2020年8月1日土曜日

PCR検査拡充が感染抑止につながる

 2020/08/01 05:00

  新型コロナウイルスの感染者が1日1000人を超える水準で推移している。これ以上の広がりを抑えるためPCR検査の拡充を急ぐべきだ。
 感染が流行し始めた頃は、検査が追いつかず、国民の間に不安が広がった。現在、検査能力は1日約3万5000件まで増えたが、まだ十分とは言えまい。
 できる限り検査体制を強化し、必要な人がスムーズに検査を受けられるようにしてほしい。
 検査を担う保健所の人手不足など、様々な「目詰まり」が指摘されている。政府は、病院や検査機関が最新機器を導入するのを支援したり、検査技師の増員に努めたりして、問題を一つ一つ解決しなければならない。
 症状のある人に限られていた検査対象は現在、無症状の濃厚接触者らにも拡大された。感染経路が不明な人も増えており、さらに対象を広げて積極的な検査に乗り出すことが肝要だ。
 東京都は、接待を伴う飲食店従業員らの一斉検査を始めている。埼玉県は、学校や店舗で感染者が出た場合、濃厚接触者に限らず、同じ場所にいた全員を検査して、早期にクラスター(感染集団)の芽を摘む方針を決めた。
 感染者が出た病院や高齢者施設では、入所者や従業員全員の検査を行い、繁華街など感染者が集中する場所では、その地域の住民を対象に集団検査を実施する。
 こうした「攻めの検査」で感染者を早期に隔離すれば、感染の連鎖を断ち切れよう。集団感染が発生するなど、集中的な検査が必要な現場には、検査車両を派遣することも一案ではないか。
 日本商工会議所は、中小企業の従業員らが検査を受けやすくなるよう、政府に支援を要望した。国内外の取引先との感染リスクを減らすのが目的とされる。検査の拡大は、経済活動を後押しすることにもつながる。
 もちろん機器や要員には限りがあり、希望する人全員を対象にすることは現実的には難しい。
 そのため、政府は、PCRより素早く結果を得られる簡便な抗原検査を組み合わせるなど、効果的な検査戦略を練るべきだ。
 感染は今、どんな状況にあり、政府はどのように対処するつもりか。分かりやすく国民に説明して協力を求め、不安の解消に全力をあげることが大切だ。

歌舞伎座5か月ぶり8・1再開…出演者300人全員「陰性」確認して予防徹底

歌舞伎座の入り口では感染予防対策を紹介歌舞伎座の入り口では感染予防対策を紹介
 コロナ禍で2月末を最後に休演となり、約5か月ぶりに再開する東京・歌舞伎座の「八月花形歌舞伎」(8月1~26日、7・17日休演)の舞台稽古と感染予防対策が3日報道陣に公開された

戦後最長となる5か月間の長期休演を余儀なくされた歌舞伎座の幕が上がる。この日までに松本幸四郎(47)、市川猿之助(44)、中村勘九郎(38)、中村七之助(37)、片岡愛之助(48)ら出演者、スタッフ約300人全員のPCR検査「陰性」を確認。感染予防策を徹底し、観客を迎え入れる。
 1808席の客席は前後左右を空席に。桟敷席、幕見席は販売をせず、823席に限定する。劇場入り口では体温測定用の赤外線サーモグラフィー、手指消毒用の消毒液を設置。従来はスタッフが切っていたチケットの半券は観客自ら切って所定の箱に入れるシステムに。4部制の各部終演後には客席の消毒、掃除をして観客を総入れ替えする。観客にはマスク着用、大向こう(掛け声)の自粛を求める。売店では商品をお茶、水、のどアメに限定して弁当は販売しない。水分補給を除く飲食を原則禁止とする。
 舞台稽古前には場内アナウンスで愛之助が「私どもは全身全霊を込め、夏の暑さを吹き飛ばすと共に、一日も早い事態終息の願いを込めて舞台を勤めさせて頂きます」と意気込みを語った。公演期間中は各部の開演前に同様のあいさつを出演者が担当する。同じ文言を事前録音して流すもので、担当者はランダムに選定される。
 愛之助は「皆さまにお願いを申し上げざるを得ないことも多々ございます」と感染予防対策への理解も呼びかけた。役者、劇場、観客が一体となって、コロナ禍における観劇の新様式を模索していく。

