[住]在宅勤務にミニ書斎…リビングの一角/押し入れ改造
新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が浸透し、自宅にワークスペースを設ける人が増えている。物干しスペースの奥やリビングの一角、押し入れなどを有効活用して「ミニ書斎」を作るのが人気だ。
新潟県燕市の会社員、川上洋昭さん(44)は、今年3月に自宅を新築した際、2階の屋内にある物干しスペースの奥に、3畳ほどのミニ書斎を設けた。カウンターデスクと棚を取り付けたシンプルな造り。デスク正面の小窓の下はキッチンで、食事の時間には妻が声をかけてくれる。在宅勤務が続き、平日の日中の仕事場所はほとんどこのミニ書斎だ。「会社の自席のスペースと同じくらいの広さがあるので、これで十分です」設計を手がけた新潟市の1級建築士、加藤淳さんによると、個室の書斎を作るよりもコストがかからないため、室内の一角に書斎を作る人が増えているという。「坪単価が高かったり、賃貸が多かったりする都市部でも取り入れやすいと思います」と加藤さん。
三井ホームが6月、週1回以上在宅勤務をしている共働きの男女に「コロナ禍を経て、これから家を建てる場合、以前より重視する条件」を複数回答で尋ねたところ、「家族それぞれの部屋がある」(62%)の次に「ワークスペースがある」(53%)が多かった。
分譲時からワークスペースを備えた新築住宅も登場した。不動産会社「ハウセット」(東京)は5月、ワークスペースがある戸建て住宅を都内で売り出した。リビングの一部が、椅子に座った時の目の高さほどの壁で区切られ、内側にカウンターデスクが設けられている。発売から約1か月半で全13棟が完売した。
賃貸物件でも、ワークスペースを設けたものが人気だ。大東建託(同)が7月から取り扱う「テレワーク対応型賃貸住宅」は、サンルームの奥や窓に面したスペースにカウンターデスクがあり、日当たりの良い仕事場になる。担当者は「賃貸物件なので、書斎として一部屋を作るより、空きスペースを有効活用したい」と話す。
長崎県五島市の広告企画業、白石洋一さん(43)は今春、在宅勤務を機に、自宅の押し入れを改造。ふすまを取り外し、中板の上に天板を置いて机代わりにした。奥には穴の開いた有孔ボードを取り付け、イヤホンなどの小物をフックでつるす。蛍光灯も取り付け、ビデオ会議の際に顔が明るく映るようにした。
白石さんは「当初は食卓で仕事をしていたが、食事のたびに片付けが必要で集中できなかった。押し入れデスクは使い勝手も良く、気に入っています」と満足そうだ。
インテリアコーディネーターの金城貞美さんは、「押し入れの中に電子機器を置くと熱がこもりやすいので、扉は付けず開放した方がいい。目隠ししたければ、ロールスクリーンがおすすめです」と話す。「押し入れの内側に壁紙を貼ったり、資料を整理するカラーボックスを置いたりすると、殺風景な感じがなくなり、いい作業環境になります」とアドバイスしている。
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