携帯電話料金 引き下げ策の効果が不十分だ
政府が引き下げを求めているにもかかわらず、携帯電話料金が思うように下がっていない。
携帯各社は、事業の公共性の高さを自覚して、利用者の負担を軽減するよう真剣に努力するべきだ。
総務省は、3月時点で比較した世界6都市のスマートフォン向け通信料金を発表した。データ容量が大きい20ギガ・バイトの場合、東京は月額8000円を超えて最も高かった。前年よりは値下がりしたが、なおロンドンの約3倍だ。
通信料金の高さが多くの家計を圧迫し、個人消費を押し下げているとの見方もある。
携帯電話の国内契約数は約1・8億件に達し、暮らしやビジネスを支えるインフラとなった。できる限り、国民の出費を抑える取り組みが重要である。 高止まりの原因は大手3社による寡占だ。契約数はNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの3社で約9割を占めている。
3社は今年の3月期連結決算で8000億~1兆円程度の営業利益を稼いだ。売上高に対する利益率は20%近く、一般企業より高い。一段の値下げは可能なはずだ。
菅官房長官は2018年8月、携帯料金について「4割程度下げる余地がある」と指摘した。本来、国が民間企業の価格決定に介入するのは望ましくないが、寡占の現状を考えればやむを得まい。
政府は有識者会議で対応策の検討を進め、昨年10月、電気通信事業法の改正で、端末代と通信料をセットにして割り引く契約を原則禁じた。通信料を割高に設定し、端末代割引の原資に充てているとの批判があったためだ。
利用者が携帯電話会社を乗り換えやすくするため、契約期間の途中で解約した場合にかかる違約金には上限を設けた。
それでも、競争が十分に促進されているとは言い難い。カギとなるのは新規参入の活発化だ。
参入した格安スマホ会社などは苦戦しているケースが多い。
利用者が、携帯電話会社を乗り換える際の手間やコストを嫌うことが一因となっている。総務省は7月、ドコモなどの大手が利用者から徴収する手数料の引き下げに向けて、議論を始めた。
格安会社はデータ通信こそ安いものの、通話料が高い。大手から通話回線を借りて営業しており、その利用料が割高なためとみられている。総務省はドコモに対し、利用料の値下げを求めた。
政府は引き続き、競争を促す施策に注力してもらいたい。
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