新潟県に設置されている気象庁のレーダーが、秋田市や潟上市などの付近で降水を確認したのは、8月4日の昼過ぎごろ。全国に20基ある気象庁のレーダーは互いの観測結果を組み合わせて降水を確認しているが、今回の秋田沿岸の天候判断には、新潟のレーダーのデータが使われた。
この観測結果などを利用して地図上で雨雲の動きを示す「高解像度降水ナウキャスト」では、一部地域が一時的に、1時間に80ミリ以上の「猛烈な雨」を示す紫色に染まった。だが実際には、この時間帯に付近で雨が降ることはなく、秋田地方気象台が観測した天気はくもりだった。
なぜこのような事態になったのか。
気象庁によると、レーダーは通常、山や建物の上を通過した電波が雨雲に当たり、その反射波(エコー)を受信することで雨を観測している。ところが、本来は上空を直進するはずの電波が、大気の屈折率の状態によって地表方向に曲げられてしまうことがある。「異常伝搬」と呼ばれる現象で、電波が地表面や地表の構造物などに当たって反射すると、降水がないところに強いエコーが現れる場合がある。今回、これが何らかの原因で起こり、回転する風車を雨と誤認したと考えられるという。
気象庁観測課の担当者は「これまでも風車などが原因とみられる異常伝搬が発生することはあったが、今回のように強い雨を確認するのはまれなことだ」と話す。建物のように動かないものであれば、受信した反射波が雨ではないことを自動的に判定できるが、(風車の)回転する羽根と雨を区別するのは難しいという。
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