1964年創業の岩井製菓。地釜で少量ずつ時間をかけ、直火で丹念に煮る製法で作り出された京飴(きょうあめ)は、香ばしい風味と品のある色や形が特長で、長年親しまれてきた。
売り上げが減り始めたのは2月ごろから。3月後半には例年の半分以下に落ち込んだ。作ったアメを売る場所や卸す先がなく、従業員の出勤日数は週5日から2日程度に。「創業以来最大の経営危機」に直面した。
そんな矢先、岩井正和社長(50)が知り合いの和雑貨屋の社長から「布マスク置いてみーひんか」と持ちかけられた。和雑貨屋の手作りマスクを、直営の茶店で50個ほど販売。反響は大きく、売り上げの全てがマスクという日もあった。
「うちは元々アメ屋なんやけど……」。複雑な思いを抱いた岩井さんは、のど飴とマスクをセットで販売することに決めた。
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