3氏は8日、それぞれの出陣式を終え、党本部での所見発表演説会と、共同記者会見に臨んだ。
安倍首相の政治姿勢に批判的な立場を示してきた石破氏は演説会で、「自民党は、国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させる政党でなければならない」と指摘。「今こそ納得と共感の政治をやりたい。なし遂げたいのはグレートリセットだ」と強調した。
菅氏は、安倍政権の継承を訴え、経済政策「アベノミクス」も引き継ぐ考えを改めて表明。その上で、中央省庁の「縦割り打破」にも触れ「あしき前例主義を排し、規制改革を全力で進める国民のために働く内閣を作りたい」と訴えた。
岸田氏は「多くの国民の声を丁寧に聞き、政治のエネルギーに変え、新しい時代に向かっていく」と主張。安倍政権を評価しつつ、経済格差を課題に挙げ、「最低賃金の引き上げに加え、資本主義そのものについても考えなければいけない時期が来ている」と、中間層への支援に力を入れる考えを示した。
総裁の交代は野党時代の2012年9月以来、約8年ぶり。今回の総裁選は、全国の党員・党友による投票を省略する「簡易型」で、衆参両院の議長を除く党所属国会議員の394票と、47都道府県連の代表者各3票(計141票)を合わせた票数の過半数(268票)を巡って争う仕組みだ。
■竹下派など一部は流動的
朝日新聞社は8日までに、議員本人への取材や各派閥の方針などをもとに党内の支持動向を調査した。
菅氏は現時点で、党所属国会議員の78%にあたる308人が支持する情勢。都道府県連の票を加えた全体で見ても過半数の58%に上っている。
すでに支持を表明している細田派(98人)、麻生派(54人)、竹下派(54人)、二階派(47人)、石原派(11人)の5派閥について、ほぼ票を固めた。また、無派閥議員(64人)の約7割の46人が支持する意向を示している。ただ、竹下派からは三原朝彦衆院議員が石破氏の推薦人となり、船田元衆院議員も菅氏を支援しない考えを示す。
一方、岸田氏の支持は、岸田派(47人)や無派閥5人の計52人で、広がりに欠けている。石破氏も石破派(19人)のほか、三原氏や無派閥4人の計24人の支持にとどまっている。
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