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 経済記者ではなかったのに上司の指示でなぜか、開業に向け工事が進む台湾高速鉄道の取材に赴いたことがある◆政財界の人々が、日本の新幹線の技術供与に感謝を示していたのを思い出す。李登輝前総統(当時)が直接、JR首脳と交渉したとも聞いた。誕生から13年になる“台湾新幹線”は日台友好の証しであるとともに、李氏の残した遺産でもあろう◆台湾の民主化を推進し、親日家としても知られた李氏が97歳で亡くなった。2000年に総統選で後継者が敗れ、身を引いた時の逸話が民主主義をいかに愛したかを物語る◆陳水●氏に大差負けし、「とても楽しい」と笑顔で語った。陳氏が同じ台湾生まれの「本省人」であったため、大陸派の間には李氏が陰で支援したのでは…とあらぬ疑惑が渦巻いたという。選挙を公正に堂々と戦う喜びが分からなかったのだろう◆国際社会は敬意を素直に示すのが難しい場所らしい。日本政府は中国に配慮し葬儀に特使を派遣しない。いささか切ない形になった大陸への新幹線の技術供与を思い出す。かの国はわが技術と言い張り、特許申請までしたのではなかったか。(●は「偏」のつくりの部分)

感染で入院の男性、鍵壊して外出し半日行方不明…温泉でシャワー浴びる

 埼玉県は31日、新型コロナウイルスに感染して入院していた同県春日部市の男性(40歳代)が30日夜に無断で病院を抜け出し、約半日の間、行方不明になっていたと発表した。

男性は31日午前、同県川越市の入浴施設「小江戸はつかり温泉川越店」でシャワーを浴びたといい、同施設は消毒を行った。県は同日時点で濃厚接触者は確認されていないとしているが「施設を利用し、不安がある人は保健所に連絡してほしい」と呼びかけている。
 発表によると、男性は16日に感染が判明し、同県羽生市の羽生総合病院に入院。30日午後10時頃、病棟内の鍵を壊して外出し、タクシーで自宅に戻った。31日午前3時頃には自家用車で同県三郷市内の勤務先に滞在。その後、仕事の関係先がある川越方面へ向かった。
 家族の届け出に基づき、警察官が同日午前10時、入浴施設周辺で男性がいるのを確認。男性は県内の別の医療機関に再入院した。男性は無断外出の理由を「仕事の進み具合が心配だった」と話しているという。
 県は今後、入院を拒否する感染者に対しては「感染症法に基づき強制入院措置も検討する」としている。
福島県郡山市で改装工事中の飲食店が爆発し、20人が死傷した事故で、福島県警郡山署は31日、亡くなった内装業者の男性の死因が爆発で強い衝撃を受けたことによる肺挫傷だったと明らかにした。前日の作業終了後に何らかの原因で漏れたガスに引火したとみられ、警察と消防は現場検証を続け、詳しい事故原因を調べる。
© FNNプライムオンライン 政府は31日、新型コロナウイルス感染症対策の分科会を開催し、全国共通の指針を作ることで合意した。
31日の分科会では、感染状況を4つの段階に分けたうえで、次の段階に移行する予兆が出た時点でとるべき対策についてまとめた。
「感染ゼロ散発段階」は、感染者が散発的にしか発生しておらず、医療提供体制にも支障がない状況。
現在、多くの地域は、この段階としている。
続く「感染漸増段階」は、感染が徐々に増え、医療提供体制の負荷が蓄積される状況のことをいい、現在、感染者が増加している東京都、大阪府などが、この段階にいるという認識を示した。
クラスターが多発するような状況は、「感染急増段階」。
そして、一番深刻な状況を「感染爆発段階」とし、医療提供体制が機能不全に陥るくらいになることを指すとした。
感染症対策分科会・尾身会長「次の段階に移ったことがわかってから対策をとっては遅すぎる。危機管理感染症対策でも、なにか大変なことがある予兆を早めに見つけて、悪くなる前に対応を打つというのが感染症対策危機管理の要諦(ようてい)であるので」
感染急増の予兆をとらえた場合は、ガイドラインを順守していない、お酒の提供を行う飲食店への休業要請など、さらに感染爆発の予兆をとらえた際には、緊急事態宣言など強制力のある対応を検討する必要があると提示した。
尾身会長「今回、分科会がコンセンサス(合意)したのは、ここの感染急増段階という中間地点を今回は設けた。ここは最悪なので、この中間段階には絶対にいかないように、みんなで努力しようということ」
西村経済再生担当相「医療提供体制を数値で表したり、あるいは重症者の数、60代以上の高齢者の感染者の数、新規感染者の数。こういったところを、どういう数値で見ていくのかということを今後さらに詰めていくことになる」
指標の数値は、各都道府県と意見交換したうえで、次回の分科会で決める方針。
 トランプ大統領が大統領選を延期させる可能性に言及したことについて、フクシマ氏は「混乱を招くための発言で、延期はほぼ不可能だ」と指摘した。海野氏はトランプ氏の狙いについて、新型コロナウイルスのワクチンを投票日までに開発する「時間稼ぎ」との見方を示した。一方、佐藤氏は大統領選の行方について、「討論会など変化要因があり、まだ分からない」と語った。
近畿地方が梅雨明けしました。来月1日は、西日本から東海まで夏空が広がって、気温は35度を超える所もありそうです。
梅雨明け直後は熱中症の危険が高まるため、万全の対策を心がけてください。北陸や東北は、雲の多い天気で、局地的に激しい雷雨がありそうです。土砂災害などに注意してください。 
02:00

