梅雨前線の影響で、九州各地では9日も激しい雨が降り、被害が拡大した。大分、熊本両県で新たに5人の死亡が発表され、4日からの豪雨による死者は計62人となった。九州全7県で118件の土砂崩れが発生している。熊本、鹿児島両県に大雨特別警報が出て11日で1週間となるが、被害の全容はつかめていない。
活発な梅雨前線は9日も九州から東海にかけて発達した雨雲をもたらし、西日本から東日本の広い範囲で激しい雨となった。9日午後7時までの1時間雨量は最大で、長崎県諫早市で66ミリ、長崎市で54・5ミリ、宮崎県えびの市で46ミリ、熊本県宇城市で38・5ミリなどを観測した。
一連の大雨では、9日午後7時現在、熊本県を中心に死者62人、心肺停止1人、行方不明16人の被害が確認されている。ただ、各地で断続的に降る大雨が行方不明者の捜索を阻んでいる。
身元が公表された死者53人のうち、65歳以上が9割近くを占めた。大分県は9日、同県由布市で行方不明となっていた5人のうち、同市湯布院町湯平の旅館業、渡辺登志美さん(81)が遺体で見つかったと発表した。死因は溺死という。高齢者が避難する難しさも浮き彫りになっている。
土砂崩れも相次いでいる。国土交通省によると、9日正午までに熊本県で48件、鹿児島県で36件、長崎県で12件などが確認された。
読売新聞のまとめでは、9日午後8時現在、九州で約23万人に避難指示が出され、約2800人が避難所に身を寄せている。複数の河川の氾濫などにより、九州と山口県では計約1600棟が床上浸水し、計約3900棟に床下浸水の被害が出た。
梅雨前線は10日も本州に停滞し、九州などが大雨に見舞われる見通し。10日午後6時までの24時間予想雨量は、九州北部で300ミリ、四国で200ミリ、九州南部で150ミリ、東海で130ミリなど。大雨は12日頃まで続く恐れがある。
気象庁は9日、九州を中心に深刻な被害をもたらした今回の豪雨を「令和2年7月豪雨」と名付けた。同庁が名称を付けた自然災害は、昨年10月の東日本台風(台風19号)以来となる。
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