2020年7月20日月曜日


【独自】国勢調査員10万人不足、感染不安で敬遠…今秋実施「対面・手渡し」を見直し


 新型コロナウイルスの影響で、国勢調査の調査員が集まらない。以前から担い手不足だったところに、対面調査による感染不安が加わり、辞退や敬遠が相次いでいる。7割以上を確保した市区町村は3割にとどまる。総務省は、目標の70万人に届かず50万~60万人になると想定。手渡しが原則だった調査票の配布方法について、ポスト投函とうかんも認めるなどし、調査員の負担軽減を図る。
 国勢調査は人口や世帯構成などを把握するため、国が5年ごとに実施する。結果は衆院小選挙区の区割り変更や地方交付税の配分などに活用される。今年は8月中旬までに調査員を登録、9月14日から調査票を配布、10月7日に回答を締め切る。
 調査員は市区町村が町内会などを通じて募るが、近年は経験者の高齢化などから不足している。各世帯を訪れ、調査票を手渡しするほか、締め切りまでに郵送やインターネットによる回答がない場合も訪問が必要だ。感染リスクのある対面での配布・回収が調査員不足に拍車をかけている。
 総務省によると、市区町村の調査員の確保状況は6月下旬時点で、「7割以上」が30%、「4~6割」が30%、「3割未満」「不明」が40%だ。近年では最悪の状況だという。
 「高齢で基礎疾患を持っているので怖い」。秋田市では、新型コロナの影響とみられる辞退は10人以上に上る。6日時点で1250人の目標に約300人足りない。担当者は「ただでさえ、確保は難しいのに、新型コロナという難題が立ちはだかった」と話す。同市は募集期間の延長を重ねるほか、有給休暇などを活用して調査に当たれる職員を募っている。
 静岡県富士市では約1200人の目標に対し、6月末時点で応募は20人。感染を懸念する経験者から「今回は勘弁してほしい」などと断られた。同市はほかの統計調査を担当した住民や職員を充てる方針だ。東京都世田谷区では、目標の約4300人の確保にめどが立った後、感染不安を理由に辞退者が出た。
 総務省は調査結果(速報値)の公表時期を来年2月から6月へ延期するほか、調査員の負担を減らすため、調査票の手渡しを「非接触型」に切り替えるよう推奨。インターホン越しの説明やポストを通じての授受を可能とした。
 非接触型への切り替えなどで、作業効率は2・4倍に上がる計算だ。全国の調査員が50万~60万人になっても、「なんとか危機を乗り越えたい」としている。
 ◆国勢調査の調査員=原則20歳以上で、自治体の推薦を受けた人が総務相に任命される。非常勤国家公務員で、報酬は市区町村によって異なるが、50世帯あたり3万8000円が目安とされる。1人あたり原則50~100世帯を担当する。

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