がんなどで余命宣告をされたら、「残りの人生を家族や友人たちと楽しく過ごしたい」「やり残したことに挑戦したい」という考え方もある。『週刊ポストGOLD 得する医療費』より、保険の「特約」の賢い使い方を解説する。
「保険の“特約”で、人生の最後を経済的に不安なく過ごすことも可能です」と言うのは、がんライフアドバイザー協会の川崎由華代表理事。
「余命6か月以内と医師に宣告されると、生きているうちに死亡保険金を受け取れる『リビングニーズ特約』が付いている商品があります。無料のことが多いため、自分が加入していることを知らない人もいるのでよく確認しましょう」
リビングニーズ特約は、死亡保険金の一部を生前給付するもの。たとえば、7000万円の死亡保険金のうち、3000万円を生前に、残りを死亡時に遺族が受け取るといったことも可能だ。
金額は被保険者が設定できるが、“上限3000万円まで”などと制限がつく。
「疾病原因は問われず支払われます。お金の使い方も問われません」(川崎氏)
医療費の補助や余命期間を充実するための資金などに活用できる。ただし、注意したいこともある。
「末期がんと宣告された後に、リビングニーズ特約の給付金で、保険が適用されない高額な自由診療の治療を受けようとした患者さんがいました。しかし、担当医から余命宣告をしてもらえなかったそうです。最近は、余命宣告をしたがらない医者も多い」(川崎氏)
家族の意向などで、患者本人に病状を隠す場合もある。
また、税制上では生前給付金の所得税は非課税となるが、使い切れなかった分は相続財産になり、相続税の対象となる。さらに、この場合、死亡保険金の非課税枠(「500万円×法定相続人の人数」の額までが非課税)が使えなくなる。
自分が使い切れる金額を設定することが、遺族にも余計な負担をかけず、ひいては人生の最期を不安なく過ごすことにつながる。
※週刊ポスト2020年10月1日号増刊『週刊ポストGOLD 得する医療費』より
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