PCR検査拡充が感染抑止につながる
2020/08/01 05:00
感染が流行し始めた頃は、検査が追いつかず、国民の間に不安が広がった。現在、検査能力は1日約3万5000件まで増えたが、まだ十分とは言えまい。
できる限り検査体制を強化し、必要な人がスムーズに検査を受けられるようにしてほしい。
検査を担う保健所の人手不足など、様々な「目詰まり」が指摘されている。政府は、病院や検査機関が最新機器を導入するのを支援したり、検査技師の増員に努めたりして、問題を一つ一つ解決しなければならない。
症状のある人に限られていた検査対象は現在、無症状の濃厚接触者らにも拡大された。感染経路が不明な人も増えており、さらに対象を広げて積極的な検査に乗り出すことが肝要だ。
東京都は、接待を伴う飲食店従業員らの一斉検査を始めている。埼玉県は、学校や店舗で感染者が出た場合、濃厚接触者に限らず、同じ場所にいた全員を検査して、早期にクラスター(感染集団)の芽を摘む方針を決めた。
感染者が出た病院や高齢者施設では、入所者や従業員全員の検査を行い、繁華街など感染者が集中する場所では、その地域の住民を対象に集団検査を実施する。
こうした「攻めの検査」で感染者を早期に隔離すれば、感染の連鎖を断ち切れよう。集団感染が発生するなど、集中的な検査が必要な現場には、検査車両を派遣することも一案ではないか。
日本商工会議所は、中小企業の従業員らが検査を受けやすくなるよう、政府に支援を要望した。国内外の取引先との感染リスクを減らすのが目的とされる。検査の拡大は、経済活動を後押しすることにもつながる。
もちろん機器や要員には限りがあり、希望する人全員を対象にすることは現実的には難しい。
そのため、政府は、PCRより素早く結果を得られる簡便な抗原検査を組み合わせるなど、効果的な検査戦略を練るべきだ。
感染は今、どんな状況にあり、政府はどのように対処するつもりか。分かりやすく国民に説明して協力を求め、不安の解消に全力をあげることが大切だ。
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