2020年12月9日水曜日

12/09   6:58

 読売新聞オンライン

追加経済対策 効果的支出で感染拡大抑えよ


 新型コロナウイルスの流行を克服するため、効果的に予算を投じることが重要である。医療体制の強化や困窮者の支援に最善を尽くすべきだ。 政府が追加経済対策を決めた。金融機関の融資や地方の支出などを含め、事業規模は73・6兆円に達した。政府は今年4月と5月に、それぞれ110兆円を超す経済対策をまとめているが、大規模な財政出動を継続することになる。

 40兆円の財政支出のうち国費は約31兆円で、多くは2020年度第3次補正予算案に計上し、残り約10兆円を21年度予算案に回して「15か月予算」とする方針だ。

 追加対策は、感染拡大の防止を大きな柱に掲げている。

 コロナ患者に積極的に対応する医療機関の多くは、一般の患者が減って経営が悪化し、看護師らの離職が相次いでいるという。

 医療崩壊を防ぐには、専用病棟を持つ「重点医療機関」に支給する交付金の執行を急がねばならない。ワクチン接種の準備や、治療薬の開発も強く後押ししたい。

 感染の抑止を図りながら、経済活動の停滞を防いでいくための施策が必要となる。

 自治体のコロナ対策を後押しする「地方創生臨時交付金」については、1・5兆円を追加する。営業時間の短縮要請に応じた飲食店への協力金などに使えるもので、自治体の求めに配慮した。

 ただ、この交付金をランドセル配布や公用車の購入など、コロナ対策とは考えにくい支出にあてる例も相次いだ。適正に活用されているか、国の点検が不可欠だ。

 企業が社員に払う休業手当の一部を補助する「雇用調整助成金」は、上限額を増やした特例措置の期限を、12月末から来年の2月末まで延長するという。

 ひとり親世帯などが対象の臨時特別給付金を、年内に再支給することも盛り込んだ。経済的に困窮する人の救済は当然である。

 追加対策では、来年1月末が期限の観光支援策「Go To トラベル」について、6月末までの延長を基本とし、平日への分散化を図るとしている。

 感染拡大の中で、人の往来を活発化させる需要喚起策には慎重さが要る。柔軟に中断や再開ができる仕組みを検討してほしい。

 中長期的な成長に向けては、環境技術の開発に取り組む企業を支援する2兆円の基金や、大学の研究基盤を強化する基金を設ける。官民のデジタル化促進に1兆円超を計上するという。成長分野への重点投資に努めてもらいたい。

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