国立感染症研究所が分離した新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真=同研究所提供© 毎日新聞 提供 国立感染症研究所が分離した新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真=同研究所提供  京都市教委は7月31日、市立中学校で同じ部活動に所属する女子生徒6人が新型コロナウイルスに相次いで感染し、クラスター(感染者集団)が発生したと発表した。この中学校と練習試合をした他の2校でも女子生徒各1人の感染が確認され、クラスターによる感染者は計8人となっている。
 市教委によると、生徒8人は同23~25日に市内であった部活動の練習試合に参加。その後、生徒1人の感染が同27日に分かり、市は対戦した学校を含め、練習試合に参加した生徒46人のPCR検査(遺伝子検査)を進めていた。最初に陽性と判明した生徒の母親は、別のクラスターが発生していた市立病院(同市中京区)を見舞いで訪れ、感染が確認されていた。
 市教委は感染者が出た3校について校内の消毒を実施。学校は8月1日から夏休みとなるが、同18日まで部活動など全ての活動を中止する。【小田中大】
中国・新彊ウイグル自治区で、イスラム系の少数民族が収容されている再教育施設とみられる建物(2019年6月4日撮影、資料写真)。中国・新彊ウイグル自治区で、イスラム系の少数民族が収容されている再教育施設とみられる建物の近くに設置された監視塔(2019年5月31日撮影、資料写真)。中国・新彊ウイグル自治区にある風力タービン(2018年8月31日撮影、資料写真)。© AFP PHOTO / BADUNG POLICE 中国・新彊ウイグル自治区で、イスラム系の少数民族が収容されている再教育施設とみられる建物の近くに設置された監視塔(2019年5月31日撮影、資料写真)。 【AFP=時事】米国は7月31日、中国北西部の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で横行するイスラム系少数民族ウイグル人の人権侵害に加担したとして、同自治区で莫大な利権を握る準軍事組織「新疆生産建設兵団(Xinjiang Production and Construction Corps、通称:兵団、Bingtuan)」に制裁を科した。
© AFP PHOTO / BADUNG POLICE 中国・新彊ウイグル自治区で、イスラム系の少数民族が収容されている再教育施設とみられる建物(2019年6月4日撮影、資料写真)。  独自の町や大学、メディアを運営する兵団は「国家内国家」的な組織とみなされており、手掛ける開発事業の対象は中国の多数派民族である漢人に大きく偏っている。
 米財務省は、兵団の米国内の資産を凍結し、兵団との取引を禁止。兵団幹部の彭家瑞(Peng Jiarui)氏と元幹部の孫金竜(Sun Jinlong)氏にも制裁を科した。
 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官は中国による少数民族への待遇を「世紀の汚点」と批判。兵団がウイグル人を含む新疆ウイグル自治区のイスラム系少数民族の大量強制収容に「直接関与した」と指摘した。
© STR / AFP 中国・新彊ウイグル自治区にある風力タービン(2018年8月31日撮影、資料写真)。  ポンペオ氏はさらに「世界中の無数の家族に影響を及ぼしているCCP(中国共産党)による自国民への凶悪な人権侵害をわれわれと共に非難するよう、全ての国に求める」と呼び掛けた。
その上で安倍首相は「治療薬やワクチンの開発と確保に努める。地方自治体と連携し、必要な対応を講じていく」と強調しました。
また、野党側が新型コロナ対応などのため、臨時国会の早期召集を求めている事については「与党とよく相談しながら対応していきたい」と述べるにとどめました
東出昌大 ©文藝春秋 俳優の杏(34)と東出昌大(32)が7月31日までに離婚していたことが「週刊文春」の取材で分かった。近く双方から正式に発表される予定だ。
   2人は2013年のNHKの連続テレビ小説「ごちそうさん」での共演をきっかけに交際をスタート。15年の元日に結婚し、3人の子供をもうけるなど、芸能界きってのおしどり夫婦として知られていた。
© 文春オンライン 東出昌大 ©文藝春秋 「週刊文春」が今年 1月23日発売号 で、東出と唐田えりか(22)の不倫、杏と3人の子供との別居を報道してから約半年。東出は単身者用のマンスリーマンションなどで杏や3人の子供と離れて暮らしながら、夫婦関係の修復を目指していたが、杏の意思は揺るがなかった。
「杏さんは一度きりの不倫でも絶対に許さない性格で、はじめから離婚前提の別居だった。東出さんが家に帰りたがっても受け入れることはなく、共通の知人を介した話し合いも彼女にとっては雑談に応じたという認識だった。杏は東出サイドに早い段階から弁護士を立てるように申し入れていた」(夫妻の知人)
「週刊文春」8月6日(木)発売号では、杏と東出が離婚に至った経緯を詳報する。
(「週刊文春」編集部/週刊文春)
7月30日、97歳で死去した台湾の李登輝元総統(写真は2007年6月、東京都内で撮影、ロイター/Yuriko Nakao)© 東洋経済オンライン 7月30日、97歳で死去した台湾の李登輝元総統(写真は2007年6月、東京都内で撮影、ロイター/Yuriko Nakao)  「台湾民主化の父」、「ミスターデモクラシー」――。植民統治、独裁体制を生き抜き民主化を主導した激動の東アジアを代表する政治家だった。
 台湾の元総統、李登輝氏が7月30日に台北市内の病院で死去した。97歳だった。独裁体制下にあった台湾の民主化と経済発展に尽力。1996年に行われた台湾住民による総統直接選挙で勝利し、初の民選総統に就任した。「22歳まで日本人だった」と語るなど日本国内では李登輝氏を親日家として高く評価する向きもあり、日本の政財界などと深い親交があった。
死去を受けて、台湾のみならず世界から多くのメッセージが出された。蔡英文総統は総統府の声明として「台湾の民主化における貢献はかけがえのないもので、死去は国家にとって大きな損失」だと発表した。日本でも安倍晋三首相のほか立憲民主党の枝野幸男代表、小池百合子・東京都知事など与野党問わず多くの追悼のメッセージが出された。

