コロナの影響で月収は
30万円台から15万円に
「コロナで運行本数が激減したことで、航空会社の経営が危ないというのはニュースで報じられている通りです。ただ、その中でも特に不利益を被っているのが私たち客室乗務員(キャビンアテンダント=CA)だということは、あまり認識されていないように感じています」こう語るのは、国内の大手航空会社でCAとして働く入社3年目の山口貴子さん(仮名・24)。これまで最大で月90時間あったフライトタイムは、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した3月末から徐々に減少。4月は海外のフライトが1本。5月になると0本になってしまった。
「CAは基本給が低いので、フライト手当のほか、現地での滞在手当や深夜手当などで稼ぐ歩合制です。フライトがなければ当然収入は減ります。私は月収30万円くらいでしたが、コロナ以降は、15万円に届くかどうか。ボーナスも大幅にカットされたので、このままいくと私の年収は去年より100万円ほど下がります。私より時給が高い先輩方は、200万円近く下がると言っていました」
フライトがない山口さんは、連日休暇。家で毎日動画配信サービス「ネットフリックス」を見る日々が続いている。
コロナ禍でも変わらない
パイロットの高待遇
山口さんたちCAは減収により、貯金を切り崩しながら生活している。その一方で、パイロットの高待遇は変わらない。山口さんの知人のパイロットによると、パイロットはフライトがない時期でも、フライトタイム手当が一定期間、保証されているのだという。「自粛期間中も関係なく、出退勤は相変わらずタクシーです。あと、コロナをきっかけに、別の新しい手当も出ることになったとか。CAにはなんの手当も出ないので、うらやましいです」
社内ではパイロットとCAだけが歩合制なのに、高待遇が約束されているのはパイロットのみ。ほかの部署に関しても仕事量は減っているかもしれないが、CAより高い基本給が確保されている。
「コロナによって運航が減り、収入が減るのは仕方ありません。それならせめてアルバイトをさせてほしいのですが、会社の許可が下りないので無理なんです。来月も再来月も今の状態が続いたら、本当にどうやって生活していけばいいんですかね…。引っ越したくてもお金がないし。こんなことならもっと貯金しておくべきでした」
世間では緊急事態宣言が解除されたが、航空会社の需要が戻る見通しは立っていない。以前のように需要が戻るまで、彼女たちの生活はこのままだ。
それでも海外の航空会社で従業員が大勢解雇されているのに比べたら、日本は雇用が守られているだけマシだといえるかもしれない。山口さんはその環境をありがたいと思いつつも、フライト数が完全に戻るまで不安は消えない。
世間ではいまだに華やかな職業という印象が強いCAだが、現在の内情は、かなり切迫しているようだ。
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