梅雨前線の影響で豪雨に見舞われた九州で、7月に観測された72時間雨量が観測史上最大を更新した地点が27地点(8日時点)に上ったことが、気象庁のまとめで分かった。最初の大雨特別警報が出る前の2日以降、断続的に大雨となっている。熊本県は9日、新たに3人の死亡を発表し、一連の大雨の死者は計60人となった。前線は九州に停滞しており、気象庁は今後も大雨となる恐れがあるとみている。
大雨での人的被害は、死者60人のほか、心肺停止1人、行方不明17人となっている。
3~8日に観測された九州7県の全163地点の雨量を集計した。その結果、大分県9地点、福岡、熊本県の各5地点、鹿児島県4地点、長崎、佐賀県の各2地点となり、宮崎を除く九州6県の計27地点で観測史上最大を記録。うち月ごとの平年降水量が確認できる24地点で平年の7月1か月分の降水量を上回った。まとまった雨が長時間降ったことで、被害が拡大したとみられる。
最も多かったのは7、8日に筑後川が氾濫し、市街地が大規模に冠水した大分県日田市の862ミリ。死者・行方不明者42人を出した2017年の九州北部豪雨の際、甚大な被害が出た福岡県朝倉市で観測された616ミリ、18年の西日本豪雨で被災した広島市の444ミリを超えた。
熊本県では、氾濫した球磨川の流域にあり、土砂崩れや集落の孤立が相次いだ芦北町は517・5ミリ、あさぎり町は660ミリに上り、それぞれ平年の7月1か月分の412ミリ、485ミリを上回った。
24時間雨量は九州の19地点で観測史上最大を更新したが、うち約4割に当たる8地点が同県だった。4日は球磨川流域の湯前町で411・5ミリ、人吉市で410・5ミリを観測した。
豪雨では、九州を南北に移動する前線に湿った空気が流れ込み、積乱雲が帯状に連なる「線状降水帯」が4日以降、各地で発生。球磨川流域など同じ場所に雨雲がとどまり、大雨が降り続いた。気象庁は4日に熊本、鹿児島県、6日に福岡、佐賀、長崎県に大雨特別警報を発表した。
気象庁は、土砂災害や河川氾濫などの危険性を地図で示した「危険度分布」をホームページ上で公開し、注意を呼びかけている。
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