7月5日 編集手帳
一つには奇妙な姿が魅力だったのだろう。疫病封じの妖怪アマビエが話題になるなかで、おもしろい回文をネットで見つけた。「海老えび?」「マーアライオン?」「ううん。おいら、アマビエ!」◆下から読んでも同じ音になり、しかも、愛らしい。投稿したのは絵本『回文さがし』も出している芸人・音楽家の手賀沼ジュンさんだ。うまいなあと感心したのだが、実は小欄も通勤途中、ひそかに考えることがある◆しばらくすいていた電車も、最近は座れなくなってきた。頭をよぎるのは、シンプルに〈密は罪〉。うかつにモノに触りたくもないのだが、ままならない。〈分かりつつも持つ吊つり革〉◆生活も意識も変わった。〈きついマスクす、毎月〉〈会話、怖いか〉。もっとも、手賀沼さんがツイッターで発信する回文を読むと、暗くない。純粋に笑えるものをと考えているそうだ◆ふと、志村けんさんを思い出す。訃報ふほうはウイルスの怖さを世に知らしめた。それでもテレビでは、共演者たちが名作コントを振り返る番組が続く。回文にするなら〈泣いたけど、おどけたいな〉ということか。笑いはやっぱり大切だ。
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