「台湾人に生まれた悲哀」を歩む

李登輝氏は総統在任中に作家、司馬遼太郎氏との対談の中で「台湾人に生まれた悲哀」という言葉を口にしていた。オランダ、鄭成功、清朝、日本の植民統治、大陸から移った中国国民党(以下、国民党)が独裁する中華民国政府――。台湾の歴史は外来政権に支配され続けてきた。李登輝氏自身も外来政権の統治下を生き抜いており、その生き様から出た想いともいえる。
 李登輝氏は日本の植民統治下だった1923年、台湾台北近郊で生まれた。「国語」として日本語教育を受け、皇民化政策の一環だった改正名運動で岩里政男と日本名を名乗った。旧制台北高等学校を卒業後、京都帝国大学(現・京都大)農学部に進学。その後、旧日本陸軍に入隊したが、敗戦を迎えて台湾に戻り、1946年に台湾大学に編入学した。
 戦後、日本の植民統治が終わり、台湾は当時中国大陸を統治していた中華民国に接収された。戦前から台湾に居住していた人々である「本省人」は祖国への復帰だと接収を当初歓迎した。しかし、大陸から派遣された官吏の統治能力欠如による社会混乱や「本省人」を新たな国語(標準中国語)を話せないとして政治参加から遠ざけるなどの差別待遇に台湾にいた人々は直面する。
 1947年2月には本省人と大陸からの移住者である「外省人」との間で大規模な衝突が勃発。事態を収拾するためだとして国民党政府は台湾に軍事部隊を派遣し、多数の「本省人」が虐殺される「二・二八事件」が起きた。李登輝氏の知人もこの事件に巻き込まれ、命を落とした。
 その2年後の1949年、大陸で中国共産党との内戦に敗れた蔣介石総統が率いる国民党は台湾に撤退。台湾で独裁体制を整え、中華民国を存続させる。大陸との内戦継続を理由に1987年まで続く世界でも例をみない長期の戒厳令体制が敷かれ、「白色テロ」と呼ばれる台湾独立などを主張する反体制派に対する政治弾圧が行われた。李登輝氏は同年に台湾大を卒業後、大学教員や農業技師を務めたが、過去に共産党関係の勉強会に参加したとして当局の監視下に置かれたこともあり、不安な日々を過ごした。「われわれの世代は夜にろくに寝たことがなかった。子孫をそういう目に遭わせたくない」と李登輝氏は当時を振り返っている。

