2020年7月30日木曜日

 停滞する梅雨前線の影響で記録的な大雨を観測した山形県では、28日深夜から29日朝にかけて最上川が4か所で氾濫した。同県などのまとめによると、床上・床下浸水は、大石田町や大蔵村など14市町村で少なくとも206棟が確認された。川からあふれた水は29日午後には引き始め、住民たちは泥の撤去に追われた。
 国土交通省新庄河川事務所によると、氾濫は大石田町で29日午前0時前後に2か所、午前6時頃に1か所、下流の大蔵村で午前3時頃に1か所で起きた。
 最上川の支流、銅山川が流れる大蔵村では、濁流が川岸を削り、29日午前10時40分頃に県道が約100メートルにわたって崩落した。県道は、同村の肘折(ひじおり)温泉へ向かう道で、同温泉は28日夕方から29日朝まで、住民と宿泊客の計約350人が孤立した。同温泉の「肘折ホテル」に宿泊していた同県高畠町の無職男性(75)は「目の前の川が増水して不安だった」と振り返った。
 山形県内の避難指示は大蔵村など5市町村で出され、11市町村の約2400人が避難した。酒田市で28日夜、避難しようとした90歳代女性が自宅で転倒し、右足骨折のけがを負った。大石田町今宿、会社員男性(66)は28日夜、「ただ事じゃない」と思い、家族3人で避難所に向かった。
 最上川の水があふれ出て、泥に覆われた大江町左沢(あてらざわ)の百目木(どめき)地区では一夜明けた29日、住民たちは雪かき用のスコップなどを使って泥をかき出した。同地区に住む自営業男性(60)は「水につかった冷蔵庫を運び出さなければならない。これからが大変」とつぶやいた。
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 読売新聞のまとめによると、山形県以外でも29日午後9時現在、岩手、秋田、福島、新潟の4県で、計97棟の住宅などが床上、床下の浸水被害に遭った。

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