「ニュース見て急いで来た」カップ麺・発電機・養生テープ品切れ、ホテルは満室
台風10号が接近する見通しの鹿児島県内では5日、市民がスーパーやホームセンターで食材や防災資材を買い求める姿が見られた。避難目的の予約で満室になるホテルもあった。
■ホームセンター
鹿児島市東開町の「ホームセンターきたやま」東開店には多くの客が詰めかけ、窓などを補強する木材やカセットボンベを買い求めていた。
ガラスの飛散を防ぐフィルムや発電機などは売り切れに。1週間ほど前から入荷が遅れ気味で、商品を補充してもすぐ棚が空になる状態が続いていたという。
同市の主婦(73)は窓ガラスの補強をしようと養生テープを買いに来たが、品切れ。「今まではほとんど台風対策をしたことがなかったが、ニュースを見て急いで来た。売り切れには驚いた」
宮司好己副店長は「ここ10年で一番の売れ行き。午前7時の開店にあわせて店の前に車の列ができていた。皆さんの防災意識が高まっているのを感じる」と話していた。
■スーパー
奄美市名瀬小浜町の「イオンプラザ大島店」では、野菜や果物、インスタント食品をまとめ買いする人の姿が多く見られた。カップ麺の棚からは商品がなくなっていた。停電に備えて乾電池や携帯扇風機もよく売れているという。
店長の武宮愛一郎さん(44)は「従業員総出で商品を補充しているが、予想を超える売れ行きだ」と話した。4日の船便で商品を入荷したが、次の船便は9日か10日になりそうという。
果物などを買った同市の男性(71)は「懐中電灯などを準備したが、心配です。戸締まりをしっかりしたい」と語った。
■県災害対策本部
県は5日、災害対策本部を設置した。同本部の会議では、自衛隊のヘリコプターによって行われた十島村の村民約200人の島外避難を5日に終えたことなどが報告された。
鹿児島地方気象台によると、5日正午現在、台風10号の最接近は奄美で6日昼頃、県本土で7日午前と予想される。県本土では6日明け方から強風域に入り、6日夕から7日午前まで暴風域に入る見通し。県本土でも最大瞬間風速が70メートルに達する恐れがあり、24時間で400~600ミリのまとまった雨が予想されている。
■避難所
各市町村は次々に避難所を開設した。鹿児島市も5日午後4時に「避難準備・高齢者等避難開始」を発令し、約200か所を開設。避難者が身を寄せ始めている。
同市の坂之上福祉館に夫婦で避難した近くの女性(75)は、「3密」を心配してホテルを探したが空室がなかったという。「コロナは心配だけど、仕方がない。台風も含め、何も被害がないと良いけれど」と不安そうだった。
■運休・休業相次ぐ
鹿児島市交通局は、市電を6日午前11時から、市営バスを正午から運休し、7日はいずれも始発から運行を見合わせる。同市船舶局は6日、午前8時の便を最後に桜島フェリーの運航を見合わせる。鴨池・垂水フェリーは6日の全便を欠航する。
同市の商業施設「山形屋」と「マルヤガーデンズ」は6日、臨時休業する。アミュプラザ鹿児島は6、7の両日の休館を決めた。
ホテルも強風対策
鹿児島市の「城山ホテル鹿児島」のレストラン「ホルト」では従業員が、テラス席のカーテンが強風で吹き飛ばされないようビニールひもで支柱にくくりつけたり、テーブルや椅子を屋内に運ぶ準備をしたりした。
4日朝から宿泊の問い合わせが殺到し、6日は稼働している約260室が満室に。8割を占める県内客の多くが、台風から避難する人という。企画広報部の岩本惇美さん(35)は「お客様は安全を求めて来る。スタッフの安全も確保しながら、最大限の備えをしたい
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