台湾住民が自らトップを選ぶ民主化を主導

1968年、李登輝氏はアメリカのコーネル大学で農業経済学の博士号を取得。帰国後は農業経済学の専門家として台湾大教授などを務め、専門家としてキャリアを積んだ。転機となったのは1971年、蔣介石総統(当時)の息子である蔣経国氏に見出され、国民党に入党。72年に蔣経国氏が行政院長(首相)に就任した際には当時の最年少閣僚(49歳)として入閣した。
 1970年代は台湾にとって1971年の国際連合脱退(実質追放)や1972年のアメリカのニクソン大統領の訪中、日中国交正常化にともなう日本との断交など外交危機を迎え、海外からの支持を失いつつあった。実質外来政権として台湾を統治していた国民党政権は自らの正統性を台湾内で担保するため、人口の8割以上を占める本省人を登用する「台湾化」の方針をとった。李登輝氏はそのなかの1人として選ばれた
 台北市長や台湾省政府主席などの要職を経て、1984年に蔣経国総統のもとで副総統に就任。そして1988年蔣経国総統の急死に伴い、総統の地位を襲った。初の「本省人」総統だ。しかし、総統に就いたものの李登輝氏は国民党内に支持基盤がなく、周囲には「外省人」の古参幹部がひしめくなど、「丸腰」の状況での最高権力者への就任だった。
 1990年、李登輝氏の総統としての任期が切れる際には国民党内で後継者をめぐり、激しい政争が勃発。キリスト教徒である李登輝氏はその渦中で、聖書を開き「どうすべきか」と神に問いかけたと自身の著書で回想する。そこで示されたのは「イザヤ書」第37章35節、「わたしは自分のため、また、わたしのしもべダビデのためにこの町を守って、これを救おう」で、それを受け「どんなに大変でも、台湾のために、次の世代のためにやろう」と決めたという。
 その後、国民党内の分裂状態や急進改革を主張する当時野党の民主進歩党(民進党)と学生運動などの世論の影響力を利用し、政争に勝利。新たに1996年までの総統任期を確保したのち、民主化をはじめとする政治改革を求める民意を背景に、国民党内外での調整や交渉に手腕を発揮した。中国から台湾に移って以降、居座り続ける国会の「万年議員」や政敵を引退や失脚に追い込み、中国大陸を統治する前提で作られていた当時の憲法や政治制度を実際に統治している台湾とその周辺島嶼に合わせる各種改革を主導した。その仕上げのひとつが1996年に行われた初の総統直接選挙だ。台湾の近現代史で初めて台湾住民が自分たちのリーダーを選ぶ権利が認められた瞬間だった。

