2020年7月29日水曜日

© 産経新聞社 「日本人は他都市にも」 北朝鮮元将校「当局は隠そうとした」  北朝鮮に一時拘束された米国人博士、ドンチョル・キム氏は羅先(ラソン)で抑留された日本人の存在を証言したが、韓国で脱北者団体の代表を務める崔正訓(チェ・ジョンフン)氏は羅先にとどまらず、「咸興(ハムフン)や元山(ウォンサン)、清津(チョンジン)など日本海側の都市に日本人が多く暮らすと聞いていた」と産経新聞の取材に語った。当局が日本人の存在を隠そうとしているため、ほとんど外部に知られることがないという。
 北朝鮮の元朝鮮人民軍将校の崔氏は北部、両江(リャンガン)道出身で、現地では金日成(キム・イルソン)主席の事績を解説する講師に抜擢された日本人女性とその息子の存在を知っていた。一家が日本人と把握できたのは、親戚が息子と友人だった上、崔氏の父親が外国人も管轄する秘密警察の指導員という環境にあったからだ。崔氏は実際には日本人の存在を知る人はほとんどいないと説明する。
 清津出身の脱北者女性も日本人と日頃交流があったと証言したが、お互いの家族が同じ職場だったため、日本人だと知り得た。
 キム氏が会ったという日本人は、北朝鮮に帰国した在日朝鮮人と異なって日本に手紙さえ送れなかった。当局者は、元在日に日本の親戚に仕送りを求める手紙を書くことを許可し、送金の一部を賄賂として受け取っていた。
 だが、抑留された日本人については「失踪した当人から手紙が来れば拉致が発覚するため、手紙も制限する」との見方を崔氏は示す。講師だった女性は「体制宣伝に使える」と当局が判断したまれな存在とみる。女性は家の中では息子を日本名で呼んでいたという。
 崔氏は、横田めぐみさんらのように日本人は社会から隔離され管理されていると思われがちだが、一般社会で暮らす人も多く、当局は国外に逃げ出すことはないとの自信があると解説する。(ソウル 桜井紀雄)

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