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林:5年前にご主人(ザ・ドリフターズの加藤茶さん)にこのページに出ていただいたときに、「お元気ですね。なんでそんなにお若いんですか?」って聞いたら、「すべて妻のおかげです。妻がいろいろやってくれて、ほんとにありがたいです」って、5回ぐらいノロケてましたよ(笑)。
加藤:わー、うれしいです。
加藤:メッチャ元気になりました。私と出会う4年前、63歳のときに大動脈解離という大きな病気にかかって、結婚して3年後には、その薬の後遺症でパーキンソン症候群になって、そのあと1年ぐらいリハビリとかやって、すごい大変でした。
林:あのころ、「(綾菜さんが作る)食事が脂っこい」とか、週刊誌にいろいろ書かれてましたよね。
加藤:ドリフ時代はいつも出前で、ラーメン、トンカツがふつうだったみたいなんです。そのときはまだ新婚ラブラブなんで、「嫁さんが揚げてくれたトンカツだよ~」ってブログにあげたら、加トちゃんファンの人から「トンカツを食べさせて殺そうとしている。毒妻!」とかクレームが来て、そんなのが2、3年続きました。
林:たしか「後妻業」という言葉がはやり始めたころで、たぶんそれに乗っかったんですよね。
加藤:あと、80代の人と20代の女性が結婚して、数カ月後に毒殺されるという海外の事件も重なって、「この女も加トちゃんを殺そうとしているから気をつけてください」って。当時は私たちの家も特定されて、「加トちゃんにひどいことするな! 別れろ!」と言いに来られたり、自転車をボコボコにされて木に吊るされたりしました。
林:怖い! 前に綾菜さんが「しくじり先生」にお出になってるのを見たら、「もし私がそのつもりなら、8年も待つなんて効率悪いことやりません。すぐやってます」とか言ってたから笑っちゃった(笑)。
加藤:初めて加トちゃんとテレビに出たときに、あいさつに行っても、加トちゃんがいないと口きいてくれない人がふつうにいました。エレベーターに乗ったときも、「なんで加トちゃんと結婚したの? 有名になりたいからでしょう?」ってタレントさんに言われました。
林:そんなひどいことを言う人がいたんですか。
加藤:世間の人だけじゃなくて、芸能人も「加藤綾菜は財産目当てだ」と思ってるんだなとわかって、よけい意地になったというか、「絶対、加トちゃんと仲良く生きていきたい」と思うようになりました。あそこでハラが決まったというか。
林:お野菜も、徐々に徐々に増やしていったという感じですか。
加藤:加トちゃん、大味なものしか好きじゃないので、ちょっと塩分を減らしたら「味しないわ」とか、「ニンジン残す」とか、「ピーマン食べれない」とか言うんです。インスタントラーメンにバターとコンビーフ一缶入れて混ぜて食べるとか、そんなのがメッチャ好きなんですよ。今も文句言いながら食べてるという感じです。
林:でも、それでお顔もだんだんツヤツヤになってきたんですね。
加藤:出会ったとき血圧が196だったんですよ。それで減塩専門の料理教室に行って勉強して、減塩料理を食べさせて、今やっと135ぐらいまで落ちてきたんです。
林:綾菜さんの場合は年齢差45歳ですから、「8時だョ!全員集合」は見たことないですよね。
加藤:まったくないです。「ドリフ大爆笑」の再放送をちょっと見るぐらいで。でも、お母さんとお父さんが加トちゃん世代なので、初めて加トちゃんを実家に連れてったときは、もうメッチャ緊張してました。
林:そうでしょうねえ。
加藤:お母さんとお父さんが玄関先で正座して、「よくいらっしゃいました! ありがとうございました!」みたいな感じで、加トちゃんがソファに座って、お母さんとお父さんが地べたに座って、「大ファンです!」みたいな感じだったので、すんなりオッケーもらいました(笑)。
林:そりゃそうですよね。社会現象みたいな番組で、子どもたち、加トちゃんに「宿題しろよ」って言われて、加トちゃんの夢を見て寝るみたいな感じだったから。
加藤:へぇ~、うれしい。
林:その子たちが大人になって、「加トちゃんに幸せになってほしい」という気持ちが、綾菜さんへの攻撃になっちゃったんでしょうね。嫉妬もあったかも。若いきれいな女の子と楽しそう、みたいな。
加藤:一緒に暮らし始めたころ、私、大学生だったんですよ。「なんで大学卒業したばっかりの子と? 気持ち悪い」という偏見もたぶんあったと思います。
林:「しくじり先生」で生徒の一人に「おばあちゃんと同い年の人を好きになるなんて理解できない」と言われたら、「すごくきれいなおじいさんなんです」って言ってましたね。
加藤:そう、すごくきれいなおじいさんです。私が和食屋さんでアルバイトしてるときに、加トちゃんがフラッと来てくれたのがきっかけだったんですけど、初めて会ったときに、それまで感じたことがないときめきを感じたんです。
林:ほぉ~。
加藤:そのあとも加トちゃんが食べに来てくれて、お話するようになってほんとにハマってしまいました。
林:どういうところがよかったんですか。やさしかったんですか。
加藤:やさしかったです。それと、顔もタイプだったんですよ。ちっちゃくて可愛らしい感じが好きで、どストライクで。
林:たとえばジャニーズとかは好きじゃなかったんですか。
加藤:ええと、ほかにもいろんな芸能人の方が食べに来てたんですけど、一回もときめいたことはなかったんです。
林:おー、他の方はメじゃなかったんだ(笑)。
加藤:ぜんぜん加トちゃんのほうが上でした。「なんなんだ、このきれいなおじいちゃんは」という感じで。
林:加藤茶さんが自分の電話番号を綾菜さんに渡したんでしょう?