自分たちのリーダーがいるという実感を意識づけた

初の直接選挙を含め、李登輝総統の存在は多くの台湾住民に強烈な印象を与えた。外省人とは異なる台湾訛りの中国語を話し、演説では独裁体制下で使用を禁じられていた台湾語(台湾などで使用される中国語)が堂々と使われた。自分たちのリーダーがいるという実感、そして投票でリーダーを選んでいる実感は多くの台湾住民に自分たちは台湾という共同体で生きていることを意識づけた。
 一方で、中台関係が悪化した時期でもあった。中国は李登輝氏が主導した一連の政治改革や直接選挙の実施が台湾独立につながると反発。台湾の周辺海域にミサイルを発射するなど威嚇した。アメリカ軍が空母2隻を台湾近海に派遣するなど緊張が高まったが、台湾ではむしろ毅然と対応する李登輝氏へ支持が集中する結果となり、李氏が初の民選総統に就任した。
 1997年に従来中国史が中心だった歴史教育を台湾史重視に変えたほか、中国の一地方政府として存在していた台湾省の凍結を決定。1999年には中台関係を「特殊な国と国の関係」であると提起するなど、台湾アイデンティティーが高まる方向に李総統の政策は進んだ。2000年の総統選挙では後継者として国民党から連戦氏を出馬させたが、民進党の陳水扁氏に敗れ、李総統は国民党主席を辞任した。初の政権交代が行われ、結果的には台湾の民主主義の一段の定着につながった。
 退任後はより台湾意識を強調する志向を強め、台湾独立志向の政党「台湾団結連盟」の創設や活動にかかわったことなどから国民党籍を剥奪された。2008~2016年の対中融和政策をとった国民党の馬英九政権に批判的だったのに対し、2012年以降は民進党の蔡英文氏を支持した。総統在任中に選挙のために不正な資金流用や反社会勢力と関わりをもったことなどが疑われて批判の声もあるが、外来政権に支配されてきた「台湾人に生まれた悲哀」を繰り返さないためにという信念を持ち続け、そのための基盤ともいえる民主主義と台湾アイデンティティーの強化を求め続けた政治家だった。

民主主義は完全に定着した

2020年までに台湾では7回の総統選挙が行われ、3回の政権交代がスムーズに実施された。民主主義は完全に定着したといえる。多くの台湾の人々は、自分たちは台湾という共同体の一員だという台湾アイデンティティーをもち、4年に1回行われる総統選挙で投票し、共同体の一員という自覚と自信を深め続けている。
 李登輝政権誕生後に生まれた筆者のような20代を中心とした若者世代は「天然独(生まれつきの独立派)」とも呼ばれ、台湾がひとつの国家であることが自然のように考える世代も出て来た。今後、経済発展や軍事力増強を背景に中国の台湾に対する統一攻勢は強まるかもしれない。ただ李登輝氏が思い描いていた将来の方向性は台湾で着実に引き継がれている。
 3日連続で過去最多を更新した新型コロナウイルスの国内感染者は31日、40都道府県と空港検疫で新たに確認され、東京、愛知、新潟、兵庫、鳥取、福岡、長崎、沖縄の8都県で過去最多となった。死者は東京、埼玉、千葉、大阪、福岡の5都府県で6人だった。
 463人が確認された東京都では、20~30歳代の若年層は約7割(332人)に上ったが、40歳以上の中高年層も121人で、世代間に広がりがみられる。
 31日の感染者に計上された28日の検査数が5600件超だったことも増加の一因で、小池百合子知事は「4連休中に受けられなかった人もおり、今後も陽性者が増える可能性は高い」と述べた。
 193人だった愛知県では、30日までの7月中の感染者1084人の約7割が30歳代以下の若年層だった。多くが名古屋市内の繁華街で感染したとみられる。新潟県で感染が確認された8人も全員が20歳代だった。
 国内で判明した感染者(31日午後11時半現在)新型コロナウイルスの国内の感染者は31日、午後11時半現在で新たに1571人が確認された。1日あたりの感染者数が1千人以上となるのは3日連続で、30日の1308人を上回って過去最多を更新した。東京都は前日から96人増の463人で、初めて400人を超えた。
 朝日新聞の集計では、7月中の感染者総数は約1万7600人で、国の緊急事態宣言が出されていた4月中の約1・4倍。PCR検査の件数が増えていることが一因とみられる。一方で、死者は計39人で4月中の計422人から大幅に減った。
 31日の感染者数は東京、新潟、愛知、兵庫、鳥取、福岡、長崎、沖縄の8都県で1日あたりの最多を更新した。
 東京都の感染者数が200人を超えるのは4日連続で、100人を超えるのは23日連続。幅広い年代で感染が確認された4月に比べ、7月は20~30代が7割近くを占める。
 観光シーズンを迎えている沖縄でも最多の65人が新たに確認された。玉城デニー知事は県独自の緊急事態宣言を出し、県外からの来県に対して「慎重に判断していただくようお願いします」と呼び掛けた。
 このほか、大阪府は216人、愛知県は193人、福岡県は170人で、都市部で100人を超える感染確認が続いている