でも、あなただけでそれが終わりにならないようにしなさい』と言われた」とハリス氏は懐かしそうに振り返る。

 カリフォルニア州で黒人としても女性としても初の州司法長官を務め、南アジア系のルーツを持つ女性として初の米上院議員となった。そして、ハリス氏は今、米史上初の女性副大統領を目指している。

 現在77歳のバイデン氏は、大統領に選ばれても1期のみしか務めないものと予想されている。すると4年後の2024年米大統領選では、ハリス氏が民主党の指名争いを勝ち抜く可能性も出てくる。そうなれば、ハリス氏はさらに大きな歴史を作ること、すなわち米国初の女性大統領の座を狙うだろう。

ハリス氏は今年、民主党指名争いから撤退し、バイデン氏支持を表明して以降、現職ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の政策への批判をいっそう強めている。

 最近のツイッター(Twitter)投稿でハリス氏は、「トランプ氏は人種差別発言を繰り返して、新型コロナウイルス対応における失敗の責任を自分以外の誰かに転嫁しようとしている」と批判。「それは危険であり、誤っている。そしてアジア系米国人やアジア系移民の実生活に重大な影響を及ぼす」と糾弾した。

米ミシガン州デトロイトで、米大統領選の民主党候補指名争いの候補者討論会の開始前にあいさつするジョー・バイデン前副大統領(左)とカマラ・ハリス上院議員(右、2019年7月31日撮影)。© Jim WATSON / AFP 米ミシガン州デトロイトで、米大統領選の民主党候補指名争いの候補者討論会の開始前にあいさつするジョー・バイデン前副大統領(左)とカマラ・ハリス上院議員(右、2019年7月31日撮影)。

 ハリス氏の両親も移民だ。父親のドナルド・ハリス(Donald Harris)氏は経済学者で、ジャマイカからの移民だった。母親のシャマラ・ゴパラン(Shyamala Gopalan)氏は乳がんの研究者で、インドからの移民だった。

■州司法長官同士 バイデン氏の亡き息子と良好な関係

 カマラ・ハリス氏は1964年10月20日、カリフォルニア州オークランド(Oakland)で生まれた。5歳のとき両親が離婚し、ハリス氏は妹と共に母親に育てられた。

 ハリス氏は三権分立の司法府、行政府、立法府のすべてにおける経験の持ち主だ。

 教育は黒人が通う大学として伝統のある首都ワシントンのハワード大学(Howard University)から、カリフォルニア大学ヘイスティングス法科大学院(University of California Hastings College of the Law)に進学。卒業後は検察官となり、サンフランシスコ地方検事を経て、2010年にカリフォルニア州司法長官に任命された。

 州地方長官時代はバイデン氏の息子で、デラウェア州で同じ役職にあった故ボー・バイデン(Beau Biden)氏と職務上、良好な関係を築いたが、ボー・バイデン氏は2015年にがんで死去した。

 2016年に黒人女性として米史上2人目の上院議員となったハリス氏は、検察官として磨いた鋭い質問スキルを駆使し、その舌鋒は特に、トランプ大統領が連邦最高裁判事に指名したブレット・カバノー(Brett Kavanaugh)氏の性的暴行疑惑をめぐる上院審議で遺憾なく発揮された。

■「その少女は私」

 ハリス氏は民主党の大統領候補指名争いに名乗りを上げ、昨年1月、マーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King Jr)牧師の誕生日に選挙運動を開始した。民主党候補の第1回討論会では、バイデン氏が1970年代に人種別学校の撤廃・統合を目指したバス通学プログラムに反対したことを取り上げてバイデン氏を攻撃した。

 その際にハリス氏は、「その頃カリフォルニアには、公立学校に統合されることになった二つ目の学年に小さな少女がいて、彼女は毎日、バスで学校に通っていた」「その小さな少女は私だ」と語った。

 その後、昨年12月に民主党指名争いから撤退したハリス氏は今年3月、バイデン氏支持を表明した。バイデン氏は候補者討論会でハリス氏と激突したにもかかわらず、わだかまりはないと明言し、ハリス氏を「第1級の知性の持ち主であり、第1級の候補であり、真のライバルだった」と称賛した。

 トランプ氏の弾劾裁判の採決で有罪票を投じたハリス氏は、トランプ氏を倒すためにはバラク・オバマ(Barack Obama)政権を実現したアフリカ系、ヒスパニック系、女性、無党派層、ミレニアル世代による「オバマ連合」の再構築が必要だと訴えている。

0 件のコメント:

コメントを投稿