9月16日 編集手帳
先日、書店で当欄の「書き写しノート」を持ってレジに向かう女子高校生を見て恐縮した。昔話をするにしても、若い人にわかる書き方をしなければと思ってから、そう時がたっていない◆こう言えば少しは古き時代に近づくだろうか。おばあちゃん世代の話です。コンサートで熱狂したあまり、失神する人が続出していたのを知ってた? 音楽シーンの場外に昔あって今はない景色だろう◆「ザ・タイガース」のメンバー岸部四郎さんが71歳で亡くなった。きのう流れた訃報 に、グループサウンズの絶頂期を思い出された方は多かろう◆京都市で育った。兄の俳優、岸部一徳さんがいたタイガースに加入したのは人気の爆発したあとだったが、気さくなトークでファンをひきつけた。解散後は俳優やテレビの司会者として活躍した。当たり役は「西遊記」の沙悟浄だろう。中国の妖怪がなぜか、とぼけた感じの京都弁で話をしていたのが懐かしい◆コピーライターの吉竹純さんに短歌がある。<GSはグループサウンズ息子よ角のガソリンスタンドじゃない>。悲報なのに、柔らかなコーラスが耳朶 に響いてくる。
9月16日 よみうり寸評
[読者会員限定]
「牛」という詩の冒頭で高村光太郎はその特徴を挙げた。〈のろのろと歩く〉と。だが意思は強い。〈牛は
0 件のコメント:
コメントを投稿