かつて東京都のベビーシッター向け助成金が、雑所得として課税され確定申告が必要になることが話題になりました。後になって確定申告の対象だったと慌てないよう、コロナ支援の給付金についておさえておきましょう。
代表的な給付金の課税・非課税
新型コロナ緊急経済対策の給付金が、所得税・個人住民税の課税対象となるかについて説明します。一律10万円給付(特別定額給付金):非課税
減収世帯向け30万円給付(生活支援給付金)は1人あたり一律10万円給付(特別定額給付金)に変更されましたが、特別定額給付金は法律の定めで非課税になりましたし、生活支援給付金も非課税の給付金として予定されていました。児童手当上乗せ(子育て世帯臨時特別給付金):非課税
所得制限範囲内であれば、子育て世帯臨時特別給付金として児童手当に児童1人あたり1万円上乗せされますが、児童手当も臨時特別給付金も非課税です。ひとり親が受けられる児童扶養手当やひとり親世帯臨時特別給付金も、同様に非課税です。
小学校等休業対応助成金/支援金:課税
令和2年3月から小中高などが休校になったことに伴い、小学校等の保護者向けにいち早くできた助成金・支援金ですが、フリーランスは自身の銀行口座で受け取れるものの労働者は自分が受け取れるものではなく、勤務先(事業者)に助成されるものです。勤務先が法人として受け取った場合は法人税の課税所得となり、勤務先が個人事業主の場合は事業所得となります。フリーランスが受け取る支援金も事業所得です。
労働者が休業手当として受け取るものは給与所得として課税されますので、通常は年末調整の対象となります。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金/給付金:非課税
休業手当を勤務先(中小企業)からもらえない労働者が、休業前賃金の8割(上限月33万円)を直接国からもらえるのが、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金/給付金です。この給付金について定めた雇用保険臨時特例法により、非課税とされました。ただ勤務先からもらう休業手当は給与所得として課税されるため、休業手当と扱いが異なる点で疑問も残ります。
感染拡大防止協力金:課税
4月7日に7都府県に発令された緊急事態宣言の後、東京都は特定の業種を対象に休業要請を行い、応じた中小事業者は感染拡大防止協力金50万円または100万円がもらえることになりました。感染拡大防止協力金も課税であり、事業所得の収入金額になります。ただ知事会などはこの扱いを問題と考え、非課税所得にすることを要望しましたが、7月時点では受け入れられていません。
事業者向け減収補償(持続化給付金など):課税
中小事業者が最大100万円(個人事業の場合)受けられることで注目された持続化給付金ですが、こちらも課税で事業所得の収入金額になります。家賃支援給付金も同様です。なお給与所得者向けの持続化給付金は一時所得、雑所得者向けの持続化給付金は雑所得です。
持続化給付金などに対しても国会議員などから非課税の要望があがっていましたが、令和2年通常国会閉会までには受け入れられませんでした。
原則は課税で特別の規定で非課税
国・地方公共団体からの給付金に関しては、消費税に関しては一律に課税対象外ですが、所得税や個人住民税は課税が原則です。
ただし、法律で特別に規定されれば非課税です。一律10万円や児童手当上乗せは「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律等」(新型コロナ税特法)で非課税と規定されました。
もっとも、令和2年分の確定申告期間はまだ先であり、今後立法措置で非課税になる余地はゼロとは言い切れません。現在の所得税法でも、国庫補助金等の総収入金額不算入という規定もあり、これは固定資産の取得に充てた補助金は、事業所得の総収入金額に算入しないというものです。
国税当局が課税を強調した給付金は、非課税になる望みが薄いのは確かですが、今後の動向を注目した方がいいでしょう。(執筆者:石谷 彰彦)
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