7月3日 よみうり寸評
写真家でもある洋食店の主人が、若い頃から撮りためてきた作品を披露しつつ思い出を語る。本紙都内版の人気コーナー「秋山武雄の懐かし写真館」である◆75年前、8歳だった秋山さんは疎開先で終戦の日を迎えた。昨夏の紙面でこう振り返っている。〈「戦争が終わった」と、実感したのは、秋に小学校が再開された時だ〉。登校した子供たちの歓声を行間に聞いた気がした◆時代は移って先月1日、コロナ禍のせいで長く続いた休校が全国的に解消された。戦争と疫病はむろん違うが、今の子供たちも将来、秋山さんと同じようにこの日を振り返るのだろうか◆それを考えると実は心許 ない。感染防止のために級友とのおしゃべりすらままならない異例の学校生活に、子供たちがストレスをためている。その心配な実態を昨日の朝刊くらし面の記事が伝えていた◆2日連続で東京の感染者が100人を超えるというニュースも入ってきた。踏ん張りどきだろう。元気な声が屈託なく上がる日をさらに遠のかせてはいけない。
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