2020年8月22日土曜日


 新型コロナウイルスの感染症対策を検討する政府の分科会は21日、ワクチンが実用化された場合の優先接種の対象について、重症化のリスクが高い高齢者や生活習慣病などの持病のある人、治療で感染リスクが高い医療従事者とする提言をまとめた。政府は近く、ワクチン接種の実施体制に関する考え方をとりまとめる方針だ。 政府は国民への早期接種を目指しているが、ワクチンを確保できても供給量や接種体制を考えると、段階的な実施にならざるをえないため、優先接種の対象を事前に決めて混乱を避けたい考えだ。この日の分科会では、高齢者のほか、糖尿病や心臓病、呼吸器疾患などの持病がある人、感染者の治療に直接関わる医師や看護師などの医療従事者を優先することが了承された。
 感染者と接触する可能性がある救急隊員や保健所職員のほか、介護施設職員、妊婦などを対象に含めるかどうかについては、引き続き検討することになった。
 世界保健機関(WHO)によると、20日現在、世界で30のワクチンの臨床試験が行われている。欧米など各国のワクチン獲得の動きも激しさを増している。日本政府は来年以降、英アストラゼネカと米ファイザーが開発に成功した場合、少なくとも1億2000万人分のワクチン供給を受ける基本合意を両社から取り付けている。
 一方、ワクチン接種では健康被害が起きる場合がある。分科会では、民事訴訟などで生じるワクチンメーカーの損失を政府が補償する仕組みを作る案が、政府側から示された。委員から異論は出なかったという。
 政府は2009年の新型インフルエンザ流行時、海外から輸入したワクチンを対象に、損失補償の契約をメーカーと結べる特別措置法を整備した。今回の新型コロナウイルスでも、法整備を含めた対応を検討している。

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