社説
>>米中国連演説 批判合戦で課題は解決しない
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2020/09/24 05:00
感染症の影響で外交が制限されている時だからこそ、「自国第一」ではなく、国際協調に努めることが重要である。米中両国の首脳は、その責任を自覚してもらいたい。
国連総会の一般討論演説がニューヨークの国連本部で始まった。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、各国が事前に収録したビデオ演説を議場で流す異例の方式がとられた。
今年は、国連創設75年の節目にあたる。本来なら、主要国の首脳らが演壇に上がり、個別の会談も行われるはずだった。首脳外交の機会が失われたのは残念だ。
トランプ米大統領は演説で、中国批判に重点を置いた。中国がコロナの流行初期に国内移動を制限する一方、海外渡航を認めて世界中にウイルスを広めたとして、「国連は中国に行動の責任を取らせねばならない」と述べた。
中国の対応に、情報公開の遅れなどの問題があったのは事実だ。「中国寄り」と指摘される世界保健機関(WHO)のあり方も含めて、検証と改善が必要だろう。
だが、喫緊の課題は、各国が協力して感染症を封じ込め、世界経済を回復させることである。ワクチンや治療薬を開発し、人々に行き渡らせるうえで、協調体制は不可欠だ。中国を批判するだけでは解決につながるまい。
指導者が国益を最優先に考えるのは当然だが、感染症対策や気候変動への対処、貿易ルールの整備などを一国で進めることはできない。「自国第一主義」では、結果として国益も損なわれることを、トランプ氏は認識すべきだ。
中国の習近平国家主席は演説で、コロナ対応の「政治問題化」に反対しなければならないとし、米国への反発を示した。多国間主義を重視する立場から、「国際システムを守る」とも語った。
習氏は、トランプ氏の「米国第一」とは対照的な姿勢を強調し、「中国が米国に代わって国際協調を主導している」という印象を植え付けたいのだろう。その言葉は額面通りに受け取れない。
中国は南シナ海の軍事拠点化を進め、香港では「一国二制度」を否定する抑圧を強めている。いずれも、国際法や国際約束を無視する行為だ。多国間主義を標榜ひょうぼうするのなら、法の支配を尊重し、批判に耳を傾けるべきではないか。
国際政治・経済が米中対立に振り回されている現状には、憂慮を禁じ得ない。米中は批判合戦を繰り広げるのではなく、事態の収拾に動かねばならない
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2020年9月24日木曜日
社説
ジャパンライフ 悪質商法の被害を食い止めよ
2020/09/24 05:00
高齢者らを言葉巧みに勧誘し、巨額の資金を集めていた商法に、捜査のメスが入った。被害が繰り返されないよう、規制の強化を急ぐべきだ。
多額の負債を抱えて倒産した磁気治療器販売会社「ジャパンライフ」(東京)が、顧客にウソの説明をして現金をだまし取ったとして、元会長らが詐欺容疑で警視庁などに逮捕された。
顧客に商品を購入させ、それを預かって別の客に貸すというレンタルオーナー制度で、1万人から2100億円を集めたとされる。債務超過に陥った後も、「元本保証、年利6%の配当」などと顧客を勧誘したとみられている。
元会長は、安倍前首相が主催した「桜を見る会」に招待されたと宣伝するなど、政治家や著名人との関係を誇示していた。社会的信用を強調することで、顧客の安心を得ようとしたのだろう。
被害者は高齢者が多く、老後の蓄えを失った人も少なくない。営業担当者に健康相談に乗ってもらったり、旅行やコンサートの招待を受けたりして、高額な出資をさせられた人もいたという。
警察当局は捜査を尽くし、被害実態やだましの手口など、事件の全容を解明してもらいたい。
全国の消費生活センターには、以前から「解約しても返金されない」などの相談が相次ぎ、消費者庁は2016年以降、業務停止命令を4回も出していた。
現行法での対応に限界があったとしても、なぜもっと早く被害を食い止められなかったか。
問題のオーナー制度は、一般に「販売預託商法」と呼ばれる。商品や事業に実態がない悪質なケースもあるが、顧客は配当が続いている限り、だまされていることに気付きにくいため、過去にも大規模な消費者被害が出ている。
1980年代の豊田商事事件を機に特定商品預託法が制定されたが、対象商品は限定され、新たな手口での被害が後を絶たない。被害総額は1兆円を超えている。
消費者庁の有識者検討会は、販売預託商法を原則禁止にすべきだとする報告書をまとめた。消費者に深刻な被害を及ぼす恐れが高いとして、「反社会性のある行為」と断じたのは当然である。
消費者庁は、来年の通常国会への預託法改正案提出を目指している。抜け道を許さず、違反した場合は重い罰則を科すなど、実効性のある規制を検討してほしい。
被害を拡大させないため、悪質業者を早期に把握し、消費者に周知する取り組みも強化したい。
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