自転車を共同で使うシェアサイクルの利用者は、都市部で急速に増えている。全国に1万2000台を配置する「ドコモ・バイクシェア」の4~7月の新規登録者数は、緊急事態宣言前の3月に比べて2~6割増加した。
通勤や買い物の際、人が密集する電車やバスを避けたいという心理からだろう。外出自粛で家にこもりがちになるため、体を動かしたい人もいたのではないか。
シェアサイクルを使える地域は広がっている。オフィス街では、出勤に使われた自転車が専用駐輪場からあふれ、歩行を妨げるケースもある。事業者は利用拡大に対応できる設備を整えてほしい。
懸念されるのは、自転車の利用増に伴い、危険な運転が目につくようになったことだ。
警視庁によると、東京都内で3~7月、自転車の交通違反で摘発した件数は前年同期の1・5倍にあたる1300件超に上った。信号無視が多かったという。
コロナ禍で食事の宅配需要が高まり、配達員が自転車で街中を走る光景も珍しくなくなった。
宅配の自転車には、「スマートフォンを見ながら運転している」「歩行者にぶつかりそう」などの苦情が相次ぐ。配達中に高速道路に進入するトラブルや、歩行者とぶつかる事故も起きている。
スマホのアプリで、速すぎる移動を検知した場合は、運転者に警告を発する取り組みを始めた宅配事業者もある。交通安全講習の実施など、事故防止に向けた対策を強化しなければならない。
自転車事故は近年、全体としては減少傾向だが、対歩行者の事故はあまり減っていない。速度が出るスポーツタイプや車体が重い電動アシスト自転車が普及し、重大事故の危険性も高まっている。
自転車は道路交通法で軽車両に位置づけられ、守るべき交通ルールがある。決まりを無視した乱暴な運転は、重大な事故を引き起こしかねない危険な行為であることを、運転者は自覚すべきだ。
自転車を安全に運転できる道路環境の整備も大切になる。
国や東京都は、新たに都内の幹線道路約100キロ区間に自転車専用レーンを整備する方針だ。
自転車レーンに車を違法駐車し、通行を妨げているケースもある。警察には路上駐車の取り締まりも強化してもらいたい。
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