10月23日 編集手帳
義語はリアリストである。おそらく後者の方の作品だろう。先ごろ本紙時事川柳(大阪版)に次の一句を見かけた。<松茸 などあるはずがないキノコ狩り>(鷹羽正晴)◆と聞いてもなんのその、お目当ての秋の恵みを探して山に足を踏み入れる方はおいでだろう。キノコ狩りの季節が来た。紅葉も各地で見頃になった。ただ今年の山歩きは色々と注意が必要なのだという◆まずは各地で深刻化するナラ枯れがある。米粒大の甲虫「カシノナガキクイムシ」が幹に病原菌を持ち込むことで葉が変色し、枯死する。倒木による登山客のけがを警戒する自治体は多い◆さらに専門家によれば、ナラ枯れの発生地域には炎に似た猛毒の「カエンタケ」の発見例が目立つというから、気をつけたい。過去には食用の「ベニナギナタタケ」と間違えて食べた人が亡くなった例もある。キノコ狩りの本場の信州出身だからか、小林一茶は食べられないキノコに関心を抱いていたらしく、いくつも句を残している。一つがこれ。<うつくしやあらうつくしや毒きのこ>◆ロマン派の方ほどご用心を。化かされぬよう。
義語はリアリストである。おそらく後者の方の作品だろう。先ごろ本紙時事川柳(大阪版)に次の一句を見かけた。<松茸 などあるはずがないキノコ狩り>(鷹羽正晴)◆と聞いてもなんのその、お目当ての秋の恵みを探して山に足を踏み入れる方はおいでだろう。キノコ狩りの季節が来た。紅葉も各地で見頃になった。ただ今年の山歩きは色々と注意が必要なのだという◆まずは各地で深刻化するナラ枯れがある。米粒大の甲虫「カシノナガキクイムシ」が幹に病原菌を持ち込むことで葉が変色し、枯死する。倒木による登山客のけがを警戒する自治体は多い◆さらに専門家によれば、ナラ枯れの発生地域には炎に似た猛毒の「カエンタケ」の発見例が目立つというから、気をつけたい。過去には食用の「ベニナギナタタケ」と間違えて食べた人が亡くなった例もある。キノコ狩りの本場の信州出身だからか、小林一茶は食べられないキノコに関心を抱いていたらしく、いくつも句を残している。一つがこれ。<うつくしやあらうつくしや毒きのこ>◆ロマン派の方ほどご用心を。化かされぬよう。
10月22日 よみうり寸評
古びた愛車を自ら運転し、公務に向かう。給料も大半を寄付していたという。ウルグアイの政治家、ホセ・ムヒカさんの大統領時代に伝えられた暮らしぶりである◆政界引退の報を聞いて、その「世界で一番貧しい大統領」がかつて国連の会議で説いた一節が浮かんだ。〈貧乏とは、少ししか持っていないことではなく、かぎりなく多くを必要とし、もっともっととほしがることである〉◆欲望に振り回される大量消費社会を問うて色あせない警句を
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