gI値が低く腹持ちがいい!
オートミールは優秀なダイエット食品
オートミールの持つメリットとして、食後の血糖値の上がりやすさを示す「gI(グリセミック・インデックス)値」が低いということが挙げられます。gI値が低いほど、血糖値を下げて余分な糖を脂肪として蓄える働きのあるインスリンの分泌が緩やかになるため、同じエネルギー量であっても太りにくく、ダイエットに適した食品といえます。また、低gI値食品は、血糖値の急上昇・急降下を抑えられるため、食後の空腹感や眠気も起こりにくいというメリットもあります。オートミールのgI値は55。これは、玄米と同じくらいの値で、白米の88、食パンの95と比べるとかなり低い値であることがわかります。でも、意外に思うかもしれませんが、エネルギー量で比較してみると白米100gの358kcalに対してオートミール100gは380kcalと、オートミールのほうが高カロリーです。それなのに、なぜオートミールがダイエットに適しているのでしょうか?
理由は、オートミールはたくさんの食物繊維と水分を含むために、少量でも満腹感を得られ、1食の量が少なくてすむからです。オートミールの1食分の量は30~50g程度です。お茶碗1杯分の白米150gは252kcalで食物繊維が0.5gであるのに対して、オートミール50gは190kcalで食物繊維が5.5g!
1食分で考えれば、オートミールは白米より低カロリーではるかに多くの食物繊維を含みます。そのため、体脂肪をつけたくない人、「自粛太り」を解消したい人などの場合、主食のご飯やパンをオートミールに置き換えるだけでも減量効果が期待できます。
腸内環境が乱れがちな夏こそ
整腸作用の高いオートミールを!
また、夏本番を迎えるこれからは、食物繊維が豊富なオートミールの特長が大いに力を発揮します。食物繊維の主な働きのひとつは、便秘の予防をはじめとする整腸作用。特にオートミールは、保水性が高く便を軟らかくする水溶性食物繊維と、腸の蠕動(ぜんどう)を活発にする不溶性食物繊維がバランスよく含まれているために、とても整腸作用の高い食品といえます。実は、夏は腸内環境が乱れがちな季節。なぜなら、屋外と室内の温度差によって自律神経が乱れたり、発汗によって水分が不足したり、冷たい食べものや飲みものばかりを口にすることで消化管の血流が悪くなったりしやすいからです。忙しいビジネスパーソンなら、それこそ屋外と室内を頻繁に行き来し、お昼は冷たいそばをすすって終わり……という人も多いでしょう。そんなビジネスパーソンの乱れた腸内環境も、オートミールが整えてくれることでしょう。
さらにいえば、オートミールには「免疫力」を高めるというメリットもあります。現在は、緊急事態宣言が解除され、徐々に従来の生活スタイルに戻りつつありますが、免疫力を意識している人も多いでしょう。日常生活のなかで免疫力を高めるには、体内の約6割の免疫細胞が集まる腸内環境を正常に保つことがとても重要。6月28日公開記事(※1)で解説したように、そうするために大きな役割を果たすのが食物繊維、特に水溶性食物繊維になります。水溶性食物繊維には、腸内細菌により分解されて善玉菌を増やす働きがあります。オートミールは白米の約20倍、玄米の約3倍もの食物繊維を含むうえ、なかでもβグルカンという水溶性食物繊維が豊富なために、腸内環境の改善、免疫力の向上に大いに役立ってくれます。
(※1):納豆+メカブは最強?腸内環境を整える最強の食べ合わせはこれだ
また、オートミールは、ビタミン、ミネラル面で見ても優秀な食品です。日本人にもっとも不足している栄養素といわれるカルシウム、貧血改善のために必要な鉄分、エネルギー代謝に関わるビタミンB1も含まれ、夏バテ予防の効果も期待できます。また、植物性タンパク質も豊富に含まれるため、減量中も筋肉を落とさず基礎代謝をキープしたいという人にもおすすめです。
オートミールをおいしく食べる!
管理栄養士おすすめの簡単レシピ
では、実際にオートミールを食べてみましょう。オートミールは、オーツ麦を脱穀して食べやすく加工したシリアルの一種です。その加工の度合いによっていくつかの種類に分けられますが、わたしがおすすめするのは、加熱処理の必要がなく簡単に食べられる「インスタントオーツ」と呼ばれるもの。そのなかにも味のついていないもの、塩味や甘く味つけをしたものなどがありますが、最初は味のついていないものを買って自分に合った食べ方を見つけることをおすすめします。もっともオーソドックスな調理法は、オートミールの3~4倍の水、もしくは牛乳で3分ほど煮ておかゆにするというもの。電子レンジで1~2分ほど加熱することでも同様の調理が可能です。そのおかゆに、フルーツやハチミツを加えて食べます。また、和風や中華風の味つけもよく合うので、インスタントスープやお茶漬けのもとなどを使って調理してもおいしく食べられますよ。最後に、わたしがおすすめする3つのレシピを紹介しましょう。
【オートミールをおいしく食べる簡単レシピ】
◆ツナのリゾット風オートミール
【材料】:オートミール30g。ノンオイルツナ缶70g。コンソメ、塩コショウ適量。
【つくり方】:ノンオイルツナ缶でタンパク質を強化したレシピです。手順は、材料を混ぜて電子レンジで2分加熱するだけ。水の代わりに豆乳やトマトジュースにしてもOK。粉チーズをトッピングしてもおいしいですよ。
◆オーバーナイトオーツ
【材料】:オートミール30g。プレーンヨーグルト100g。お好みのフルーツ、ハチミツなど。
【つくり方】:火を使わないため、夏には特におすすめです。オーバーナイトオーツとは牛乳や豆乳でオートミールをひと晩ふやかす調理法ですが、ヨーグルトでつくればビフィズス菌を摂取でき、オートミールの食物繊維と相まって整腸作用が高まります。夜に仕込めば翌朝にはそのまま食べられるので、忙しい人にはとても便利なレシピです。
◆オートミール和風ハンバーグ
【材料】:オートミール30g。鶏ひき肉200g。牛乳60cc。卵1個。塩コショウ、オリーブオイル適量。
【つくり方】:(1)オートミールと牛乳を合わせてレンジで1分加熱し、冷ましておく。(2)(1)と鶏ひき肉、卵を混ぜて塩コショウで味つけする。(3)(2)をふたつに分けて成形し、オリーブオイルで焼く。最終的な味つけはお好みで。つなぎとしてパン粉ではなくオートミールを使うことで、肉料理でも食物繊維の摂取量を増やせます。タンパク質に偏り過ぎた食事は腸内環境を悪化させやすいため、トレーニングをしながらタンパク質を意識的にとっている人にもおすすめです。
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