「陽性だった人や検査を受けた人の名前が一日に何度も送られてくる」。40代の会社員女性はメッセージの通知音が鳴るスマートフォンを見つめた。「知っている人の名前ばかり。接触がなかったか気になって仕方がない」と不安がる。
自営業の30代女性は「小さなコミュニティーだけにいつ感染してもおかしくない」と話し「島民全員のPCR検査を検討してほしい。このままでは島民のメンタルも地元経済も持たない」と訴えた。
与論町では、22日に与論徳洲会病院の20代女性看護師の感染が公表されて以後、入院患者や親族、知人らに広がった。23、24日に各11人、25日に6人の陽性が明らかになった。10歳未満から90代と幅広い年代にわたり、判明しているだけでも役場職員や郵便局社員と職種もさまざまだ。
居酒屋を経営する60代男性は23日にPCR検査を受けた。客の一人が陽性と分かり、保健所から濃厚接触者に該当すると連絡を受けたためだ。幸い陰性だったが「もしも陽性だったら、家族をはじめ多くの人が濃厚接触者になるのではと怖かった」と打ち明けた。
25日昼過ぎ、普段は買い物客や観光客でにぎわう同町茶花の銀座通りは閑散としていた。大半の飲食店は、休業を知らせるはり紙を出し、観光客は食事の場を求めさまよった。
国の観光支援事業「Go To トラベル」をあてに来島した人もいると見られるが、観光客の一人は「開いている店がほとんどない。迷惑をかけないよう過ごして帰りたい」と言葉少なげ。
地元業者によると、観光スポット「百合ケ浜」は25日、前日と異なり観光客もまばらだったという。ボートを出す業者は「キャンセルが増え休業する同業者もいる。客はホテルにこもっているのかも」と海の向こうを眺めた。
0 件のコメント:
コメントを投稿