2020年7月7日火曜日

石がゴロゴロ転がる音が怖い…蘇る「3年前の豪雨」の記憶


大牟田市役所内に流れ込んだ水をかき出す職員(6日午後5時18分)=木村歩撮影
大牟田市役所内に流れ込んだ水をかき出す職員(6日午後5時18分)=木村歩撮影
 大雨特別警報が出された福岡、佐賀、長崎の3県では6日、道路の冠水や河川の氾濫などが相次いだ。熊本県南部を4日に襲った豪雨の被害が次々と明らかになる中、住民は避難所に身を寄せるなどして、不安な夜を過ごした。
 「川が増水して石がごろごろと転がる音がして怖かった」。自宅近くの避難所で福岡県東峰村つづみ北区の区長(69)は語った。同村は6日午後、全域に避難指示を発令。区長はその前に、強まる風雨の中、避難所に向かったという。
 同村では3年前の九州北部豪雨で3人が犠牲になり、5日に追悼式が営まれたばかり。区長は豪雨の記憶がよみがえったといい、「とにかく無事に過ごせるよう祈りたい」と話した。
 大雨特別警報の対象となった同県大牟田市では6日午後、国登録有形文化財の市役所本館1階が大雨であっという間にくるぶしほどの高さまで浸水。職員らがモップなどを使った排水作業に追われた。約30年勤務しているという男性職員は「浸水被害は2度目。これ以上、被害が広がらないでほしい」と願った。
 彦山川が氾濫した同県添田町の中心部にある音楽ホール「オークホール」には、同日午後7時現在で約60人が避難。同町桝田の男性(70)は「川の水が土手まで迫っていた。安全な場所で一晩過ごそうと避難した」と語った。
 佐賀市内も各所で冠水が発生。市中心部のハンバーガー店「SUNNY PLACE」では、店の前の道路が10センチほど冠水した。昨年8月の記録的大雨では店舗内が膝の高さまで浸水したといい、店主の牛島弘貴さん(40)は「2年連続でこれほどの雨が降るとは……」と疲れた様子だった。
 観測史上最大となる94・5ミリの1時間雨量を記録した長崎県大村市では、全域の9万5074人に避難指示が出た。市によると、新型コロナウイルスの感染防止のため、避難者の収容人数を80人から21人に減らした竹松出張所では、一時59人が避難し、ロビーなどを開放して受け入れた。また、収容人数を80人から19人に制限していた萱瀬かやぜ出張所にも、一時50人が訪れたという。

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