加藤:そうです。レジのところでそっとコースターを渡されて、見たら裏に電話番号が書いてあって、うれしくて家に帰ってドキドキしながら電話したんです。そしたらすごくフィーリングが合って、「あしたの朝5時に世田谷のロイヤルホストに来ない?」って言われて。
林:スターさんにしては地味なお店ですね(笑)。
加藤:私に合わせてロイヤルホストを選んでくれたんだと思って、ドキドキしながらその日は寝れずに、朝5時にきれいな格好して行ったんです。そしたら、加トちゃんと左とん平さんと小野ヤスシさんが並んでいて、3人の前に座らされて、「出身は?」から始まって……。
林:面接みたいじゃないですか。
加藤:そうです。加トちゃんとは一言も話させてくれないままその日は終わって、次にまた呼ばれて行っても3人いて、半年間ずっと3対1でデートしました。
林:おじいさんたちとデートして楽しかったですか。
加藤:ぜんぜん楽しくなかったです(笑)。
林:二人っきりになりたいよね。
加藤:なりたかったですけど、加トちゃんが「気になる子がいる。大学生なんだけど」と言ったので、小野さんが「そんなのロクな女じゃない。俺が見てやる」というんで、認められるまでは3対1でした。
林:「いい子だ」って認めてくれるまで半年かかったんですか。
加藤:そうなんです。一回、加トちゃんに「二人っきりでデートしたくない?」って言われて、新橋だか銀座だかの映画館に呼び出されたんですけど、予告があって本編が始まるときに、ポップコーン持った左とん平さんが私の横に座ったんです。
林:ええ~っ!
加藤:だから予告の10分だけ加トちゃんと二人っきりでいたんです。
林:なんかコントみたい(笑)。この前、志村けんさんが急に亡くなっちゃいましたね。「二人はライバル」と言われてたけど、綾菜さんがあのとき「二人はほんとに仲良くて、だから主人はこんなに落ち込んでます」と言って、あのコメントはみんなの心に刺さったと思いますよ。
加藤:「たぶんライバルなんだな」と思うときはあるんですけど、ほんとに仲いいなと思います。志村さんが70歳を過ぎて名人の域に達して、「これからどんな活躍をするんだろう」みたいなことを加トちゃんがよく言ってたんです。だから「すごく残念だ」と言ってました。いろんな週刊誌の方が家に来られて、「加トちゃん、一言ください」みたいな感じだったんですけど、言える雰囲気じゃなかったというか、加トちゃん、すごく落ち込んじゃって、ずっと部屋から出ませんでした。
林:奥さんがいてよかったですね。
加藤:私もそう思いました。私がいなかったら、たぶん死んでたと思います。
林:神様からのプレゼントですね。
加藤:ぜんぜん逆です。加トちゃんに会って私は変わったと思います。私に厳しいんですよ。いつも凛としていて、学ぶことが多くて。
林:ずっとスターでやってきた方だから、特別な哲学だとか人生観を持ってるんだと思いますよ。そういう人から吸収できて、綾菜さんも幸せですね。加藤さんだけが幸せじゃなくて。
加藤:幸せです。好きで一緒になったんですけど、それ以上に、一緒に生きていく同志みたいな絆を感じてます。「加トちゃんに会いたくて胸が苦しい」みたいな時期はもう過ぎて、「この人を幸せにしたい」という気持ちになったんです。戦友みたいな感じです。
>>【加藤茶とは会う前から…妻・加藤綾菜「私、おじさん好きじゃないんです」】へ続く
(構成/本誌・松岡かすみ、編集協力/一木俊雄)
加藤綾菜(かとう・あやな)/1988年、広島県生まれ。2011年、加藤茶と結婚。夫を献身的に支える妻としてテレビや雑誌に取り上げられ、注目を集める。夫との日常を綴るインスタグラムやYouTubeチャンネル「加藤家の日常」も人気。
※週刊朝日 2020年8月28日号より抜粋
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